「哀愁しんでれら」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「哀愁しんでれら」(2021/クロックワークス)

 

 監督:渡部亮平

 脚本:渡部亮平

 

 土屋太鳳 田中圭 COCO 山田杏奈 ティーチャ 安藤輪子

 金澤美穂 中村靖日 正名僕蔵 銀粉趙 石橋凌

 
 おすすめ度…★☆☆☆☆ 満足度…★★☆☆☆
 
 
公開2日目の週末の午後の上映回なのに、観客は何度数えても一桁でした。
確かに直前のプロモーションとかほとんどなかったしな…。
 
そりゃあそうだわ、この内容じゃプロモーションしようがない。
というか、この時期によく公開できたな?と思わずにはいられない。
 
それほどある意味で衝撃的なラストシーンに唖然とした。
 
もともと若手映像作家のオリジナル脚本を映像化ということらしいけれど、そのまんま商業映画にしちゃったのは時期尚早ではなかったか。
 
土屋太鳳演じるヒロイン小春は児童相談所の相談員として働くが、ある日を境にとんでもない負の連鎖に陥ってしまう。
 
同居の祖父が風呂場で倒れ、父の運転で病院へ向かう途中に事故に遭い、さらに父の不注意から実家の自転車店の店舗が全焼。
挙句の果てに一晩泊めてもらおうと向かった彼氏のアパートでは、彼と職場の先輩がベッドインの真っ最中。
 
一日でどん底に陥った失意の小春だが、泥酔して遮断機の下りた踏切で倒れていた開業医の大悟を助けたことから別の運命が動き出す。
 
開業医の大悟は妻を交通事故で亡くしていて、小学2年生の一人娘ヒカリと海辺の豪邸で暮らしている。
 
そんな大悟からお礼にと食事に誘われた日、小春は娘のヒカリとも意気投合、大悟は小春の妹で受験生の千夏の家庭教師や火災で仕事を無くした父親への就職あっせんまでも引き受けてくれた。
 
小春には幼少期に母親が「お母さんを辞めます」と家族を顧みず出て行った過去がある。
 
やがて大悟からもプロポーズされた小春は、まさに玉の輿婚となるのだが…。
 
最初はモンスターペアレンツ系の話かと思ったら、どうやらモンスター父娘というか、恐ろしい子供を描く「オーメン」系スリラーなのか?
 
いろんな伏線を張りまくっているのに、次々と小春に災難が降りかかるだけで、何ひとつ答えが明示されないのはなぜ?
 
じわじわくる怖さみたいなものも全然ないので、だんだん先が読めてくるというか、きっとこうなるだろうという通りになって、最後には小春がかつて自分を棄てた母親と同じ立ち場に立たされ…。
 
え?そうなるの?
 
土屋太鳳という女優さんは残念ながらスクリーンではなかなか客を呼べないタイプなんだけれど、それにしても作品に恵まれていない気がする。
 
朝ドラ「まれ」主演もあって知名度は上げたけれど、元来イメージが優等生とか、真面目とか、どうしても固定したまま気づけばアラサーの26歳。
 
近年は初のミュージカル「ローマの休日」にダブルキャストで主演したり、少しずつ活動の幅を広げているようだが、ファンとしてずっと見てきたものの、この先どういう女優になっていくのかなかなか方向性が見えないのは辛いところか。
 
そんな彼女に対して本作では「〇ち〇ち〇」とかストレートな台詞を言わせたり、田中圭との濃厚なベッドシーンだったり、そこそこ知られている太鳳パイを想像させる娘との入浴シーンなどを用意しているが、それらがそのまま彼女の魅力に結びつかない歯がゆさもあって、逆にちょっと無理してるなと思わせてしまう。
でもファンなのでその分★ひとつプラスという感じ。
 
相手役の田中圭にとってもこの役があまりプラスにならないような気もするし、直近の「樹海村」で好演の山田杏奈の妹役も少し物足りない。
見るべきところというと娘ヒカリを演じた子役COCOの怪演振りか。
 
そういえば自転車店の店舗が全焼しているのに、2階の居宅はまったく延焼の被害はなかったのか?
そこが最初から気になっていて最後まで違和感がぬぐい切れなかった。
 
 
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