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音速を超える、一本のコピー

33歳芸大生(職歴なし)が、文化放送のラジオCMコンテスト&宣伝会議賞を通して、電通へと駆け抜ける。コピーライター。現在は宣伝会議コピーライター養成講座上級コースに在籍。宣伝会議賞は、学生企画にも挑戦中。

ぼくは絵を描くのが苦手だ。
普段、絵など描くことはないが、ことTVCMの絵コンテは別だ。それが描けないと、案を見てももらえない。芽が出ないのだ。
やはり、それでは困る。先日もコピーライター養成講座用のCM絵コンテを描いていたら、こういうことがあった。
カニを特急列車の一人掛シートに座らせて、それが道頓堀のかに道楽を目指すといった内容。
「よし、できた」
それで、少しばかりの休憩をとった。
戻ってきたら、シートに腰掛けていたのは、カニではなくゴキブリだったのだ。
何度見ても、ゴキブリにしか見えない。「足が多い」という点を除けば、かたや甲殻類、かたや網翅類。どう混同のしようがあろうか。
練習あるのみ。そうはいうが、具体性のない努力はできない。だから、マンガを参考にしようと思った。特に役立つのは、「コマ割り」。
たとえば、夏の夜道、マンションへと続く通路にセミが腹を見せて横たわっているシーンを描く場合、

1急いで帰る自分を映す
2セミと自分の関係を映す
3ジタバタするセミを映す

など、視点を移していくと、「あっ、あんなところにセミがいる!」というのが分かりやすかったりする。
大事なのは、2である。1や3は、誰でも描こうと思えば描けるが、それだけではぶっきらぼうになる。
CMの絵コンテも、伝わるか否かは、物事の関係性が分かるかどうかで決まる。それに一本針を通すのが、コピーの力であり、マンガなどのデフォルメの力である。
さて、どうなることやら。少なくとも、動画的な問題は解決しそうである。ただ、絵コンテのゴキブリを、おいしそうなカニに変える必要はあるかもしれないが。
絵がヘタクソでも、いいじゃない。