一つの小説で、その著者の世界観やもっているものさしの種類、大きさ、なんとなく感じてしまうよね。
この本のいたる部分にちりばめられているウェルベックの言葉が響く。
「しかし、ただ文学だけが、他の人間の魂と触れ合えたという感覚を与えてくれるのだ。その魂のすべて、その弱さと栄光、その下に、矮小さ、固定観念や信念。魂が感動し、関心を抱き、興奮しまたは嫌悪を促したすべてのものと共に。文学だけが、死者の魂と最も完全な、直接的でかつ深淵なコンタクトを許してくれる。」
「女性の性的魅力の崩壊は驚くべき荒々しさで、ほんの何年か、時には何か月かの間におこるが、男性の加齢はその性的な能力をとてもゆっくりしか変えないという基本的な不平等をぼくは十全に利用した。」
「攻撃性はしばしば誘惑の欲望を隠している。」
「希望がなくなったとき人々にのこされているのは読書なのだと信じるべきなのだろう。」
「ノスタルジーは美的な感情とは何の関係も持たず、幸福な思い出と結びつかなくても、ぼくたちは自分が「生きた」その場所を懐かしく感じるのだ、そこで幸せだったかどうかは関係ない、過去は常に美しく、未来も同様なのだ。ただ現在だけが人を傷つけ、過去と未来、平和に満ちた幸福の無限の二つの時間に挟まれて、苦悩の腫物のように常に自分につきまとい、ぼくたちはそれと共に歩くのだった。」
過去も苦しめたときはあったけどね。