ベネチアは英語名ではベニスといい、VENICEと綴る。旅行に出る前、ネットでベニス情報を得るのに、いつも VERY NICE (ベリーナイス)と呟きながら、VENICEの文字を検索スペースに入れ込んでいた。これを何十回もやっていれば、サブリミナル効果で、ベニスが素敵な街に思えてくる というものだ。
ベニスへは 2回訪れた。1回目は96年暮れに、2回目は08年暮れに行った。これくらいの間隔を空ければ、以前の印象も薄れて、新鮮な気分で臨める。
最初のベニスは大潮で、元旦のサンマルコ広場は海水に浸かっていた。そのせいか観光客が多かったという記憶はない。
2回目のときは 4日間滞在したので、島内のあちこちに足を伸ばすことができた。仕切り直しで 再度サンマルコ広場を訪れたのも また元旦であったが、今度は観光客も多く、前夜の年越し騒ぎの残骸が、そこここに散らばっていた。大運河の顔であるリアルト橋は、前回は祝新年と書かれた横断幕で飾られていたのに、今回は ベタッと落書きが塗りたくられていた。イタリア人にかかると、名所もへったくれもない。
島の中を歩いていると ユダヤ人迫害のゲットー跡に出くわしたりして、一見華やかに見えるベニスの裏の歴史を 垣間見たりもする。前に来た時に泊まったホテルは 12年前と変わらず運河の傍に佇んでいた。
バポレットで島の裏へ回ってみると、住宅も普通っぽくなり、大きな病院が構えられていた。様子が分からないまま、病院に入り込み,長い廊下をくぐりぬけるとジョバンニ・パオロ教会前の広場に出た。元のベニスに戻ることができたという安堵感が湧く (タイムマシン体験みたいな・・・ )。
日本なら 昭和の香りが残る町とか言うが、同じようにベニスを表現するなら 中世がそのまま残っている、とでも言うか、現代に媚びない異次元空間である。