言葉にすると誤解が生まれるから、一生口になんてしない。言葉は脆弱だ。
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サマセット・モームの「月と6ペンス」を読んだ。
一人の金融マンが、家族や仕事を捨てて、パリで絵を描き始める。
それは偶然の衝動から?
もともと持っていた素質なのか?
なぜ絵を描くのか?
誰にもわからない。
彼は無口で無愛想だ。
話すのが得意でない。
単に俗的なものを否定するのではなく、無関心な態度であしらう。
愛さえも、欲望の延長線上にあるつまらないものだとして、楽しまない。
もしかしたら、これが究極の幸せのかたちなのかもしれないと思う。
そこにあるのは、取り憑かれたような魂と恐れるほどの美への執着だ。
絵を描くこと以外の行為は全て、まるで魚を調理する過程で切り落とされる内臓や頭の部分のように、無意味だとしてさっぱりと人生から捨てられてしまう。
妻と子供を見捨てようと、
セックスした女が自殺しようと、
共感や感情などない。
批判を受けても、軽薄な笑いであしらう。
描いた絵を売ろうとしない。
富や名声、批判や賞賛も、どうでもいい。
絵を描いている瞬間、心の絵の具がキャンバスで遊び踊る瞬間だけに、喜びを感じる。
実に幸せな人生だと
私は思った。
お金のためにがむしゃらに働いている人たちへ、
この本を届けたい。そんな風に思いました。