5歳の距離 -4ページ目
「シュウが好きなの。」
そう言った途端、
急に泣きそうになる…
言葉の出ないカズキを見て
涙を堪え、言葉を続けたた。
「カズキといても、
シュウのこと考えちゃうの。
今シュウは、彼女と別れて
うちを待ってくれてる。
本当に変わってくれた。
だから…最後に信じたい。」
「…やめとけよ。」
…え?
「1回浮気した男なんて
何回でもできんだよ。
ナツが辛い思いするだけだ。」
突然の強い口調。
シュウの悪口を言い出す彼。
最低な男だってことは
うちが一番分かっている。
でも…他人に言われると
すごく頭にきた。
「人間変われるよ。
カズキだってさっき、変わる
って自分で言ってたじゃん。」
「でも…」
うちが何を言っても、
返ってくる言葉は
「でも」から始まった。
うちも少し強い口調になり
決心が固い事を必死で伝えた。
「わかった…」
ようやく彼を納得させた時
既に夜中の3時を過ぎていた。
やっぱり
別れを告げる側は辛い。
最低だな…
軽い気持ちで付き合った
自分に腹が立った。
開放感なのか
安心感なのか
達成感なのか
泣きながらシュウに電話した。
家に着き、
彼と別れた事をシュウに報告。
シュウとの電話を切った直後、
1通のメールが…
【やっぱり別れたくない。
俺ナツがいないとダメだ。
もう一度話し合いたい。】
驚いた。
カズキからこんなセリフ
聞いたことない。
うちはフられた側の気持ちが
痛いほど分かってるから、
シカトなんてできなかった。
それに、よくあっさり
別れてくれたなぁと
少し不思議に思っていた。
【話すのはいいけど、
より戻す気はないから…】
チャンスを与えたが、
勘違いされない様に
釘を打った言い方をした。
【とにかく会いたい…
失ってから気づいたけど
俺、ナツの事ほんと好き。
夜会えないかな?】
何通かメールをして
夜、会うことになった。
―夜中の12時過ぎ
近くの公園まで
カズキが来てくれた。
「夜中にごめんね…
でも、本当に別れたくない。」
「うちとカズキは
合わなかったんだよ…
これは仕方ない事だと思う。」
「…順調に3ヶ月も続いて、
俺のこと好きになってくれた
って安心しきってたんだ。
初めての彼女って事もあって…
ナツの気持ち気づかなかった。
本当にごめん。」
「でもカズキは、
それが素なんでしょ?
うち本当はもっと甘えたいし
わがままも言いたかった。」
「俺、変わるから。
ナツのこと大切にするから。」
そんなやり取りが
しばらく続いた…。
「もう一度チャンスが欲しい」
と泣きながら言う彼。
うちが今まで言った事を
聞いてなかったのかと思う程、
自分の意見を通そうとする。
ただただ
「別れたくない」と。
まるで駄々っ子。
もう…最終手段だ。
「…本当は
言いたくなかったけど…」
そう。
別れを決断した理由は
もう一つあった……
「何言ってんの?」
そう、無理に笑った。
カズキはまだ
信じれなかったのだろう。
「別れる」
今日で別れる決心をして
もう一度言った。
「…え?なんで?」
「前から思ってたんだけど、
喧嘩したらすぐ
別れるって言うよね…
てことは、
いつ別れてもいんでしょ?
なんか…付き合ってる意味、
わかんなくなっちゃった。」
「え…いや…」
突然の事に、
何をどう言えばいいか
分からなくなっている彼。
毎回、本気で別れるなんて
言ってない事は、分かってる。
でもそんなこと言われるの、
慣れてもらっても困る。
こんなことで、
別れるまでじゃないけど
もうこの人とは合わない。
考え方が違う。
このまま続けても、
意味がないと判断した。
ごまかした様に笑い、
まだ、本気で別れる
なんて思ってないみたい。
沈黙が流れる。
やっと分かってくれたのか、
彼は泣き出した。
「えー…やだぁ…」
最後まで子供のようだ。
それから少し話し合い、
少し拒んだけど
「わかった。」
と、彼は答えた。
「ごめんね、ありがとう
じゃぁ…行くね。」
そう言って、
もう二度と来るはずもない
彼の家を出た。
カズキと終わった。
帰り道、
スッキリした気持ち
でいっぱいだった。
そう…
浮かれていた。
でも…
やっぱり“子供”は、
手強かった。

