山陰の味覚に酔う
JR山陰本線鳥取駅から徒歩約五分、永楽通りから入った路地に居酒屋(やまかん)がある。
「電話した……」
「あ、どうもすみません」
さっき店に電話すると、予約で満員だが一時間くらいならと入れてもらえたのだ。
玄関を入ると右にカウンター、奥は板の間席。
内装は古い味がつきいい雰囲気だ。
まずは酒。
芋焼酎「島美人」ロックの淡麗で素朴な飲み口は気持ちをほっとさせる。
時間ないから急いで注文。
ホワイトボードに、おおあった。
山陰に来たのはこのため。
「モサエビ刺身ね」
「はいよ」
届いた頭の殻だけ残して下半身はあらわなヌードのモサエビ【クロザコエビ・金沢ではガスエビ】刺身のうまいことよ。
およそサッパリした小さな店だが、これが腰をおろすと実に落ち着くのである。
外に人通りがないから喧噪感というものが伝わってこない。
ちょっと人里離れたという雰囲気が気持ちをしずめてくれる。
しばらく疎遠にしていた親戚を訪ねたときのようなリラックス感がある。
塩さば500円
焼おにぎり550円
もずく雑炊600円
子持がれい煮付700円
ハイボール550円
生ビール600円
「営業時間17:00～翌0:00/火休」