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出会いの連鎖-RENSA-を求めて。

メディアの旅人はあなたです。

「劇場版 緊急取調室 THE FINAL」(2025/東宝)

 

 監督:常廣丈太

 脚本:井上由美子

 

 天海祐希 田中哲司 速水もこみち 鈴木浩介 大倉孝二

 塚地武雅 比嘉愛未 野間口徹 工藤阿須加 徳重聡 

 杉咲花 佐々木蔵之介 石丸幹二 でんでん 小日向文世

 

おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★☆☆
 

 
2014年にスタートしたテレビシリーズで人気を得た「緊急取調室」の初の映画化にて事実上の完結編。
 
本来であれば2022年に公開される予定が、安倍晋三元首相の銃撃事件が起きて延期となり、翌2023年に改めて公開が決まるも今度は劇中で首相を演じた市川猿之助に関連する事件が起きてしまい事実上のお蔵入り。
 
翌年に改めて首相役に石丸幹二を配して撮影が再開されることになり、その後テレビシリーズの最新作をはさんで、ようやく満を持して公開にこぎつけた。
 
作品タイトルからキントリの愛称で親しまれる本作、シリーズファンにとっては待ちに待ったというか、ついに最終章を迎えると感慨深いものもあるが、一方でどういう形で決着をつけるのか逆に期待値が上がってしまったかもしれない。
 
終わってみればキントリらしいさらっとしたエンディングになったけれど、もし予定通り映画が公開されていたらどんなストーリーだったのだろうと気にならないでもない。
 
本作の肝はキントリチームによる最後の取り調べが現役の内閣総理大臣であるということ。
 
それだけに長内首相を演じた石丸幹二にとってはプレッシャーだったと思うし、そもそも市川猿之助のやや灰汁の強いビジュアルとは全くイメージが違うのでどうしてもインパクトに欠けたのはやむを得ない。
 
天海祐希の真壁有希子以下キントリの面々も、基本は取調室でのシーンがメインなので、なかなか映画的な面白みに欠けるのは仕方ない。
 
一応背景として日本列島を巨大台風が襲うという緊急事態が発生するものの、キントリの取調室そのものにあまり関係はない。
 
もっと虚々実々の駆け引きを楽しみたかったけれど、肝心の首相との対峙にもう少し時間を割けなかったかと思う。
 
それでもこれがシリーズの完結編だと思わせるシーンは感慨深い。
ラストの大団円がいつもの「うぇ~い…}ではなく、全員揃っての「イェ~イ!」で締めるときには、ほんとにこれでキントリは終わりなんだなと実感させられる。
 
エンドロールでは大杉漣さんへの“special thanks”も添えられていたし、懐かしいシーンも挿入されていたのもよかった。
 
もちろんあくまでもテレビシリーズありきの劇場版なので全体的なスケール感には乏しいし、巨大な台風が襲来するという背景も生かし切れていない。
 
さらにクライマックスが取調室がメインとなるストーリー構成もあって、どうしても地味な映像になってしまうのは仕方ないところなれど、そこをなんとか乗り切れたのも12年間にわたって真壁を演じてきた天海祐希の渾身の演技ありきだったと思う。
 
昨今の日本映画の話題作の多くがテレビメディアありきのプロモーション展開になっている中で、人気ドラマを劇場版の名で映画で完結させるというパターンが当たり前になっている。
 
個人的には「劇場版」という呼称は好きになれないのだけれど、大前提として大きなスクリーンで観る意味のある作品であってほしいと念願してやまない。
 

 ローソン・ユナイテッドシネマ前橋 スクリーン4

 

 

「新解釈・幕末伝」(2025/東宝)

 

 監督:福田雄一

 脚本:福田雄一

 

 ムロツヨシ 佐藤二朗 広瀬アリス 岩田剛典 矢本悠馬

 松山ケンイチ 染谷祥太 勝地涼 倉悠貴 山下美月

 賀来賢人 小手伸也 市村正親 渡部篤郎 山田孝之

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★☆☆☆

 

 
福田雄一監督作品では「新解釈・三国志」で爆睡した記憶があって本作の公開が決まったときはさすがに「もういいか…」という感じはした。
 
そもそも個人的には幕末の動乱期が苦手というか、有名な歴史的人物たちの顔はわかるものの、それぞれの立ち位置に興味が持てなくて、薩長同盟やら新選組との関係性なども何度見ても頭に残らなかったりする。
 
本作は市村正親扮する歴史学の先生が自らの幕末史観について考察するというスタイルで、薩長同盟・坂本龍馬・大政奉還などについて、新解釈の名のもとにドタバタコメディが展開していく。
 
そんなあえていろいろ詰め込みすぎない感じとメリハリの利いたキャスト陣のキャラで何となく見てしまったというのが正直なところなれど、前半の茶屋での文字通りの茶番劇では今回も危うく落ちかけたのは事実…それでもくノ一で山下美月が出てきたので目が覚めたけど…。
 
あとはやっぱり坂本龍馬役のムロツヨシの暴走ぶりというか、すべての演技が想像以上にくどいわけで、一方の佐藤二朗が珍しく寡黙な西郷隆盛に徹していたこともあって、あの無駄に長い薩長同盟をめぐるシーンはどうにかならなかったのかと思う。
 
あそこまでいくともはやコメディや喜劇のレベルではないし、まだオチのないコントか漫才を延々と続くのかと半ば拷問のようになってしまった。
 
上映後の客席を見たらお正月ということもあって年配層もけっこういたけれど、果たして楽しめていたのかどうか聞いてみたくなったくらい。
 
そうした年配客だと思うが上映中一人だけ声を上げて笑っていた観客がいて逆に悪目立ちしていたような気がした。
 
後半に登場する広瀬アリスのおりょうの風呂上がりのシーンも、昔よくテレビで見たドリフのコントを思い出させるものの、大きなスクリーンで延々とモザイクをかけるのもどうしたものか。
 
まあ個人的には木戸孝允と桂小五郎が同一人物だったことや薩長同盟での双方の立ち位置とか復習できたことなど、少しだけ幕末の人物相関図が整理できたのはよかったかなと思う。
 
でも、これ豪華なキャストがいなければ劇場公開するレベルの作品じゃないし、そもそも東宝がお正月映画として胸を張ってスクリーンにかけるのも大英断だったろう。
 
ちなみに自分の幕末は2014年の大河ドラマ「花燃ゆ」で止まっていて、もともと関心の薄かった時代であったものの、終盤で部隊が地元群馬県に移ることを聞いていたので、珍しく幕末ものでありながら最後まで見届けた作品だった。
この時には吉田松陰や高杉晋作については改めてその関係性含めて学んだ。
 
その後も大河ドラマの幕末ものでは「西郷どん」もあったけど、元来の幕末苦手意識が再燃して最初からノーチェック。
 
なお福田雄一作品では前作の「アンダーニンジャ」が個人的にはそこそこ面白かったので、どうしても次こそはと思ってしまうのだけれど、当たりはずれという意味では限りなく後者に寄っている昨今の乱作ぶりは、オーダーを出す制作サイドにも問題ありなのかな。
 
すでに次回作の「SAKAMOTO DAYS」も公開を控えていて、人気グループSnow Manの目黒連が主演でとりあえずヒット間違いなしだろうな。
 

 MOVIX伊勢崎 シアター6

 

「TOKYOタクシー」(2025/松竹)

 

 監督:山田洋次

 脚本:山田洋次 朝間雄三

 

 倍賞千恵子 木村拓哉 蒼井優 迫田孝也 イ・ジュニョン

 マキタスポーツ 小林稔侍 笹野高史

 声の出演

 明石家さんま 大竹しのぶ

 

 おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★☆

 

 
この年末年始、個人的にいろいろなこともあってちょっと映画でもという気分でもなく、とりあえず年明けには長尺の「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」でも観ておこうと思ったものの、地元のシネコンでは通常の字幕版はレイトショーの一回のみで、唯一元旦のタイムテーブルのみ9時半というタイムテーブル。
 
さすがに元旦の朝から重い腰を上げるに至らず、気づいたら三が日ももう最終の3日、ここは気楽に観られる作品で今年のスクリーン初めをと割り切り、あえて昨年11月の公開以来ずっと気になっていた「TOKYOタクシー」をこのタイミングで鑑賞。
 
御年94歳を数える山田洋次監督の最新作で、倍賞千恵子と木村拓哉の共演で「パリタクシー」(2022)のリメイクという異色作だ。
 
山田洋次とお正月といえば言わずもがなの「男はつらいよ」シリーズ、昔は特に意識していなかったけれど「男はつらいよ/幸福の青い鳥」(1986)以降は毎年新作をスクリーンで観るようになっていた。
 
公開開始時期は違えど山田洋次監督作品が年末年始に上映されているのは「男はつらいよ お帰り寅さん」(2019)以来のこと。
 
かつては大衆娯楽の筆頭格であった老若男女誰でもが楽しめる人情喜劇が、形を変えながらも家族の物語としてこの時代に再生されたような気もして嬉しかった。
 
原作となるオリジナルのフランス映画「パリタクシー」はオンタイムで観ているので、ストーリーの構成や結末はある程度予想がつく。
それでも最後にエンドロールが映し出されたときに「いい映画を観た」と素直に思えたのは奇跡だった。
 
タクシードライバーの浩二と乗客の老婦人すみれの会話劇がメインとなる本作、すみれの希望で都内をめぐるタクシーの車窓の風景が実は実際の映像ではなく、別撮りの風景を重ねたものだということは事前の番宣の中でキムタク自身が語っていた。
 
確かにそう思わせる映像も多く見受けられたが、本作の肝はそうした東京の風景ではなく、すみれの会話の中に見え隠れする過ぎ去った時代の心象風景そのものであり。ハンドルを握る浩二もその時々の彼女の心模様に思いを寄せる。
 
思えばすみれを乗せた場所が柴又帝釈天の門前であり、すみれの回想の中で描かれる過ぎ去った戦後80年も含めて、これは山田洋次監督自身の昭和への回顧録でもあるのだろう。
 
思うに、この「TOKYOタクシー」が山田洋次の最後の監督作品になるかもしれない。
もちろんこれからも新作を期待したい気持ちも抱きつつも、どこかでひと区切りをつけるならば、この「TOKYOタクシー」がいいタイミングかもしれない。
 
小津安二郎以降、昭和の東京を映像に焼き付けてきたのは間違いなく山田洋次だと思うし、あの「男はつらいよ」シリーズの舞台となった柴又で始まるすみれの人生最後の旅路というのも感慨深かった。
 
どうしてもオリジナルの「パリタクシー」と比較してしまうのだけれど、そもそもパリのリアルと東京のリアル、それぞれの描き方も違うだろうし、「TOKYOタクシー」はキムタクというフィルターがどうしてもあるので見え方も変わってくる。
 
キムタク演じる浩二は普段の彼が演じてきたキャラからすると確かにトーンダウンはしているものの、すみれに自然に腕を組ませる所作などにザ・キムタクが垣間見えてしまうのは仕方ないところか。
 
若かりし時代のすみれを蒼井優が演じるが、倍賞千恵子とのイメージのギャップは少なからずあったし、むしろそこは無名とは言わずも他の女優さんでもよかったのかなとは思う。
 
久しぶりに倍賞千恵子の饒舌な演技を見たけれど、その圧倒的な存在感ゆえに、彼女の過去にまつわる心情はやや伝わりにくかったかもしれない。
 
いずれにしても「パリタクシー」を知らなくてもラストの展開は途中でも気がつくだろう。
それでもあの桁違いの小切手の並びは思わず目を丸くして桁を数えてしまった。
 

 MOVIX伊勢崎 シアター1