「変な家」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

MCNP-media cross network premium/RENSA

音楽(Music)・映画(Cinema)・小説(Novel)・舞台(Play)…and...

出会いの連鎖-RENSA-を求めて。

メディアの旅人はあなたです。

「変な家」(2024/東宝)

 

 監督:石川淳一

 原作:雨穴

 脚本:丑尾健太郎

 

 間宮祥太朗 佐藤二朗 川栄李奈 長田成哉 DJ松永

 瀧本美織 根岸季衣 高嶋政伸 斉藤由貴 石坂浩二

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★☆☆☆

 

 
週末の仕事終わりに一本と思いシネコンへ。
 
当初は「四月になれば彼女は」を観るつもりが、何となく恋愛映画を観ようという気分ではなくなって、それほど期待していないのに客入りはいいようでタイムテーブルが減らない「変な家」に急遽変更。
 
果たしてこれは正解だったのか?
 
とにかく、既視感が半端ない。
 
例えば「ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生」や「マッチング」といった最近スクリーンで観ている作品とその背景だったり出演者だったり、この展開観たことあるよな…そんなシーンがやたら多かった気がする。
 
映像が終始暗い。
唐突感しかない川栄李奈の登場シーン。
間宮祥太朗がユーチューバーという違和感。
そしてまたまた怪しい斉藤由貴。
 
いや、思っていたよりもちゃんとしたスリラーには仕上がっていたと思う。
もっとB級テイスト満載かなとハードルをかなり下げてあったせいもあるか。
 
原作の雨穴というウェブライターでありホラー作家でありユーチューバーでもあるという人は、先に深夜ドラマ「何かおかしい」シリーズを観ていたので知っていて、ちょっと面白そうな存在だなと気にはなっていた。
 
この雨穴というキャラはドラマでも白いお面を被ってドラマの案内人として登場していて、そのキャラをそのまま本作では間宮祥太朗が演じている。
 
ただし白いお面は90年代からハリウッドで製作されているウェス・クレイヴン監督のホラーシリーズの「スクリーム」を踏襲してるものと思われる。
 
変な家というより、変な間取りの家に隠された謎の空間に興味を抱くオカルト系ユーチューバーの雨男こと雨宮が、知人でミステリ愛好家の建築士栗原と過去に起こった連続殺人事件との関連を探る前半。
 
その変な家に住んでいた姉の失踪について雨宮のもとを訪れるのが川栄李奈演じる柚希で、3人は事件の真相を追って柚希の実家のある屋敷へと向かっていく。
 
実は当初この映画の鑑賞を予定をしていなかったのでキャストもあまりチェックしていなかったので、暗い映像で前髪で顔を隠すように現れる彼女が川栄李奈だとは気づかなかった。
 
柚希の失踪した姉綾乃を瀧本美織が演じるが、こちらもいつもよりトーンが低めな口調とかもあって、最初は彼女だとはわからず田辺桃子と勘違いしていた。
 
キャストは他にも根岸季衣に高嶋政伸そして御大石坂浩二まで登場するのだけれど、いずれもメイクや薄暗い映像もあってエンドロールで名前を見るまで気づかなかった。
 
客入りに関しても東宝のメイン作品だったようで、そりゃあ大物俳優のラインナップもなるほどと後から納得。
ただテイストとしてはこっちがKADOKAWA配給で、先に観た「マッチング」が東宝配給だとしても驚かない。
 
後半は片淵家の実家を舞台にからくり屋敷のようなこの家の構造と雨宮を襲う幻覚などが相まって、さらによくわからない展開が続くのだけれど、結果として明らかになるのが一族にまつわるあるカルト的な因習で、それが分かった時点で完全なスラッシャー映画の様相を呈してくる。
 
この辺りの雰囲気はそのまんま「ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生」がオーヴァーラップして仕方なかった。
むしろあの作品をこういう雰囲気で実写化したらけっこうおもしろい作品になったのかもと思ったりもした。
 
そしてまたしても物語のカギを握るのが柚希の母親役の斉藤由貴というのは…先に「マッチング」を観ていなかったら別に何でもないのかもしれないけれど。
 
元ネタがオカルト系なので細かいことは言っても仕方ないけれど、やっぱりあの左手供養という儀式は???ではある。
 
思うに日本映画におけるこういう因習にまつわるスリラー系作品は、結局のところすべて「犬神家の一族」に帰するんじゃないかと。
 
いろんな映画を観た後に「犬神家の一族」みたいだと思わせることが多いのも事実だし、それだけ横溝正史の世界観を見事に映像化したあの時代の市川崑監督の職人監督ぶりは改めて評価されてもいい。
 
監督は「ミッドナイトスワン」が話題となった内田英治。
残念ながら草彅剛が苦手なのであの先品は未見のままだったけれど、直前に観た浜辺美波ヒロインの「サイレントラブ」も内田監督だったことにいまさら気づく。
 
とりあえず帰宅した後に「四月になれば彼女は」がウユニ塩湖などの映像が見られることを知って、あのまま気が変わらず作品を選んでもよかったかなと思う。
 
 ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン5