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「オーメン:ザ・ファースト」

 “THE FIRST OMEN”(2024/ウォルト・ディズニー・ジャパン)

 

 監督:アルカシャ・スティーヴンソン

 原案:ベン・ジェイコビ

 脚本:ティム・スミス アルカシャ・スティーヴンソン

    キース・トーマス

 

 ネル・タイガー・フリー タフフィーク・バルホーム 

 ソニア・ブラガ ラルフ・アイネソン ニコール・ソラーチェ

 

 おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★☆

 

 
「ゴーストバスターズ」の正統な続編でもある「ゴーストバスターズ/フローズンサマー」に続いて今度は「オーメン」だ。
 
予告編を観てからずっと楽しみにしていたシリーズの原点である悪魔の子ダミアンの誕生に迫るという正統な続編らしい。
 
70年代のいわゆるオカルト映画ブームの先陣を切ったのは「エクソシスト」(1973)であるというのは間違いないけれど、決定打となったのはやはり「オーメン」(1976)だったと思う。
 
同じ年には「キャリー」も公開されて大ヒットしているけれど、これはスティーヴン・キングの原作小説ありきのサイキック・スリラーなので、作品の方向性としては少し違うのかな。
 
「エクソシスト」の監督は「フレンチ・コネクション」で名を上げて、その後も寡作ながら問題作で名を馳せたウィリアム・フリードキン。
「オーメン」のリチャード・ドナー監督は後に「スーパーマン」や「グーニーズ」さらに「リーサル・ウェポン」シリーズなどでハリウッドのエンタメ系作品を牽引した。
「キャリー」のブライアン・デ・パルマ監督はサスペンスやスリラー系から「ミッション:インポッシブル」の第1作を手掛けるなど幅広いジャンルの作品を近年も世に送り出している。
 
こうして監督の名前を聞くだけで同世代の映画好きにはたまらないまさにハリウッドの名匠たちが、こうしたオカルト作品の系譜のエポックメーキングに名を刻んでいることを改めて振り返らせてくれるだけでもありがたい。
 
本作はオカルトホラー映画の傑作「オーメン」の第1作の前日譚となる事実上のエピソード0的な作品。
 
先にリメイク版の「オーメン」(2006)も発表されたがそちらは確か未見のまま。
 
「エクソシスト」のエピソード0的な作品は「エクソシスト ビギニング」(2004)があり、正統な続編としても昨年「エクソシスト 信じる者」(2023)が公開されたが、こちらも未見。
 
「キャリー」も2013年にリメイク版が公開され、クロエ・グレース・モレッツが演じたキャリーがなかなか鮮烈でよかった。
 
オカルトホラーとなると最近ではジェームズ・ワンが製作を手掛ける「死霊館」シリーズがあって、恐怖の元凶である悪魔のシスターヴァラクとの死闘を描く「死霊館のシスター」の2部作が完結したばかり。
 
「オーメン:ザ・ファースト」は悪魔の子ダミアンの誕生の秘密に迫るストーリーのため、「オーメン」の事件の直前となる1971年のローマの修道院が舞台。
 
ヒロインであるマーガレットも含めて黒い服の修道女たちが多数登場することもあって、最初のうちはどうにも「死霊館のシスター」のヴァラクのイメージが重なって、マーガレットが修道院にやってくるという導入部も似ていたこともあるかな。
 
リチャード・ドナーが手掛けた「オーメン」は呪いや悪魔の存在を前面に押し出すというより、その謎にかかわる人たちが次々に死んでいくというスリラーで、少女リーガンに憑依する悪魔との壮絶な対決を描く「エクソシスト」とは違ったテイストだった。
 
そして今回の「オーメン:ザ・ファースト」も来るぞ、来るぞ、来るぞ…ではなく、いきなり死がそこにあるというショッキングなシーンの連続で、まさに“オーメン”ならではの世界観は踏襲されている。
 
「オーメン」で今なお語り継がれるあの首〇ョンパシーンは、今回は胴体真っ二つという壮絶な映像になっている。
 
ただし舞台が修道院ということもあって、後半の謎解きに至る過程はどうしてもオカルト映画のテイストが濃くなっていく。
 
さらに終盤ではマーガレットの出産シーンがかなりエグイ展開で描かれるので、そもそものホラー映画でも血生臭い作品が苦手な人は要注意。
 
ラストでしっかり第1作への接点も描かれるので、シリーズとしての楽しみも残されている。
 
でも、この展開どこかで観たような気がする…例えば「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」なんかそっくり。
確かにこの世に生まれ堕ちては行けなかった存在という意味では鬼太郎もダミアンも共通するなとも思う。
 
終末の土曜午後のスクリーンは公開2日目なれどガラガラだった。
公開前のプロモーションの問題か、「オーメン」という素材そのものがあまりにも時代を経てしまったからか、あるいは単にこの手のオカルト映画が昔ほど関心を集められなくなっているのか。
 
日本映画でも「変な家」や「マッチング」といったスリラー系の作品が継続上映中だし、「オーメン」自体がすでにキワモノ映画の一本として認知されてしまっていることもありそうだ。
 
そういえば同じタイムテーブルで入場が始まった作品が「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」だった。
 

 ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン9