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私は父の認知症の状態や母の体調を考えると、いくら訪問看護や介護サービスを使ったとしても、母が1人で在宅介護をするのは難しいと考えており、そのことは以前から母にも伝えていました。

母は、私の言い分に理解を示してくれていました。
母からも「お母さん一人じゃ無理だ」という言葉は聞いていましたが、それとは裏腹に父を見捨てることになるのではないか、親戚や知り合い(地方の小さな市なので)に何と思われるだろう等といったことを気にもしていました。

母の本当の気持ちを知りたいと思いました。
母は父にも私にも気を遣って、自分自身がどうしたいのか、どう思っているのか、本当のことを言っていないのではないかと思ったのです。

娘の私にはわからない、母の父に対する思いもあるでしょう。

思いきって母に伝えました。
私とは違う考えかもしれないから、正直な気持ちを教えてほしいと。

すると母はこう言いました。
「お母さんは自分の体のことも考えると、これ以上負担を増やせない。一人で家で介護するのはもう無理。」



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泌尿器科で医師の話を聞いた翌週、精神科外来で「家族面談」をしました。
入院中のこと、手術後の生活やケアのこと、不安に思っていることを正直に伝えました。

何よりも、膀胱全摘手術が総合的な判断として父にとって良いことなのか、私には迷いがあったのです。
もちろん精神科の医師と話をしても、膀胱がんの治療として直接の解決策とはならないのもわかっています。

精神科の医師は、私の不安な気持ちを察したのでしょう。
入院中は泌尿器科と連携して治療にあたること、何かあれば相談を受けると話してくれました。

父の認知症の進行状況も、中等度~高度に入っている状態とのことでしたので、手術後に落ち着かないようであればそのことも配慮するとのことでした。

少し安心した私は、その夜、母に報告と相談の電話をしました。
手術をするかしないか、母本人の気持ちとして主たる介護者として在宅ケアができるのか、そのつもりがあるのか、じっくり話をしました。

手術については、父の膀胱がんの状態を考えると、このまま何もしなければますますがんは進行するし転移の可能性もあるので、いくら完治はしない、命の終わりが見えているとはいっても、治療方法として必要ではないかと母も私も考えました。

しかし、在宅介護については、母は揺れ動いているようでした。


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泌尿器科での結果を受け、手術をするのか、それともしないのか、2週間後に再度医師と話をすることになりました。
それまでに、精神科の医師と話をしておくとのことでした。

泌尿器科の医師が膀胱がんの治療方法として、全摘手術が最善と考えたのは理解します。
しかし私には、認知症である父のQOL(生活の質)や母の介護負担の増加には何ら配慮がないと感じたのです。
患者にも家族にも手術をしたら終了ではなく、手術後の生活があるのです。

もう一度、精神科の医師に会って今の不安を伝えようと思い、急遽精神科の外来に出向き「家族面談」の予約を入れました。
その時の私は、とにかく話のわかる誰かに話を聞いてもらいたかったのかもしれません。

その夜、母に検査結果を伝え、精神科の医師と話をした上で手術をするか決めようということになったのです。