リーガルアドバイザー | M&Aアドバイザーの日記

M&Aアドバイザーの日記

なかなか外部から知ることができないM&Aアドバイザーの仕事をリアルにお伝えします

仕事柄、弁護士先生とご一緒に仕事に取り組むことがよくあります。

M&A取引は非常に複雑で、多くの法律の影響を受けます。「餅は餅屋」であり、法的側面についてのアドバイスは弁護士に求めることが普通ですし、クライアントのためになります。


例えば現在進行中の案件は、会社法は当然のこととして、公開企業なので金融証券取引法に、

製品の特許やブランドが競争力の源泉なので知的財産にかかる法律に、一部製品のシェアが高いので

独占禁止法に、といったように多くの法律に関係してきます。


このような案件においてクライアントの利益を守るもしくは高めるために、どのような契約を締結したら良いのか、どのような行為を行ってはならないのか、などはとても私のチームだけでは対応できません。


弁護士事務所は合併で巨大化し、大手事務所は、このような複雑な案件に対してもワンストップでソリューションが提供可能な体制になっています。また、先生方は寝る間も惜しまずよく働いてくれますし(もちろん、それなりの対価を払っていますが)、個々の事案に対する判断材料を迅速に提供して下さいます。したがって、M&A案件を推進する上で、リーガルアドバイザーである弁護士は大変心強い「用心棒」なのです。



しかしながら…


大手事務所に任せれば安心ということはありません。突き詰めると、各先生個人の力量が問われます。そして経験上、「使える」先生はそれほど多くありません。頼りにならない先生はたくさんいます。


例えば。

現在進行中の案件は契約締結の直前です。数週間ほど前に当方のリーガルアドバイザーである弁護士に契約書のドラフトを作成してもらい、クライアントの確認・了解を得た上で、相手先に提示しました。相手先も確認・修正を行い、当方に再提示をしている状況です。ようやく合意にこぎつけることができそうになってきた状況です。


ところが、昨日の夜に当方の弁護士事務所から契約書を修正すべきだというアドバイスが来ました。それも我々のクライアントが最も気にしている条文であり、当初に当方が提示した原案を相手方もそのまま受け入れた条文なのです。このままでは法律に抵触する可能性があると伝えてきたのです。


その条文は、本件に関する交渉の紆余曲折を経て、私のクライアントがやむなく断腸の思いで受け入れた条件を文章化したものなのです。それを最終の今の局面になって、「有効性がなく更なる譲歩が必要だ」と言うのです。


法律を侵すわけにはいきませんから、弁護士からの指摘には対応しなければなりません。ただし、そんなに影響の大きい条文であるならば、当初のドラフト作成の時点で何で指摘しなかったのか、という思いが生じます。契約締結直前になって決裂の原因となるような要素を生じさせるのはプロフェッショナルとは言えません。



「使えない」弁護士と言うのは、こちらの指示があるまでは何もせず、また指示されたことだけに対応し、事務所内の調整が拙い印象で、かつ、はじめから「落とし所」をアドバイスする傾向があります。

また、自分の意見が言えないことが多いです。「それはクライアントが判断することなので、私は言う立場ではありません。」ということはしばしばあります。



逆に「使える」弁護士は、常に先回りして案件推進上の留意事項を指摘してくれます。単に指摘するだけでなく対応策も提供してくれます。クライアントが選択可能な選択肢を整理して提示し、選択肢別にメリット、デメリット、留意事項を説明してくれます。

また、単に結論を述べるだけでなく、なぜそのようなリーガルアドバイスに至ったかについて、法律、判例、具体的な実務ケース等の材料を豊富に提供した上で、説明してくれます。

クライアントを守るために、最も望ましい条件から、ここまで譲歩しても良いのでは、ここだけは絶対譲らないよう頑張りましょう、という幅をもったアドバイスをしてくれます。

さらにクライアントが判断に悩む局面で、「こうすべきだと思う」と自らの考えを言ってくれます。




当り前のことですが、弁護士先生も玉石混交で、ピンからキリまで色々な人がいるのです。