「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」(1985)

 

 監督:山田洋次

 原作:山田洋次

 脚本:山田洋次 朝間義隆

 

 渥美清 倍賞千恵子 栗原小巻 川谷拓三 美保純

 太宰久雄 中島唱子 佐藤蛾次郎 吉岡秀隆 笠智衆

 

 

昔から「男はつらいよ」シリーズはもちろん知っているけれど、映画少年時代はあまり日本映画を観なかったし、中学生になって少しずつ映画館通いを始めた頃も外国映画メインだった。

 

「男はつらいよ」シリーズで唯一スクリーンで観たのはシリーズ第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」で、これは学校の映画教室で確か「あゝ野麦峠」なんかもその頃に観ている。

 

なぜ、映画教室で寅さんだったのか、当時は考えもしなかったけれど「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」のロケ地が当時の群馬県六合村(現:中之条町)だったこともありそうだ。

 

ちょうど一ヶ月の入院期間中に病室のベッドで、普段はチェックもしていなかったBSテレ東の「土曜は寅さん!」で「男はつらいよ 寅次郎真実一路」を観た。

 

久しぶりの寅さんは入院中の自分には間違いなく心の癒しになったし、ちょうどマドンナがいまは亡き大原麗子さんだったこともあり、少し感傷的にもなって就寝時間を迎えた。

 

退院した後も「土曜は寅さん!」のことは忘れていて、今回改めて予約録画したのが本作品となった。

 

舞台は伊豆諸島の式根島。

壺井栄の名作「二十四の瞳」をモチーフにした導入部で、家出したタコ社長の娘あけみを連れ戻すために伊豆へ向かう寅さん。

 

下田の地で無事にあけみと再会するも、すぐに柴又に帰りたくないというあけみの希望もあって式根島に渡る。

 

乗船した船には島での同窓会に向かう若者たちがいて、寅さんは当たり前のように意気投合、あけみのことはそっちのけで彼らと一緒に同窓会会場へ向かってしまう。

 

残されたあけみは港にいた青年と知り合い美しい景色の数々を案内され、その途中で立ち寄った岩場にある露天風呂に入る。

このシーンでは演じる美保純が全裸で風呂を楽しむ後ろ姿が映像に残されていて、寅さん映画では珍しい艶っぽい映像に驚かされる。

 

青年が手伝う実家の旅館に泊まることになったあけみだが、そこには若者たちの同窓会に参加する寅さんの姿もあった。

 

この同窓会の主賓が島で今も教壇に立つ栗原小巻演じる美人教師真知子だった。

 

その後あけみは柴又へ戻り、寅さんもいつもの旅に出るが、その出先の舘山寺で島で出会った若者と再会、真知子先生の結婚を知らされる。

 

ここから舞台は東京に移り、式根島に釣りに行くという柴又の仲間たちについていこうとする寅さんだが、逆に真知子先生が柴又にやってくる。

 

そして真知子先生にはまた別の事情があって…。

 

栗原小巻は当時40歳くらいで女優としても円熟期だがとてもチャーミングだ。

 

ちなみに「男はつらいよ」シリーズに関しては、この後の第37作「男はつらいよ 幸福の青い鳥」から事実上の最終作となる第48作「男はつらいよ 虎次郎虹の花」まで、すべての作品をスクリーンで観ることになる。

 

恒例のプロローグの寅さんの白昼夢のシーンは、寅さんが宇宙飛行士に選ばれてロケットで飛び立つというもの。

高所恐怖症の寅さんが直前になって駄々をこね、それでもロケットに乗せられたところでしょんべん出ちゃう…で目が覚める。

 

時代背景はアメリカでのスペースシャトルの打ち上げが話題になった頃。

山田洋次監督はちゃんと時代も切り取っていたんだな。

 

シリーズ最後の第50作「男はつらいよ お帰り寅さん」は年越しで出掛けた京都のシネコンで大晦日に観た。

 

うん、やっぱりお正月には寅さんが欲しいな。

 

 2023.12.23 BSテレ東「土曜は寅さん!」O.A.