『ぼくの小さな恋人たち』 | シネフィル女子の日常

シネフィル女子の日常

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1974年、フランス。ジャン・ユスターシュ監督。

あらすじ↓

13歳のダニエルは祖母と一緒にフランス南

部の小さな村で友人たちに囲まれて幸せな

日々を過ごしていた。そこへ突然、他の男

と暮らしている母親が現れ、彼をナルボン

ヌの街に連れ去ってしまう。村とは違う都

会の暮らしに戸惑うダニエル。母親は高校

に行かす金はないと、ダニエルに働くこと

を命じ、ダニエルはバイクの修理屋で働き

始める……。

allcinemaより

スニーカースニーカースニーカースニーカースニーカースニーカースニーカースニーカースニーカースニーカー

私事ですが(´-ω-`)小学校低学年の頃、毎週

日曜日になると、決まって家族で喫茶店に

モーニングを食べに行っていたのだが、そ

の喫茶店の前の道路を挟んだ向かい側に、

私と兄の大好きなTSUTAYAがありゲラゲラ食べ

終わった私と兄は、TSUTAYAがオープンす

る10時まで喫茶店で待ち、オープンと同

時に二人で直行していた(その間、両親は喫

茶店でまったりしていた様子)イヒ

当時はVHSしか無かったが、ビデオのパッ

ケージを見て強く惹かれる映画がいくつか

あったぶーどれも暗い感じの雰囲気のパッケ

ージで、怖かったらどうしようと子供なが

らに思い、借りずに我慢していたのだが、

中でも特に気になっていたのは、ルナール

原作でジュリアン・デュヴィヴィエ監督作

品の『にんじん』だったねー白黒で暗い雰囲

気のパッケージは少し怖かったが、美しく

も感じられて、強烈に惹き付けられたガーン

かし借りる勇気がなかなか無くて、毎週兄

とTSUTAYAに行っては『にんじん』のパッ

ケージを飽きることなく眺めていたおーっ!

結局初めて『にんじん』を観たのはずっと

後の方になってからであり、何ら怖くなか

ったので呆気にとられてしまった記憶があ

ねー

中学時代に観た中で印象に残っている映画

は、マーティン・スコセッシ監督でロバー

ト・デ・ニーロ主演の、皆さんご存知の有

名作品『タクシードライバー』カチンコ

まず、パッケージからただならぬ空気を感

じ、直ぐ様借りて観たガーンそして思った通り

素晴らしい映画だった(* ̄∇ ̄)ノ

考えてみればその頃から今に至るまでずっ

と、借りて観た映画といえば、パッケージ

に惹き付けられたものばかりΣ( ̄ロ ̄lll)

そして本作も同じく、この少年の何ともい

えない表情と、パッケージの不思議な空気

感に惹かれ、大学の頃に借りて観て大好き

になった作品カチンコ

この作品については以前の記事でも少し触

れているのだが、レビューはしていなかっ

たので取り上げてみた(* ̄∇ ̄)ノ

改めて、『ぼくの小さな恋人たち』です。



田舎で祖母と暮らしていた主人公は、突然

やってきた母親に連れられ都会での生活を

余儀無くされる。



しかも、金銭面の問題から高校にも行かせ

てもらえず、バイクの修理屋で働き出す主

人公。



家の中には母親の恋人がいて、貧しい上に

主人公が置かれた環境は劣悪ともいえるも

のだった。



働く以外では、街の中をウロウロしたり、

年上の仲間達とカフェの前でどうでもいい

話をしたりしている主人公。

また、学校に行っている青年から学校につ

いて色々聞いてみるものの、通うことの出

来ない自分の現実を改めて目の当たりにす

るだけであった。



異性への関心も芽生え始め、仕事場の窓か

ら見える女性を眺めたりする主人公。



ある日、プレイボーイと噂される青年と、

その仲間達とで出掛けた主人公。彼らは二

人の女の子を見つける。一人をプレイボー

イがナンパ、もう一人を主人公がナンパす

る。



主人公は女の子と何気ない会話をしていく

のだが……。



ストーリー自体は非常に単純である。一人

の思春期の男の子の日常を、淡々と描いて

いるだけだ。しかしこの主人公の、終始無

表情な様子は一体何か。どんな状況であれ

彼は笑いもしなければ泣きもしない。怒り

もしない。感情など無いかの様な彼の表情

を映し出すことで、平凡な日常の裏に隠さ

れた狂気的な部分を匂わしている。また、

主人公のみならず、登場人物全員が表情に

乏しい。

その様なことから、少しブレッソンを想起

させられる。しかし同時に異なった様な印

象も受ける。本作の登場人物達の無表情の

方が、ブレッソンのそれよりも、どこか滑

稽である。

主人公と仲間達が全員、無表情のままボー

トに乗っているシーンなどは、あまりにも

シュールで笑いさえ誘う。監督に何らかの

意図があったのかどうか判らないが、そも

そも、この作品を撮った監督に意図など何

も無い様な気さえする。

監督はジャン・ユスターシュ。他に『ママ

と娼婦』など数作品撮ったものの、最後に

はピストル自殺している。

この映画にはメッセージ性が無い。むしろ

メッセージ性が無いことがメッセージなの

かもしれない。

滑稽さと共に狂気まで見せつける演出は、

ユスターシュにしかできない技であろう。

全体を通して見受けられるある種のシュー

ルさには、どこか普遍的なものがある。そ

のシュールさによって、淡白で乾いた笑い

を誘いながらも、作品の深遠さをも同時に

感じさせる様な不可思議な技法には、古臭

さどころか斬新ささえある。

主人公は、何を考えているのか全くわから

ないし、どこに向かっているのかもよくわ

からない。登場人物の感情の喪失と、作品

における指標の喪失が、独特のカオスを導

き出す様は不気味だが、観客を惹き付ける

魅力が少なからずある。



主演のマルタン・ローブ君、可愛かったで

すー(* ̄∇ ̄)ノ彼の徹底した無表情ぶりを

見るだけでも充分価値がありますねーねー



淡々としていながらもどこか狂気的で斬新

でもある、監督の手腕が存分に発揮された

不思議な作品です(* ̄∇ ̄)ノ

興味のある方はぜひΨ( ̄∇ ̄)Ψ








カチンコカチンコカチンコカチンコカチンコカチンコ




アンジェイ・ワイダ監督のご冥福をお祈り申し上げます。