『わるい仲間』 | シネフィル女子の日常

シネフィル女子の日常

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1963年、フランス。ジャン・ユスターシュ監督。




あらすじ↓



広場をうろつく二人の青年の楽しみはナンパ。
ある日、一人の女性をナンパし、上手くダンスホールへ誘い出すが、他の男性とばかり踊る女性から馬鹿にされたと感じた彼らは、彼女の財布を盗み出し……。



キラキラ財布キラキラ財布キラキラ財布キラキラ



当時、ゴダールらにその類い稀な才能を知らしめた、ジャン・ユスターシュの中編作品です。



二人の青年が交互に、一人の女性を射止める為に何やかや口説いたりするんですが……






会話が進んでいくうちに、青年二人が本気で彼女を落としたいのか、単なる暇潰しなのか……何だかよく判らなくなってくるんですよね。



お金が無いのに働かず、暇を持て余してばかりの青年二人にとって、ナンパしてダンスホールで踊って……という一連の流れは、あくまでも娯楽であって……



実は、本気で女性を振り向かせるつもりなんて無いという事が、徐々に明らかになっていくんです。






青年二人は気の合う悪友同士で、女性を巻き添えにしながら二人でその状況を楽しんでるだけであって……



多分、彼らにとって本当に重要なのは、恋愛ではなく友情なんですよね。



お互いに、わざわざ女性とかナンパとかを理由にして一緒にいようとしてるみたいww



しかも、女性の態度に腹を立てて、どうするんやろーと思って観てたら、「な、盗む?」「それやな!」って具合で、財布盗んで逃げるしww






ダンスホールからの脱走シーンも、楽しんでる様にしか見えない笑



でも、財布の中に女性の子供の写真を発見して、初めて自分達の過ちに気付くんです。






そんな感じで、完全なワルになりきれない青年二人の微笑ましい様な中途半端さを、鋭く克明に描いています。






また、彼女は欲しいけど面倒だし金も要るし、野郎同士の方が気楽、女は一夜限りの関係がいいかも……という様な、精神性に欠けた若者の刹那的且つ矛盾した心理が見え隠れしていましたww



で、そんな下心丸見えの青年に引っかかる女性がいないのも当たり前なんですけど、彼らは、自分達が何故モテないのか不思議で仕方ないらしく……



鏡の前で自分を見ながら「俺まあまあイケメンなのに、何で女はそれに気付かんのやろ?」みたいに抜かし出す始末ww(いや、外見云々というより、もっと根本的な問題やと思うよニヤニヤ)



でもその後、まあええかー、あっはっはーゲラゲラという感じになって再び町に繰り出す二人……



このシーン……観てて、何かもう可愛いとすら思ってしまいました笑



人間らしいけど、同時にすごい未熟でもある青年二人の生態が極めてリアルに描かれていて、そんな若者の悲哀や愚かさに、どこか普遍的なものを感じました。



でも、そんな彼らにも心底には虚しさみたいなものがあって……

 

どうでもいい内容の会話が途切れた時の気怠い表情とか、退屈な雰囲気とかに、日常に潜む究極的な生の倦怠が、少しずつ浮き彫りになってくるんです。









ジャン・ユスターシュという人は、非常にシンプルなストーリーの中に、人間の暗黒面をさりげなく表現するのが凄く得意な監督ですね。



だから、特に何も大きな事が起こらない退屈な内容に、観ている側は退屈する事が無いんです。



  
 

たびたび映し出される、パリの古い街並みも良かったですハート