「保乃ちゃんどっちがいい?」


声をかけられた方を見上げると2種類のスポドリを
私に向けていた理佐さん


今はレッスンの休憩中でわざわざこっちまで
持ってきてくれた


「ありがとうございます。じゃあ、こっちで」


と選んで受け取る


するとどこに持っていたのかもう1つ取り出して
また2種類のスポドリを手に持つ


そしてそれを私の隣に座っていた由依さんに
「はい」と言って渡すと


どこかへ行ってしまった


「え?」


「ん?どしたの保乃」


「今、理佐さん私に渡してくれた後も2種類
持ってましたよね?」


「え、あーうん、そうだったね」


「なんで、由依さんには聞かないんですか?
どっちがいいか」


「あー、」


「理佐さんあっちの味が良かったんかな」


「違う違う、逆だよ」


「ぎゃく?」


「私がこっちの味飲みたかったの」


「へ?いや、だって由依さんこっちがいいって
言ってなかったですよね?」


「言ってないね」


「じゃあ、なんで」


「そういう人だからあの人は」


何だか分からないがただ純粋にいいな。


なんて気持が芽生えて自然と口に出てしまう


「なんか、ええなぁ。お互いが分かり合えてる
感じがして」


「まぁ、もう長いからね」


と言う由依さんの方をちらっと見ると


とても優しく微笑んでいた





あの日から数日がたったある頃


「保乃!ゼリーあるよ」


と天ちゃんに声を掛けられ


ケータリングを覗くとそこには2種類の味のゼリー
が置いてあった


天ちゃんは私はこっち〜っと言いながら手に取り
理佐さんと由依さんのいる方に向かっていく


あ、いいこと思いついた


私は自分が食べたい方を取ってそれとは別に
2種類のゼリーを抱える


「理佐さん!」


「ん?」


「由依さんのゼリー選んでください!」


「え?なんで、私がこばの選ぶの?」


「いいから、いいから」


「…右」


不思議そうな顔しながらも答えてくれた理佐さん


合ってますか?と隣の由依さんに尋ねる


「残念!左です!」


まさかの答えに


「はずれる事もあるんですね」


なんて訳わかないことを口走ってしまう


由依さんに左のゼリーを渡そうとすると


ひとつため息をついた理佐さんが由依さんの頭を
軽く叩いた


「いてっ」


「いいんだよ私は。今日はこっちの気分なの」


と言い由依さんに渡すはずだった方のゼリーを
取った理佐さん


その直後に「りさ〜」と尾関さんに呼ばれその場
から居なくなった


私と天ちゃんはこの状況についていけていない


「おねぇちゃん、
そんなにあの味食べたかったんや」


と3秒ほどの沈黙を破った天ちゃんの言葉に
吹き出した由依さん


「え、私の発言変だった?」


「いや、変やないと思うけど」


「あーごめんね、違うんだよ」


私と天ちゃんは何がどう違うのかさっぱりで
早く説明して下さいという眼差しを向ける


「本当は私が食べたかったのはこっち」


私が持っているゼリーを指さす由依さん


「理佐が選んでくれた方が正解だったの」


「なんで、嘘ついたんですか?」


「理佐もこっちが好きだから」


「え?由依さんがわざと理佐さんに譲ったって事
ですか?」


「うん、そういう事」


「でも、おねぇちゃんは今日こっちの気分じゃ
無かったんですね」


「あはははは」


「だからなんで笑うんですか!」


「ごめんごめん。なんか面白くて」


「違うんですか?」


「なんて言ったらいいんだろう理佐に譲ったこと
事態が理佐にバレてたって言ったら伝わる?」


「あぁなるほど」


「だから、何を遠慮してるんだって
頭叩かれちゃった訳さ」


「なんか、いいですね。分かり合ってる感じ」


なんて天ちゃんがスポドリの時の私と同じような
感想を口にした


「でも、あのやり取りだけでそこまで
分からないですよ普通」


「そーかな?まぁほらもう長いから」


あれ、前も言ってたなこの台詞


ただ、一緒にいるのが長いからなんて


そんな単純な理由じゃなくてこの2人にはきっと


私たちでは分からないような


「何か」があるんだろうな


その証拠に由依さんが前回よりも


すごく、すごく、すごーく


優しく微笑んで理佐さんの方を見ているから


やっぱり素敵だなとそんな光景を見て


憧れてしまう










あれ以来、天ちゃんが私はどっちが食べたいでしょーか?とことある事に聞いてきて


私も真剣に考えるが


まぐれで当たるぐらいで


何回やっても天ちゃんが本当は何を思いどうして
欲しいのかは分からなかった


改めてあの2人は凄いなと尊敬する


私もいつか多く語らなくても分かり合えるような


そんな存在の人ができるだろうか






































おわり。