カースト下位の女性達により誕生したカバル・ラハリア
ネット配信に移行し、戸惑いつつもやる気を見せる記者達
しかし、取材は常に困難が付きまとう
鑑賞日 2023年12月6日
映画館 キネマ館
近年、その存在感が大きくなっているインド。
人口が中国を抜き世界1位となった事に加え、経済的にも軍事的にも非常に大きな存在となっています。
もっとも、それらは20年前の中国と全く同じであり、中国が予想以上に存在が大きくなったため、その歯止めとして欧米が担ぎ上げている感があります。
インドが強大になったらパキスタンを担ぎ上げるはずです。
さて、そんな成長著しいインドですが、いまだにカースト制度という差別思想が根強い国。
本作はそんなカースト下位の位置の女性達による新聞の話となっています。
ポイント
本作のポイントは内側から見たインド。
カースト下位のダリトの女性達により誕生した新聞「バル・ラハリア」。
現在でも記者の殆どは女性であり、北部の貧困地区を中心の内情を記事にしていた。
そして、スマホの所有率が上がったためネット配信に力を入れる事になる。
そんな折、現政権を支える保守層の単独インタビューを行うことに。
そこには強権的な思想が見え隠れしていた。
バル・ラハリアの記者達が炙り出すインドの姿とは?
バル・ラハリアの記者の殆どが女性という事もあり、女性が被害者となった事件や、弱い立場の人たちへのインバーターが中心となっているようです。
それにしても、いまだにトイレが無い家が平然としてあるというのは中々の驚きです。
見どころ
本作の見どころは後半、お飾り民主主義の姿。
現政権はヒンドゥー教の教えを主軸にした政策を行っているため、当然カースト制度はその根幹となっています。
カースト制度ははたから見ると非常に差別的な内容のため、基本的人権を主軸とする民主主義と相反する制度なのですが、そんなことどこ吹く風。
熱狂的な盛り上がりの危険さをひしひしと感じます。
気になるところ
気になった点はバル・ラハリアの今までの活躍が見えてこない事。
一応創刊して20年ほど経っており、様々な困難があったはずなのですが、そこら編はサクッと紹介するだけとなっています。
もっと新聞の歴史を紐解いて良かったのかも。
存在感を増しているインドだからこそ、本作で見えてくる姿はまさにはりぼてだらけの貧困国。
だからこそ、排他的な保守思想が根強く危うい存在という事が分かります。
中央アジアを不安定化させて社会的にも経済圏的にもまとまらせないという欧米の思惑通りなら、まさに狙い通りになっています。