「札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥」「濡れた欲情 特出し21人」@シネマヴェーラ渋谷 | 夜遊びする頃を過ぎても

夜遊びする頃を過ぎても

映画を観たり、編みものしたり。←どちらも停滞中。。。
日々の記録帳です。←もはや日々でもなく。

【芹明香は芹明香である】


「札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥」
「濡れた欲情 特出し21人」
どちらもアレの最中に芹明香の「しゃべらんといて」が共通の二本立て。


「札幌・横浜・名古屋・雄琴・博多 トルコ渡り鳥」
1975/82分/東映京都


{59C7EE28-812F-4DB9-A549-B6BA20B20F10}

2010年に初めて観て、2014年のラピュタ阿佐ヶ谷での「わたしたちの芹明香」以来3回目。
上映機会には必ず観ようと思って馳せ参じ候。

関本郁夫監督がセックスドキュメント路線にドラマ性をもたせた傑作青春映画。
全国を渡り歩くトルコ嬢ひろみ(芹明香)とヒモ利夫(東龍明)の離れたりくっついたりの切ないロードムービー。
この作品すごく好き!

芹明香の諦めきったようなすべてを許してるような笑顔が素晴らしく、
「めす市場」でも思うけど、こういう、どん底物語での芹明香の放つ存在感は、すごい。

真っ白な雪景色に佇む赤いマキシコートの芹明香の美しさ。
関本監督にとっても思い入れ深いという津軽の海、芹明香の一筋の涙、
あの台詞のない美しいシーン…!

印象的なのはファッションも。
芹明香がせっせと編み物してるが、ひろみのショールや利夫のマフラーはひろみの手編みかな、なんて思う。ハマナカ・ボニーって感じの毛糸。
70年代らしいマキシのコートもカッコ良く、
東さんの、サングラスと電話ヘアーもヤバくいい味ですね。

音楽は荒木一郎。
劇中に荒木さんの「要通りの踊子(ジプシー・ベイビー)」が流れるが、オケにぜんぜん違う歌を乗せている。
なんとか覚えて帰ろうと思いながら、毎度オリジナル歌詞とお話とにひっぱられて断念。
3回目の鑑賞の今回、ちょっぴり覚えられました。
あのイントロに、

ヘイヘイ、ベイベー
旅に出かけよう〜
粋なナリしてさ ついておいで♪

と続いた後、オリジナルの「たまらなく来るぜ〜」が入る。そんな感じ?

荒木さんは現代企画の女優さんの映画は観てないとのことだけど、このアレンジについて覚えてないかなぁ?聞いてみたいものです!誰か聞いて!本(まわり舞台の上で)にも載ってなかった。

芹さんのトークショウでは、今作のことは(二人芝居だから)よく覚えてるとのことだったけど、司会が「ラスト(放尿シーンのことだろう?)衝撃でした」と返して、芹さん「あははは」と終わってしまった。
あそこ、もっと色々聞けたのでは?と思うともったいなかったなぁ!
雪景色、海を眺めるあの美しいシーンとか、撮影時の思い出聞きたかった。
まだ恨み節しちゃうけど、ほんともったいなかった。

2010年のトークショウで、ヒモ役の東龍明さんは、芹明香が故郷で通りすがりのおばちゃんと話すシーンは、アドリブだったと言っていた。「何やってるの?」「撮影で来てるんです」とたまたま話しかけられたところを使ったそうな。

あとヒモの利夫役には当初、荒木一郎、蟹江敬三、石橋蓮司などが候補に上がってたが、東さんがどうしてもやりたくて手を上げたとのこと。

以下、手前味噌ではございますが、
2010年のラピュタ阿佐ヶ谷での
ヒモ役の東龍明さんのトークショウのレポです。


ほんといい映画。
トルコネタで自主規制がなんぼのもんじゃい!
DVD出して欲しい!
東映チャンネルも、おたの申します。





「濡れた欲情 特出し21人」
1974年/77分/日活


image


これいっちゃ身もふたもないが、今こそ勇気を出して言おう。
神代作品のセックス描写が生理的に苦手。
たぶん、すごく男目線なのだろうな?
東映ピンキー路線はキャッチーさがあって見やすい。
観はじめてすぐの感想です。

ひょんなことから小金を手に入れた男がヒモ稼業で成功。
そこに引っかかった二人のストリッパーのお話。

育て上げた片桐夕子に飽きて、芹明香をスカウトするヒモ。

一人の男に女二人が夢中になる設定なのだが、正直ヒモの男に魅力がないので話にノレない。
演じた人サ〜セン。
女泣かせのスケコマシとしての魅力がなさすぎる。
一発やればイチコロなのも、あのビンボー臭い感じじゃぁ説得力なさすぎ。
辰兄ィのスケコマシ路線の爪の垢飲ませたい。
ヒモの男をほっといて女二人がそれぞれたくましくやっていくお話だから、男がしょぼくてもいいのかもしれないけど。

この作品の意義は浅草ロック座の全面協力でその姿を映像におさめたことかも。
ロック座の踊子さんたち勢ぞろいなラストが特出し21人か。

神代作品は、解説とか読まないと意図がわたしのボンクラ頭には入ってこないですが、どうしても女優さんの頑張りには拍手を贈りたい。
お腹を空かせた池の鯉みたいにかぶりつきの男たちを見下ろして、
金髪ヅラの夕子さんが大股開きで「はいはい、どうぞ」と投げやりなのがカッコキュートだった。
絵沢萠子も「はいはいはい」と餌の時間だよ〜って感じでカッコいいんだ。

芹明香が、スパイダースの「エレクトリックおばあちゃん」に合わせて、ミニスカート捲って踊るシーンが急にかっこよかった。
なんとなくカサヴェテスの「チャイニーズブッキーを殺した男」でオーナーがカフェでスカウトした女の子を店に呼んで踊らせるシーンを思い出した。
それくらい、芹明香のカッコよさなのだ

劇中俳優さんに歌わせるのが神代風味で、今回も、夢は夜ひらく、懺悔の値打ちもない、などなど。
留置所内のヒモ野郎が、観念した感じで「お世話くださいましたみなさん…」と安藤昇の「男が死んでいくときに」を口ずさむんだけど、あまりに長く引用して台詞の変わりになっちゃってて、アリなのかなァと思った。