先日、ある案件の契約交渉がまとまりました。
感想として、クライアントの利益に直結する重要事項はすべて守り、精神条項のような譲歩しても影響がないものに関して若干の譲歩を行った、という印象を持っております。
要するに「買った」という感想です。
率直に言って今回の最終交渉は、事前の準備と当日の演出で差がついたと思っております。
我々は事前に契約書案を綿密かつ慎重に吟味し、弁護士事務所からのアドバイスも積極的に求めておりました。各条文について譲歩可能なものと絶対に譲ってはいけないものを検討し、譲歩する場合についても、その幅(=その幅の中で交渉できる)を持って交渉にあたりました。
当日は、弁護士にも同席させ、最終決定権者だけでなく、その他の会社幹部も多く同席させませした。
最終決定権者である社長と他の取締役数名、我々アドバイザーが3名、リーガルアドバイザーの弁護士2名の計10名弱程度が、当方の布陣です。
逆に相手方の出席者メンバーは貧弱で、事務局2名、取締役1名、フィナンシャルアドバイザー2名の計5名。時間の調整がつかないとのことで、弁護士は同席しませんでした。
また事前の準備不足も明らかでした。出席メンバーの間で契約書の解釈が統一できておらず、その場で、メンバー間で解釈をめぐっての議論になりました。またチームリーダーである取締役は、事務局を中心にこれまで繰り返してきた交渉の経緯や争点を十分に理解しておらず、ちぐはぐな発言が目立ちました。
役職も年齢も、また出席者数も多いこちらの社長や取締役に詰め寄られると、相手方の事務局では精神的・感情的に押し返せません。またフィナンシャルアドバイザー(中堅の証券会社)も、担当者がM&Aに慣れていないのか、ほとんど発言しませんでした。
こんな展開になれば、結果は推して知るべしです。
アピールしたいのは、このような結果になったのは決して偶然ではないということです。
最終決定の交渉に臨む上で、優位な決着を図るための仕切りを入念に行いました。
リーガルアドバイザーには契約書の十分な検証をお願いしました。クライアントとの間では、社長含む取締役と契約書の読み合わせを何度も行い、一言一句まで精査しました。
また念のため、本件のアドバイザーではないものの個人的に親しい弁護士にも条文の解釈・リスク・凡例等について相談しておきました。
当日の出席者数をより多くすることや、有利な場所(=我々のクライアントのオフィス)での調整も意識的に行いました。
ごくごく当たり前のことですが、交渉と言うのは事前に準備がもっとも重要ということを改めて感じました。
ただ、クライアントの利益を守るためにこの程度のことを行うのは当たり前のことであり、むしろ相手方アドバイザーは何をしていたんだろう、というのも正直な気持ちです…。