文太さん特集と入れ違いに、いよいよ始まった
『祝・芸能生活50周年 安藤昇伝説』
@シネマヴェーラ渋谷
元渋谷の顔・安藤昇の特集を、ここ渋谷でやるという素晴らしさ。
待ってました!と馳せ参じ候。
初日は、朝から本職の人がたくさん観に来ての大盛況だったとか…!
そして2日目のこの日も、その筋の方を多数お見かけしました。
安藤昇先生、凄い…!
よく考えたら、
もしご本人を知ってる人がいたなら、ぜひお話を伺いたい!
…と思うのはわたしだけでしょうか。
「懲役十八年」
1967年/東映/1967年
安藤昇の東映初出演作。
これ、前から観たかった~!
そして面白かった。
加藤泰監督で、
脚本は笠原和夫・森田新。
*
特攻隊の生き残りだった2人は、遺族の会を設け、不良外人から強奪した物資を遺族達への支援に当てていたが、ある日の逮捕をキッカケに人生の明暗を分けていく。
活動の使命を相棒の小池朝雄に託し、一人罪を被った安藤昇。
戦後の焼け野原から高度経済成長期へ発展していくなかで、過去を捨て、踏めるものは全て踏み台にし成り上がっていく小池朝雄と、塀の中で時計の止まった安藤昇の戦争犠牲者へ寄り添い続ける心。
戦争の同じ傷を持ちながら、対極の人生を送る2人は、経済発展の光と影の両局面のようにも思える。
戦争未亡人の桜町弘子と安藤昇が、塀の外と中で、互いを心の支えにしている。
桜町さんは、信じる男を待ちながら気丈に耐え忍びます。
独房の刑罰に耐える安藤昇の心に灯る桜町弘子の、息遣いの伝わるようなクローズアップが印象的で。
やっぱり加藤泰監督、男と女の慕情であります。
罪を重ねようとする少年囚を「お前は俺や姉さんの未来なんだ~ッ!」と制す安藤昇に泣けました。
対峙する小池朝雄と安藤昇のやり取りにも、時代の明暗を感じ。。。
懲役十八年。
菅谷組組長の菅谷政雄がモデルとなっているらしいけど、ホンマでっか?
仲間の裏切りと復讐譚だけど、塀の中は多彩な顔ぶれで、刑務所ものの閉塞感で息がつまりつつも見どころいっぱい。
囚人の賄賂で至福を肥やす極悪看守に若山センセイで、「竹を割ったら中から納豆が出てきたような性格」と言われただけあってネチっこい卑劣な役を大熱演。
少年院上がりの札付き狂犬野郎に近藤正臣。
「わいはキングやぞ~ッ!」凄まじい狂犬!はじめ誰かと思っちゃった!
シャバへの未練もない終身刑のヤクザに水島道太郎が、いい哀愁、いい活躍。
清涼剤的には、山城新伍と曾我廼家明蝶。
汐路章もおちゃめ風味。
小松方世がほんっとに憎たらしい顔をしていたなぁ~!
加藤泰監督と安藤昇による「戦中派三部作」の、最終作とのこと。
前二作は松竹で、第一作は「男の顔は履歴書」。
二作目の「阿片台地 地獄部隊突撃せよ」も観たかったです。
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場内はヤバイですよ!
入り口には、安藤昇が今特集へ向けたご挨拶。
安藤昇の直筆の「お言葉」の数々~
安藤昇のレコードの数々も展示♪
おまけに休憩時間は、安藤昇の歌声が~♪
つい「あんた俺の何なんだッ!」「まとめてアバヨと言わせてもらうぜッ!」
ユニゾンで言ってしまう自分が怖いです。
こちらの二本は特別料金一本立て。
なんでかな~と思ったのだけど、フィルムセンターの貸出料金などのためでしょうか??