「新宿スワン」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「新宿スワン」(2015/ソニーピクチャーズ)

 監督:園子温
 原作:和久井健
 脚本:鈴木おさむ 水島力也

 綾野剛 山田孝之 沢尻エリカ 伊勢谷友介 金子ノブアキ 村上淳
 久保田悠来 真野恵里菜 安田顕 山田優 豊原功補 吉田鋼太郎

 

気がついたらメジャー監督になっていた園子温。

今年はすでに「TOKYO TRIBE」とこの「新宿スワン」の2本が劇場公開され、さらに最新作「ラブ&ピース」に「リアル鬼ごっこ」が続き、秋には「映画 みんな!エスパーだよ!」も控えているという売れっ子ぶり。

2012年の「ヒミズ」で話題になって以降も年に一本の公開のペースだったのでこれは異常事態というしかないし、まるで一時期の三池崇史みたいだな…そんな風に感じる日本映画ファンも多いのではないか。

そりゃあ、一人の映画作家が手掛けるには限界があるから、こうも作品が重なれば場合によっては薄味だったり、色味や風味が変ったりもあるさ。

この「新宿スワン」を観て思ったのは想像していたより園子温っぽくないなということ。
まず原作ありきだし、猥雑で混沌とした東京を描く作品が「TOKYO TRIBE」から続いているし…あーそっか脚本が鈴木おさむ…テレビの人だ。

相変わらずひたすらなぐり合ったり血だらけのエグいシーンが満載だけど、血みどろ感はないよね…意外とあっさりしている。

綾野剛演じる新人スカウト龍彦の成長と山田孝之演じる中学時代の同級生秀吉の復讐がベースで、そんな若者たちの暴走を伊勢谷友介演じるスカウト会社幹部の真虎が見守るという構図。

前半と後半ではまったく別の話になっていて、話題になった風俗嬢役の沢尻エリカは後半からの登場もそれほどの見せ場があるわけではないし、リストカッターのキャバ嬢役の真野恵里菜も含めて若い女優たちをちゃんと生かせてないなと思った。
他にも山田優のクラブママあたりはむしろミスキャスティングだったかもしれないし

あと残念なのは山田孝之はこういう役柄しか演じられなくなってしまったのかなということ。
映画もシリーズ化された「闇金ウシジマくん」シリーズは好きだったけど、最近の深夜ドラマだったり、どうも役者としての方向性が固定しちゃっているみたいでもったいない。

いずれにしてもエンターテインメントムービーとして楽しんだもの勝ちというタイプの作品で、これは前述の三池崇史監督にもいえることで、作品の当たり外れというより作品によって最初から観客を選ぶそういうことでしょう。

そういえばすっかり園子温監督のお気に入りになったハロプロ出身のアイドル真野恵里菜ですが、今回の作品に関しては周囲の真野ファンの声が全く聞こえてきません。

やっぱりメインキャストでないから観ないのかな?
日本映画界の最前線でこういうキャリアを積めることは今後の女優活動の上でとても意味あることだと思うので、しっかりファンも見守ってあげてほしいところ。

彼女は次回作「リアル鬼ごっこ」にも出演しますが、すでに作品を観た人の感想などが上がってきていて、今回も作品の評価としてはなかなか厳しそう。

ちなみにこの映画ずいぶん前に撮影が終わっていたはずで、綾野剛の密着映像とかも一年前の「情熱大陸」で見た記憶があるけど、公開がこのタイミングになったのはやはり大河ドラマ「花燃ゆ」で伊勢谷友介が吉田松陰を演じていたからだろうな。

春先に吉田松陰登場シーンのオンエアが終了してからプロモーション展開を本格化させたのということか。


 2015.6.26 MOVIX伊勢崎 シアター6

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★★☆☆