医師から膀胱がんの疑いがあると言われたものの、この病院では詳しい検査や手術は難しいということで、地域の中核病院の泌尿器科を紹介されました。

1週間後、紹介された病院を受診したのですが、この日は時間が足りず血液、尿、CT検査などで終了し、後日内視鏡検査を受けることとなりました。
改めて病院を訪れると、内視鏡検査は行われず、医師から前回の検査結果が伝られたのですが、私の住む街の病院を受診してはどうかというものでした。

状態がかなり悪いこともありますが、認知症だからということも理由の一つだったようです。

母が病院を紹介してはくれないのかと尋ねたのですが、具体的な提示はなく、紹介状を書くので自分たちで探すようにとのことでした。
この時、私は同席していなかったのですが、母はかなり不安を感じたようです。

しかも、この病院からの紹介状がなかなか届かず、次の病院を受診する日も決められなかったことが母をますます不安にさせたようです。

次に受診する病院をどうするか。
かなり悩みました。

ネットで評判の高い病院も見つけました。
しかし、認知症の人を受け入れてくれるのか。

病院探しにかなり悩みました。
膀胱がんであることがわかったのは、年に1回の脳神経外科での検査のついでに泌尿器科を受診したことがきっかけです。

理由は、極度の頻尿と時折「尿に血が出ている」と言うようになったからです。
頻尿に関しては、年齢的なものもあるだろうとあまり気に留めてはいませんでした。
しかし、尿に血が混じるというのは何かの病気のサインではないかと、母もとても気にしていました。

ただ、肝心の本人は大の病院嫌い。
素直に泌尿器科受診を受け入れるわけもなく、母の心配をよそに激怒してしまい手をつけられない状態になります。
認知症でもあるため、血の量や痛みを確認しようとしても、その時々で言うことが変わるため父の証言だけではしっかりと状況を把握することができません。

そんな状態がしばらく続いたのですが、脳神経外科の病院に泌尿器科も新設されたと聞き、検査の時に一緒に受診するなら父も聞き入れてくれるだろうと思い受診することにしました。
父は納得はしていないようでしたが、「来たついでだから、気になるところはお医者さんにみてもらおう」 と伝えると、検査にも協力的になりました。

尿検査とCT検査をした後、医師から言われたのが「膀胱がんの疑いがある」ということと、「がんはかなり大きくなっていて、1年や2年でできたものではない」ということ。
母も私も、すぐに言葉が見つかりませんでした。

父は一瞬は「俺ががん!?」と反応するのですが、すぐに忘れてしまいます。
おまけに、なぜか尿道結石など別の病気だと思い込んでしまいました。
もしかしたら、がんへの恐怖がそう思い込ませたのかもしれません。

父は1年に1回、慢性硬膜化血腫の手術をした病院で脳の検査を受けています。

しかし検査を受けても、それを元に担当医から現在の状況や認知症のケアについて具体的な話があるわけでもなく、アリセプトの他にメマリーを服用するようになったのも私たち家族からの申し入れがあってのことです。
もちろん、要介護認定の申請についても担当医から語られることはありませんでした。

ある意味、この検査は単なる恒例行事のようなものに過ぎなかったと言ってもいいでしょう。

父をアルツハイマー型認知症と診断したのは、この病院とは別の私の住む街にある脳外科です。
担当医の対応では不安を感じたため、認知症ケアでも名のしれた病院の1つを受診することにしたのです。
ここはもの忘れ外来もあり、とてもわかりやすく丁寧に父の状態を説明してくれました。

以前、作業療法士の友人が言った言葉を思い出します。
「病院は選ぶもの」

そして、この言葉を実感する機会がたびたび訪れることになります。