CSのムービープラスで「俺、マシュー・マコノヒー!」特集があり7作連続で観続けたせいですっかりマコさんブームの今日このごろ。
去る新文芸坐のオールナイトには行かれなかったのでうれしいです。
2011年「キラー・スナイパー」。
今作はウィリアム・フリードキン監督の近作で日本未公開作。
この邦題、ワケわかんないですが原題はKILLER JOE。
原題のままで良くない???
〈予告編〉
アメリカではNC-17、イギリスではR18だけど日本未公開は残念至極。
お話は、貧乏でお金欲しさにヤキが回った息子が保険金目当てに母親の殺害を殺し屋に依頼するというエグい話。
どうしようもないクズ人間しか出てこない作品ですが、わたしはかなり気に入ってしまいました。
作品がと言うよりマコノヒー映画としてなのかもですが。
賛否両論真っ二つみたいだけど、フリードキン監督の老いてますます盛んなB級傑作と思います。
原作はトレイシー・レッツの舞台劇。
密室劇でもあるので、舞台も観てみたくなった。
トレーラーハウス住まいの典型的ホワイト・トラッシュ。
麻薬のディーラーをやってるクリスは、母親にブツを横取りされて組織から落とし前を迫られ、別居中の父親を説得して、保険金目当ての母親殺しを企てる。
(もういきなり破綻した状況)
仕事を依頼した殺し屋ジョー・クーパーは、なんと本業はダラス警察の刑事なので事件がバレる心配はないのだという。
(やな予感。。。)
ところが前金が払えないクリスにジョーは担保としてクリスの12才の妹ドティを要求!
どん詰まりのクリスはしぶしぶ妹を差し出すのであった。
(差し出すなよ~!)
…なんとこの殺し屋ジョーはロリコンのド変態だったのです!
すっかりドティを気に入ってしまったジョーは、保険金が入るまで彼らのトレーラーハウスに入り浸るようになる。
しかも可愛い妹ドティもジョーに懐いてしまったからさあ大変!
母親の保険金を巡って、事態は思わぬ方向へ転がりだしていく。。。。
この殺し屋ジョーがマコノヒー!
常識で考えたらただのサイコ野郎ですが、クールネスと狂気性というか変態性で最高にカッコいいのです。
いちばんヤバキモだったのが
ドティに「君は何才?」「12才よ」「僕もだよ。。。」
頓珍漢なキモいおっさんになりそうなところ、すんなり説得力あるマコさんがすごい。
ネタバレ過ぎるからこれ以上秘密だけど、後半のブチ切れたマコノヒーも必見。。。。
フリードキン監督からの出演オファーとのこと。
ドティにはジュリアン・テンプル監督の娘ジュノ・テンプル。
over20で12才を力演ですが、なかなかイノセントな魅力です。
バカ息子クリスはエミール・ハーシュ。
テレビ観ながらビールばっか飲んでるダメ親父はトーマス・ヘイデン・チャーチ。
そしてノーパンでビッチ感全開なクリスの義母にジーナ・ガーションが天晴すぎる熱演!
これ、ゴシックコメディと宣伝にあったけど。。。。
金欲しさにあまりにも場当たり的に破滅へ向かうおバカ家族に悲惨を突き抜けた失笑があるけど、
サイコ野郎のジョーが、意外と大事にするのが挨拶など社会性のまっとうさと「家庭的」な部分であるのが面白い。
それらはクリスの家族には全く欠落しているものなのだ。
ジョーの目を通して描かれる、荒んだ暮らしの、付けっぱなしのテレビ、脱ぎっぱなしの服など。。。。
とくに付けっぱなしのテレビってのはバカの象徴みたいで。
ドティと二人きりのディナー、家族で囲む食卓を眺めてジョーが満足そうに「ラブリ~」とつぶやくところが印象的。
それぞれの欲望が剥き出しになる中、ドッティだけが唯一マトモでピュアな存在。
そんな彼女の言動もまた深読みしたくなる余白があって、意外と表面のギラギラだけで終わらない不思議な後味の映画でしたなぁ。
底辺から観た搾取構造もチラ見えして相当ブラックだし。
ラストは唖然とするほど絶妙な寸止め。
最後のマコノヒーの顔が目に焼き付いた。
そして、今作で一番エグいのは
フライドチキンを手にしたマコノヒーとジーナさん渾身の凌辱プレイ。
しばしフライドチキン食べれなくなりました。
特に脚のほう。
Killer Joe [Blu-ray] [Import]/作者不明