僕たちは、いつのまにか、「勝負の世界」に巻き込まれた。
生まれたばかりの頃は、勝ち負けや競争や、そんなことは一切ない世界にいたのに。
「期待」という名の重荷を背負わされ
「心配」という名の制限をかけられて
終わることのない勝負を繰り返している。
大好きな友達でさえ、いつのまにか競争相手になってしまって
愛情や喜びを分かち合いたいあの人でさえ、自分が優位になれるようにと
本当の想いを伝えられないでいる。
あのときまで、僕は自分自身でさえ、疑っていたんだよ。
でも、そのときが来る前でさえ、彼女は僕を信じてくれていたんだ。
人は、変われる。
それには、たった一人でも
「信じてくれる人がいる。」
というその事実に、気づくことが必要なんだ。
僕が言ったことじゃない。
僕がしたことじゃない。
僕が言わなかったからじゃない。
僕がしなかったからじゃない。
ただ、「僕」を信じてくれている。
その思いにだけは、応えたい。
その思いに、僕は気づけたのだから。