主治医に呼ばれ、今後についての話し合いをするため病院へむかいました。
緊急性が高いので、母へいつまでも病名を黙っているわけにはいきません。
治療を早くするため、先生から説明していただきました。
母に会えると聞いたので、りっちゃんを連れて行きました。
久しぶりに会う母は、顔色も良く、私や父、りっちゃんを見つけて嬉しそうに手を振っていました。
点滴棒を押しながら、一生懸命に歩いていました。
説明のある部屋に入るなり、
無邪気な顔で
りっちゃんに、
『いつもお手紙ありがとうね。ばあちゃん早く良くなって家に帰るからね。料理たくさん作るからね!』ととても嬉しそうに言っていました。
そして私に
母『ねぇ、お腹減って死にそうよ。お寿司食べたい!早く帰りたい。年内に帰れるかな?悪性は、悪性なんだと思うんだよね。』
すぐに主治医が来て
画像を見ながら丁寧に説明して下さいました。
組織診断の結果で悪性と確定し、確定診断として、『下行結腸癌』で間違えないと言える。
腫瘍が大きく、腸閉塞になる手前であった。
一時的にも人工肛門をなるべく避けたかったので、腸にステントを挿入する処置を行った。丁度横行結腸から下行結腸へ曲がるところに近い部分。腸が広がり、今は通過障害が改善し、ガスや便が流れるようになっている。
しかし、ステントを入れていても、早い人では1ヶ月ももたないうちに閉塞してくる。
外科的に腸を切除する必要がある。
画像を見る限り、
リンパ節には転移がみられる。
残念ながら、進行癌である。
腫瘍は大きいため、腹腔鏡では難しい。
開腹ししっかり中を確認する必要がある。
今回は、左結腸切除術を行う。
リンパ節郭靖。脾臓にも浸潤の可能性あり。
場合によっては、脾臓摘出を行う。
肝臓近くへの転移も疑われるが、これは生検にとどめる。
開腹し中を見て見ないとステージは決められない。遠隔転移している場合は、ステージ4
腹膜播種は、画像では見る限りわからないが、なんとも言えない。
手術後、抗がん剤の投与は必須である。
母は座っているのがやっとのように見えました。
絞り出すように
『がんばります。』そう一言いいました。
次の日外科からの説明。
貧血が酷いため、輸血をしながらでした。
もう諦めの表情でした。
手術前日
母から電話があり、ずっと気になっていた親戚へ挨拶をしていないと何度も言ってきました。
父が、
『そんな事気にするな。それより、明日になったな。何も考えないで頑張れ』
そういいました。その後私の次女に電話をかわり
次女が『ばあちゃん、頑張ってね。待ってるから』と言って電話を私に変わった瞬間、
母が嗚咽しているのがわかりました。
『ありがとう』母はそう言って電話をきりました。