経営再建中の大手消費者金融アイフルが、経営破綻を回避するため“掟破り”ともいえる奇策を次々と繰り出して、業界に波紋を広げているのです。

今年6月以降、いわゆる過払い金の返還請求を行っている利用者の代理人たちの元に、アイフルから「伝達・確認依頼書」なる文書がいっせいに送られてきたそうです。

この文書でアイフルは、高止まりする過払い金返還請求によって企業の存続が危ぶまれているとして、返還額の60%カットを要求しているのです。

他のアコムやプロミスのカット率が10~20%であるのに比べるときわめて高いカット率だと言えます。

そればかりではなく、文書のなかには「いつ何時武富士と同じ道を歩まないとも言い切れません」と、経営破綻した武富士を引き合いに出して、このままでは「破綻」してしまうかの様な衝撃的な文言を盛り込んでいました。

アイフルは2009年に私的整理の一種である事業再生ADR手続きの適用を受けて、現在、再建中です。

そのため、万が一、再建が行き詰まって破綻するようなことがあれば、過払い金の返還を90%以上カットする可能性がある武富士のように、過払い金の大半は返還できなくなる可能性が高いと“脅迫”していて、アイフルが求める条件で早期に和解するよう、返還請求者に譲歩を求めているというわけでした。


さらには、もし和解に応じなかった場合のことも記してあって、

「(5割以上の返還率を望むのなら)、解決までには1年以上の期間を要する場合がある」

となっているそうです。


昨今、利用者が高い返還率を求める場合には訴訟になるケースが多く見られますが、消費者金融側が敗訴しても控訴すれば1年程度の時間を稼ぐことはできます。

もし、その間に破綻してしまえば、やはり過払い金は大幅にカットされるぞとさらなる“脅し”をかけているわけですね。


その一方で、銀行団にも異常なかたちで譲歩を迫っています。

あるアイフル幹部は最近、万が一経営破綻した場合に「武富士のときと同様に、ライバル他社にも大きな影響が及ぶのは間違いないだろう」と公言して憚りません。

武富士は破綻後に過払い金返還請求が可能な利用者全員に通知書を発送したことで、それが他社の過払い金返還請求を掘り起こす事態となりました。

アイフルも、もしものときには同じ手法を検討しているといわれていて、そうなれば過払い金返還請求が再び急増する可能性が高いのです。

もしそうなれば、銀行自らが後ろ楯になっている消費者金融の貸し出しが不良債権化するばかりか、場合によっては破綻の連鎖が銀行にも響きかねないため、アイフルを見捨てないように銀行団に釘を刺しているというわけです。

ただ、こうした捨て身の戦略は、かえって反発を生む可能性も高いので、きわめてリスキーな手段と言えます。

しかし、そんな手段をとらざるを得ないと言うことは、図らずもほかに有効なカードがないことを示しているとも言え、それだけアイフルが追い込まれている証拠なのです。


アイフルのXデーも近い・・・?
楽天は、クレジットカード事業の再編に伴って、2011年4~6月期連結決算に営業損失42億円、特別損失759億円を計上すると発表しました。

法人税などを調整した後の最終利益は678億円減少する見通しで、楽天は4~6月期の最終損益を明らかにしていませんが、赤字になるとみられています。

楽天は1日付で、カード事業子会社「楽天KC」(福岡市)の「楽天カード事業」を会社分割により楽天クレジット(東京)に移管したうえで、楽天KCを金融業のJトラスト(大阪市)に譲渡しました。

楽天KCはKCカード、楽天クレジットは楽天カードにそれぞれ社名変更しています。

楽天は6月2日にクレジットカード事業の再編を発表し、その際、株式売却損などで2011年12月期連結決算に約1千億円の損失を計上したため、最終損益が赤字に転落する可能性があるとしていました。

以前から何回もお伝えしている、会社更生手続き中の消費者金融大手武富士の管財人が15日に、韓国の消費者金融A&Pファイナンシャルへの事業の継承を柱とする更生計画案を東京地裁に提出しました。

今後は、更生計画案に対して多くの債権者が同意するのかどうか、また裁判所が計画案を認めるかどうかが焦点となってきます。

更生計画案によると、武富士を会社分割することで、A&Pに消費者金融事業を継承する会社と、債務の返済を行う弁済業務に専念する会社に分けるとしています。

今後の手続きは、まず計画案について債権者の書面投票を3か月かけて行う予定で、債権者の同意が得られれば、10月末から11月上旬に裁判所が認可する見通しとなります。


なんとなく、表面的にはスムーズにいっているかのように見える武富士の再生計画ですが・・・。


この再生計画案を提出するまでに、そのウラでは、とんでもないバタバタ劇が繰り広げられていました。


実は更生計画案の提出期限が7月15日に迫るなかで、スポンサーである韓国のA&Pファイナンシャル社が、資金調達のメドが立たず走り回っていたのです。


ご存知の通り、武富士をめぐっては、今年4月に管財人がA&Pをスポンサーとして選定しました。

ところが、6月中旬になって事態は大きく変わることになったのです。


複数の業界関係者によると、すでに更生計画案の提出まで約1ヵ月という差し迫った段階で、突如、日本国内での資金調達を開始したというニュースが駆け巡りました。


その背景にあるのは、本国、韓国における資金調達の不調といわれています。

韓国では現在、消費者金融の激しい取り立てと高金利が社会問題化しており、規制が強化されている真っ最中なのです。

そのためA&Pも将来性が不安視されている上、さらにウォン安も追い打ちをかけたため、韓国から日本に調達先を切り替えようとしたわけでした。

日本で実際に資金集めに駆けずり回っているのはドイツ証券ですが、銀行をはじめ、証券会社や投資ファンドなどを回って打診してもいずれも厳しいのが現状のようです。

そこで急浮上したのが、破綻した武富士が保有する営業貸付金を担保とした証券化による資金調達でしたが、これもメドが立たないままだったそうです。

武富士の管財人によると、「A&Pは韓国で資金調達できている」としています。

今の国内での調達はより有利な条件での借り換えや新規融資資金の調達であるとして、資金調達難を否定いますが、管財人は6月中にもA&Pを同席させて信用不安を払拭する記者会見を開催する意向をだったのに、いまだ実現していないのが実情です。

しかも、こうした不安観測が金融市場で蔓延し始めたため、A&Pは自社の業績を記した広報資料をあわてて武富士のホームページで公表するなど信用補完に努めるありさまで、その必死ぶりをさらけだしました。

一応、再建案を提出できたと言うことはある程度資金調達できたということなんでしょうが、もし今後、再度資金調達にメドがつかなくなった場合、スポンサーを選び直すということも考えられます。

しかし、金融市場が資金提供に値しない会社と判断したと見れば、清算への道をたどる可能性はきわめて高まるでしょう。