センバツ2017!熱闘の二回戦 | 社会の窓まで ―飽くなき探求心―

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類稀なる発想力とバイタリティを遺憾なく発揮し、その真実にせまる!

これまでのあらすじ

春の選抜高校野球。

大会7日目 第三試合。

歴史に名の残る日になる。

 

 

 

 

第二試合の延長戦の影響で、少し陽も傾き始めた第三試合。

 

 

 

健大高崎(群馬)福井工大福井(福井)

 

 

 

機動力に打力を加えた健大高崎。

ここ数年に一度と打線に自信を持つ福井工大福井。

 

きっと楽な試合にはならないだろうと思う。

 

 

 

 

 

 

今日は終始アルプスに入ることにした。

 

 

甲子園ってのは、不思議な場所でさ。

日本中のどの球場よりも応援が力をもつ場所なんだ。

 

スタンドが最高潮に熱され、無党派客の心が片方のチームに極端に寄ると

ドラマへの期待と勢いで「絶対に打てる」という雰囲気になる時がある。

 

そうなると投手は魅入られたように真ん中に投げてしまったり

四球しかなげられなくなってしまったり、する。

それを「甲子園のマモノ」と呼ぶ人もいる。

 

 

応援は10人目の選手。

厳しい展開でも応援席が冷えないように

声援が、少しでも選手の力になるように。

ずっと声をだしていようと思った。

 

 

 

試合は、健大高崎が先制した。

 

が、先制した4点はじわりと逆転され

中盤以降は意地で1点をもぎとりあう拮抗した展開になった。

 

 

「今年のチームは、あんまり盗塁しないな」

誰かがそう言っていた。

 

健大高崎を年間通してみること、2年。

盗塁だけが「機動破壊」じゃないということを知った。

たまたま盗塁が上手かった時に有名になっただけだ。

 

今年のチームは、その「だけじゃない」方に長けたチームだという印象。

 

 

 

チーム屈指の俊足という二番打者、小野寺くん。

この日は何度もチャンスを作り、そして何度も生還した。

 

 

そして、その時はやってくる。

 

 

1点を追う9回裏、二死二三塁。

 

 

「単打で戻れるリードしろ!!」と声をかける三塁コーチャー。

いわれるまま大きすぎるリードを取る二走。

投手は二塁へ牽制。二三塁で挟まれた二走に悲鳴が上がる――

 

よりも早く。

二塁牽制の瞬間に本塁へ突進する三走。

 

 

 

 

 

 

起死回生のホームスチール…!!

 

 

 

二走と三塁コーチャーは演出だった。

あとアウトひとつで試合が終わるこの場面で。

神風が吹いたと思った。

 

 

そう。そうなんだ。

私がこの学校に魅せられたのも、この「秘策」を見てしまったから。

 

 

この試合の後のインタビューで、本盗を決めた小野寺君が

「勇気ある走塁が勝利を呼ぶとコーチから聞いた」

とコメントしていてさ。

胸が熱くなった。

 

私がこの野球に魅せられる理由は。

 

 

勇気あるプレーに、勇気をもらうからだ。

 

 

それをテーマにして練習してきて、それをここでできるのは

勝ちを信じる=監督・コーチの教えを信じている

ということなんだよね。

 

その奇跡の根拠は、信頼。

それが、見えた。

 

 

 

 

 

 

この試合は、延長15回。

引き分け再試合。

 

この勝負の続きは、2日後へもち越しになった。

 

 

 

この日、2試合目も引き分け再試合になったんだ。

 

史上初の、二試合連続再試合。

きっとこんな日は、もう二度とないと思う。

 

できれば、違う形で記録に残りたかったけれど

多くの人の記憶に残る試合にはなったと思う。

 

 

2日後は、必ず。

 

 

 

 

 

つづく