「五十年目の俺たちの旅」(2026/NAKACHIKA PICTURES)
監督:中村雅俊
原作:鎌田敏夫
脚本:鎌田敏夫
中村雅俊 秋野太作 田中健 岡田奈々
前田亜季 水谷果穂 左時枝 福士誠治
おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★★☆☆
年明け公開のシネコン上映では機会を逸したものの、のちに地元のミニシアターにラインナップされたのでこのタイミングでの鑑賞。
実はテレビの「俺たちの旅」シリーズはほとんど観ていない。
おそらく再放送とかでチラッと観た程度だと思うし、当然ながらその後定期的に放送された特番ドラマもスルーしていたのではないか。
それほど関心がなかったシリーズなれど、本作のメインキャストのことは知っているし、カースケ・オメダ・グズ六の名前もしっかりインプットされている。
そして主題歌「俺たちの旅」についても歌詞とメロディがしっかり記憶されているので、それだけこのシリーズが人気を博していたのだろう。
ただ個人的にはこのあとの「俺たちの朝」は観ていたので、舞台となった鎌倉の景観とともに、勝野洋・長谷直美・小倉一郎・秋野太作・森川正太といったメインキャストもよく覚えている。
きっと秋野太作と森川正太については「俺たちの旅」より「俺たちの朝」の記憶がメインなんだと思う。
そんな「五十年目の俺たちの旅」をどうして観るつもりになったのか、これは久しぶりの岡田奈々の存在に尽きるといっていい。
テレビシリーズではオメダの妹である女子高生役だった彼女が50年を経て同じ役を演じる。
アイドル歌手としてデビューしてからずっとファンだったこともあるし、ここしばらくはメディアからも離れていた彼女の今を目に焼きつけたい、それ一択だったといってもいいかもしれない。
まず驚いたこと…。
オープニングシーンからスクリーンサイズがスタンダードのアスペクト比4:3だったこと。
昨今のシネコン上映が定番化する中でスタンダードサイズのスクリーンを初めて見る人もいるのではないか?
スクリーンがスタンダードサイズということで、イメージ的にはドラマが放送されていた昭和のアナログ放送のブラウン管を思い出す。
結果的にこの映像スタイルが過去のドラマエピソードをふんだんに盛り込んだ本作にふさわしいとは思うけれど、ならばわざわざ映画館の大スクリーンで上映する意味は何だろう?
もっとも今回は監督も手掛けた中村雅俊にしても、編集も含めてやりやすくなったのかもしれないけれど。
いずれにしても「俺たちの旅」シリーズのファンにはこれまでの名場面とリンクさせることでたまらない構成になったとは思う。
そして冒頭のシーンで白いワンピースの女性が拳銃で赤い花を撃つというサスペンスタッチの映像も驚いた。
最初は間違って別の作品の上映が始まったのかと思うほどだった。
ちなみにこのシーンは中村雅俊と松田優作が共演した刑事ドラマ「俺たちの勲章」からインスパイアされたとの話もある。
のちにその白いワンピースの女性は岡田奈々演じる真弓だということがわかるのだけれど、その岡田奈々の最初の登場シーンでは実際に拳銃をぶっぱなし、すでに故人となっている洋子とかつてのカースケとのやり取りを錯乱状態で再現する映像が描かれる。
残念ながらカースケと洋子の過去の物語や真弓のカースケへの思いなどは事前にほとんど知らなかったのでかなり戸惑ったのも事実。
全体的に場当たり的なシーンが多く、どこにでも顔を出すグズ六だったり、頻繁に鳥取と東京を行き来するカースケだったり、そういう雑然とした構成も逆に昭和っぽくていいのかと思ったりもした。
そして個人的に一番驚いたのは、カースケが社長を務める工場の女性スタッフ紗矢を演じていたのが水谷果穂だったこと。
最初は気づかずにいたものの、その後のシーンで彼女だとわかって久しぶりにうれしくなった。
デビュー以来所属する研音で女優だけでなく歌手活動なども展開していたけれど、その後結婚発表でファンサイトもクローズされ、最近ではテレビのバラエティー「突破ファイル!」の狭小住宅シリーズの再現ドラマのレギュラーくらいでしか見られなくて残念に思っていただけにこのスクリーンでの再会はうれしかった。
過去の映像が大量に使用されているだけに、エンドロールのキャストクレジットの中に、八千草薫や金沢碧の名前もあってよかったかな。
さて、仮に過去の名作ドラマのその後が現代に甦るとしたら自分の場合はどの作品になるだろう?
そう考えた時、真っ先に思い出されたのは「ふぞろいの林檎たち」だった。
自分の学生時代の青春群像ドラマとしてほぼリアルタイムだったし、連ドラのシリーズ化からスペシャル版までたくさんの作品が作られた。
惜しむらくは「俺たちの旅」の鎌田敏夫は健在だけれど、
ふぞろいの林檎たち」の山田太一は鬼籍に入られてしまった。
もしあの頃のようにスクリーンから「いとしのエリー」のメロディが流れてきたら泣けてくるかもしれない。
さて70代のお友達ごっこは見ていて少し歯がゆさも感じたけれど、あの時代を一緒に生きてきた世代にとってはある意味でファンタジーとして楽しめたのかなと思う。
中村雅俊はずっと第一線で活躍していて演技も安定していたし、秋野太作のひょうひょうとしたキャラクターの再現性は相変わらずも、田中健には少し老いを感じてしまった。
それにしても岡田奈々の可憐さは50年の年月を経ても変わらないのがとにかくうれしかった。
前橋シネマハウス シアター0






