長年クライマーとして活躍してきた山野井泰史
輝かしい実績と共に多くの挫折を味わってきた人生
それでも山に登り続ける姿があった
鑑賞日 2023年1月28日
映画館 キネマ館
多くの人が一度はやったことがあるであろう登山。
私が住んでいる地域では小学校と中学校で登山のイベントがあり、1500m超の山に登らされるものです。
もっとも、観光地化された場所も多く、ロープウェイで山頂まで登れるものも。
まあ、眺めの良い場所に行くのは気持ちの良いものです。
本作はそんな登山家として長年活動し続けてきた山野井泰史氏の活動を収めたドキュメンタリー映画。
そこには中々壮絶なシーンも多いのですが、それ以上に堪える展開も。
本作のポイントは登り続けるために。
子どものころから登山にのめり込んでいた山野井。
様々な山を単独で登り実力を磨き、卒業後はプロの登山家として活動することに。
そして、長年の目標だったマカルー西壁に挑むなど多くの偉業を残すも、アクシデントにより指の多くを凍傷で失うといった困難も。
そして、単独登山としては引退後も複数人で多くの山やがけを登る日々を送っている。
山に取りつかれたように登り続ける山野井、そして彼と同じくらい山が好きな人々と出会うが、その数は少しづつ減っていっていた。
何故彼だけがいまだに上り続けることができたのか?
普通の登山ならまだしも、彼が挑む山は断崖絶壁か7000m級の山ばかり。
そして語られる窮地の数々、本当にゾッとするものばかりです。
しかしながら、そのような話ができるのも彼が生き延びているから。
というのも彼の友人たちの多くは山で命を落とすことが多く、劇中で登場した人も撮影後、山で事故にあったなど危険と隣り合わせ。
だからこそ止められなくなっているのかもしれません。
見どころは中盤、トレーニグの上り。
たまたま見つけた洞窟でトレーニグに励む山野井。
老いた彼にとってなかなか難しいトレーニグに様ですが?
撮影されていることを忘れるほど雄たけびと悪態がこだまするシーンとなっています。
気になった点はピオレードル賞の受賞理由をもっと掘り下げてほしかったところ。
登山家として名誉ある賞らしいのですが、長年登り続けてきたから・・というわけではないようで。
ほかの登山のドキュメンタリー映画と異なり、山の恐ろしさが随所にみられる本作。
昔は旅行も命がけだったりするのですが、登山も命がけな要素を含んでいます。
だからこそ生きて帰ることの重要性を感じることのできる作品となっています。
本作のナレーションが岡田准一さんなのですが、彼が出演した登山を舞台にした作品。
原作は漫画だったりします。