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音速を超える、一本のコピー

33歳芸大生(職歴なし)が、文化放送のラジオCMコンテスト&宣伝会議賞を通して、電通へと駆け抜ける。コピーライター。現在は宣伝会議コピーライター養成講座上級コースに在籍。宣伝会議賞は、学生企画にも挑戦中。

コピーには、種類がある。

1. 現状 (before)
2. 改善 (before→after)
3. 理想 (beyond)
4. 妄想 (nothing)

これは、宣伝会議賞のグランプリ作品で話すと分かりやすいかもしれない。
1は、第46回セコムの課題「家は路上に放置されている。」が該当する。商品を使うと~、ということを言わずに、ズバっと現状を見せることによって、商品がある世界の素晴らしさを伝えている。だから強い。beforeだけ書いてあるように思わせて、beforeとafterが、ともに一文に含まれる、高度な形だ。コピーを貫く一点が、重心となっている。
2は、第28回アコムの課題「明日の自分に借りるのだ。」これは、「借りる」すなわち「商品を使うと~」というafterがコピーに直接明言されている。「借りる対象は明日の自分。だから、誰にも迷惑をかけないのだ」と。借りる場合の、最大限のよさを見つけ出している。素晴らしい。大概の描写系のグランプリは、これに該当する。beforeとafterを繋ぐため、コピーが線となっている。
それに対し、3はというと、その次の年。第29回、再びアコムの課題「一番いいのは、借りないこと。」前年のグランプリをビンビンに意識しているのが面白い。けれど、実は借りること自体は否定していない。むしろ、「現状はお金を借りなきゃ生活ができないけれど、借りる必要がなくなったら幸せだよね。だから頑張ろう」という、借りるひとに対してのエールが含まれているのだ。しかし、商品自体を否定しやすいので難しい。ここまで行くと、コピーは、面を形成する。
しかし、そういうコピーを目指し、ササッと適当に書いてしまうと、たちまち4へ真っ逆さまに落ちてしまう。ボツ街道は、明かりの届かない、常闇。
次のグランプリは、1~3のどれになるだろう。楽しみだ。