おはようございます〜。
早いもので、もう2月も最終日ですね。
明日卒業式という実感が全く無いです...(今までの卒業式もそうだったけど笑)
来年度からの新生活、どうなるのかまだ想像がつきませんが、楽しみという反面今までの生活とは一変して全て「自己責任」の暮らしになるのにちょっと不安は残ります。
...。
それでいて「まぁなんとかなるっしょ!」と考えてしまう意外と楽観的な自分もいますけど(笑)
さて、、、今回のToday's Musicですが...。
前回に続きまして、我が憧れのプログレッシブ・ロックの長であるキングクリムゾンです。
1973年に発表された「太陽と戦慄」で、メンバーの一新&新たな音楽性の獲得を果たしたクリムゾン。「ギター/ベース/ドラム」のトリオにヴァイオリンとパーカッションを加えた最強のクインテット体制でのバンドでした。
ところが「太陽と戦慄」リリース後、パーカッション担当の天才ドラマー、ジェイミー・ミューアの脱退により早くもカルテット体制に変化。
そんな中発表された74年の大傑作が今回紹介するアルバム「暗黒の世界」です。
前作以上に即興演奏の割合が増した、とても実験的で尚且つキングクリムゾンの魅力がたっぷり詰まった作品です。
邦題は「暗黒の世界」ですが、直訳では「星のない聖なる闇」ですかね?
どちらにせよ暗い感じですねぇ(アバウト笑
1974年発表/King Crimson
『 Starless And Bible Black 』(邦題 : 暗黒の世界)
***** List *****
1 . The Great Deceiver
2 . Lament
3 . We'll Let You Know
4 . The Night Watch
5 . Trio
6 . The Mincer
7 . Starless And Bible Black
8 . Fracture
*************
73年〜74年のキングクリムゾンといえば「インプロヴィゼーション(即興演奏)」が主体となった音楽を展開することで有名です。
主なミュージシャンは「スタジオでじっくり音楽を作り、丁寧に録音し、出来上がった曲を発表した後に、ライブ等で演奏する」のが活動の定石になっていましたが、この時期のキングクリムゾンは「ライブで即興的に演奏された音楽を録音し、そのままアルバムとして発表する」という普通じゃありえない事をやっていたのです。
勿論、完璧にそのまま発表したわけではありません(音の調整やノイズ除去、オーバーダビング等の編集はしてたようです)が、「あらかじめ作られた曲をそのまま演奏する」という従来の方法とは真逆の事を行っていたんですね〜。まさにプログレッシブ。
その為あってこのアルバムはかなり変則的な曲構成になっています。
スタジオでレコーディングされた曲は1、2曲目と4曲目のボーカルパートのみ。その他は全て「ライブレコーディング」になっています。「ロック」の格好良さと「即興演奏」の先が読めない緊張感が見事に融合しているのが凄い!!
前作「太陽と戦慄」に参加していたフリージャズ(完全な即興演奏)の天才パーカッショニストのジェイミー・ミューアのドラムさばきは、後任ドラマーであるビル・ブラッフォードに受け継がれています。ミューアのダイナミックなフリージャズ演奏の音楽性がそのままブラッフォードの超絶技巧ドラムに組み込まれたような演奏になっているので「ドラム/パーカッション」の音がとにかく凄まじい。怖いくらい(笑)
ヴァイオリンのデヴィッド・クロスもこの時期のクリムゾンのキーパーソン。
東洋的な雰囲気を醸し出すシブいヴァイオリンの音色と、幽玄な音の響きが特徴のキーボード「メロトロン」による演出は無くてはならない重要な音になっています。「The Night Watch」でのクロスのメロトロン、ヴァイオリンは本当に美しい。ブラッフォードのドラムと併せてまさに「耽美的」な世界観を構築しています。
「即興演奏」のロックではコレ以上のものはないんじゃないか?と思ってしまうのが、表題曲の「Starless And Bible Black」です。
ギターとドラムの静かなイントロに、徐々にベースが絡んでいき、メロトロンが響き始めると演奏はヒートアップ。ウェットンのベースとブラッフォードのドラムという鉄壁のリズム隊による演奏は「太陽と戦慄」でのそれとはまた違う、より結束感のある安定した演奏になっています。フリップによる不機嫌なヤマアラシのような(笑)トゲトゲした鋭いギターも特徴的ですね。
演奏がヒートアップし盛り上がりをみせた後、メロトロンとベース、ドラムの控えめな演奏による静かなパートが入ったかと思うと、デヴィッド・クロスのヴァイオリンが炸裂。一瞬の静けさからヴァイオリンが勢い良く入ってくる瞬間はこのアルバム中の白眉。
ヴァイオリンがフェードアウトしていき、10分弱の凄まじい即興演奏が終了します。
そして何と言っても最終曲。
10分を超える大作の「Fracture」邦題は「突破口」
この曲あってのこのアルバムといえるほどの完成度を誇る曲です。
主題を断片的かつ淡々と提示して、後半から思いっきり畳み掛けてくるような展開はまさに圧巻。
前半のフレーズの繰り返しや中間の即興演奏部は、不穏な雰囲気の中淡々と進みます。後半、静けさの中からナイフのように鋭いギターがガツーンと入ったかと思うと、ベースが鳴り響き、ドラムが暴風雨のように暴れまくるのは、エネルギーの爆発を表現したかのような凄まじさがあります。
そしてギターとヴァイオリンの演奏がヒートアップし、ヴォルテージがラストを迎えるまで物凄い緊張感を孕みながら高ぶってゆくのはこの曲ならでは。ラストはブラッフォードのドラムが響き渡り、まさに「突破口」のイメージそのまま幕を下ろします。
インストゥメンタルのロックなので聴きにくさはあると思いますが、紛れもなく傑作です。
これらがライブレコーディングだというのが信じられないほどの高度な演奏です。
ちなみにその「ライブ」をそのまま音源としたライブ盤「The Night Watch」というものも出ています。オランダのアムステルダムでのライブで、「クリムゾン史上最も完成度の高いライブ」と歌われるほどの壮絶な演奏が繰り広げられています。また、この時期のライブ音源をまとめた4枚組のボックスセット「The Great Deceiver」も素晴らしいです。これらも後ほど記事にしたいですね...。
今回は「即興演奏」を中心にこのアルバムを語ってみましたが、サックスの音色が印象的な攻撃的なロック「The Great Deceiver」や、ウェットンの渋いボーカルが格好いい「Lament」、室内音楽のように綺麗で繊細な即興演奏「Trio」などなど、中々バラエティに富んだアルバムでもあります。各曲それぞれに強い個性を持ちながら「一つのアルバム」としてまとまっている所が素晴らしいです。
音のぶつかり合いと「即興演奏」のセンスが光る、キングクリムゾンが達した【インプロヴィゼーション・ロック】の最終到達地点。
アルバム発表後、ヴァイオリンのデヴィッド・クロスは音楽性の変化に耐えられなくなり疲弊。バンドを脱退します。
遂にトリオ体制になったキングクリムゾン。ギターのフリップとベースのウェットン、ドラムのブラッフォードによる最強のトリオになりました。
その布陣による、ロック史に名を残す大傑作「Red」はまた後で!
今回も長々書いてしまいました〜(^_^;)
最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございましたm(__)m
2018.2.28 written by masato