10月7日
沖縄本島北部の浜辺で起床。
とりあえず本島を一周することにした。しかし現在地はいまだやんばると言われる場所。沖縄などそうそう簡単に来れる場所ではないので、ゆっくり回ることに。
あいかわらず信号もなく、のどかな亜熱帯の森が広がっている。
しかし空を見上げれば米軍の航空機が飛んでいたり
不発弾に注意などという物騒な張り紙がされていたりする。
途中、小規模だが基地反対のデモ隊も見かけた。
沖縄を語るうえで避けては通れない戦争の跡。豊かな自然のすぐそばに、負の遺産が転がっているという矛盾。戦後70年以上経った今も、この島の一部には爆弾が埋まっていて、進駐軍が目を光らせている。日本の学校教育はこの島で戦った人、亡くなった人の歴史を(やや歪曲して)子供たちに教えている。
それを記憶と人は呼ぶが、そんなもの忘れてしまうくらい時間が経てばいいのにと思うのは僕だけだろうか。忘れられないのは、この先の未来に戦争をする可能性のある人間の弱さだと思う。
「ずーっと昔に戦争なんてあったんだ」、
「うっそーありえない!」
早くそんな世界になればいいのに。
いいや、なんでもない。所詮あの時代を知らない世代の戯言さ。
不発弾ポスターのあった施設に、オオウナギがいた。
めちゃデカい。釣ってみたい・・・・・というか食べてみたい。
ところで沖縄北部にはコンビニなどほとんどない代わりに、共同売店という店がある。地区ごとに必ずといっていいほどあり、品ぞろえはコンビニを若干小さくして地元の物を置いたようなかんじなのだが、これが入ってみると実におもしろい。
見たことのないおかしや美味しそうな総菜がお手頃価格で手に入れられる。この日はラー油のかかった脂っこいやきそばとルートビアを購入。
店先のテーブルでガッツいていると、一人のおじいさんに話しかけられる。
いや、話しかけられたのか、独り言を言っているのか最初はよくわからなかった。というのも、まったく言葉が聞き取れないのだ。それは訛りや方言など通り越し、もはや別の言語。中国や台湾の人かな?とも思ったが、ところどころなんとか日本語の単語らしきものは聞こえるので、おそらく沖縄方言なんだろう。それになぜだか僕のしゃべる標準語は理解しているようだった。
お金を手渡され、今飲んでいる缶ビールを指さした。どうやらおごるから一本買ってきてと言ってるみたい。僕はバイクの運転があるしそもそも飲まない人なのでコーラにした。おつりを返そうと思ったが全部くれた。ありがとう。
ビールとコーラで乾杯し、その人は僕の旅の話を楽しそうに聞く。こっちまで楽しくなり1時間以上話し込んだ。
やがて家族だろうか、車から人が降りてきておじいさんに話しかけだした(そしてこの人たちも標準語)ので別れを告げる。満面の笑みで手を振ってくれた。
ふたたび森のなかを走る。途中でまるで翼竜のようなオオコウモリが飛んでいて、写真に撮りたかったが携帯を取り出す間にどこかへ飛び去ってしまった。
そして喉が渇いたらやはりルートビア笑 沖縄にいるうちに飽きるほど飲んでやる。関東で買うより安いし。
夕暮れのマングローブ林。トップで何発か出したが乗らなかった。
まだ暗くなっていないが、某公園を本日のキャンプ地とした。沖縄ぐらいゆっくり回ろうじゃないか。と、テントの中でのんびりしていると、どこからともなくやってきたおじさんたちが強力な照明をつけ、ゲートボールに興じ始める。
寝床選びに失敗したか・・・と思ったが、お邪魔しているのは明らかにこちらなので寝ることにする。
しかし眩しすぎて寝れない( ´∀` )
するとそこに、おじさんの一人がお椀を持ってこちらへやってきた。僕が旅人だと思い、一言声をかけに来たみたい。そんな、気を使わなくていいですからと言ったが、渡されたお椀の中身はそばだった。
見るとゲートボールは早々に切り上げて、皆でデカいナベに入ったそばをつついている。
実は昼にコーラ以外もおごってもらい、結構おなか一杯だったのだがあまりにいい香りだったため、ご厚意に甘えさせていただく。
いただきます、まずは一口・・・
旨すぎるっっ!!!!
今まで食べた物のなかでぶっちぎりに一番旨い。
そばと言っていたが、内地(島人は本土をこう呼ぶ)の人間からすると麺は平打ちのうどんに近かった。なるほど、ソーキそばのそばか。いわゆる沖縄そばね。肉がたくさん入っている。豚肉だろうか。柔らかく煮込んであって旨い。ダシは何を使っているのかよく分からなかったが、深い香りと味わいであった。
その後、もう一杯食べたくなって、宴会に混ぜてもらうことに。
皆60代だろうか、地元のお仲間達。聞けば沖縄ではこうして外で集まって飲み食いするというのはよくやるそうだ。知らない人を誘うというのも、別に特別ではないらしい。そんな開放的な沖縄の文化が自分には心地よかった。
ちなみにこの方たちも全員標準語だった。売店の前で出会ったご老人がいかに高齢であったかが分かる。その話をすればよかったな。
そばの具について聞いてみると、肉はなんとイノシシの肉であった。沖縄でもめったに食べれない食材で、知り合いが罠で捕まえたという。どおりで鼻に抜ける香りが独特なわけだ。スープにうまみが凝縮されている。しかし猪肉がこれほどおいしいとは。とことん脂っこいが、豚と違ってクドくなく、バクバク食べられた。普段は小食な自分もこの時ばかりは遠慮せず動けなくなるまで無心に食べた。ご馳走していただき、今日知り合った人たちと囲んで食べるそばとイノシシ肉は半端じゃなく旨かった。
何度でも言おう。猪肉ほど旨いものはないっ!と。
夜遅くまで話し込み、全員眠気が出てきたところで解散。鍋の残りは全部僕にくれた。さすがに脂っこくて食べきれなかったが、明日くらいまでは持つだろう。皆さんにお礼をいい、自分はテントへと戻る。
素敵な出会いがあり、人生で一番旨いものを食べた日。僕ははち切れそうなお腹をさすりながらテントの中でこう叫ぶのであった。
沖縄最高!!!
31/47都道府県到達