文太さん十三日目「安藤組外伝 人斬り舎弟」「山口組外伝 九州進攻作戦」@新文芸坐 | 夜遊びする頃を過ぎても

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日々の記録帳です。←もはや日々でもなく。

追悼 菅原文太
永遠に輝け一番星

@新文芸坐


3/27(金)
文太さん特集、13日目。

2週間。
通いつめて、ほぼ毎日文太さんを観続けて、
改めて気づかされたこと。

文太さん、脚長いッ!

実在感ありつつも、絵になるんですよね~ラブラブ

「安藤組外伝 人斬り舎弟」「山口組外伝 九州進攻作戦」
文太さんの花形敬と夜桜銀次!
実際の事件の顛末知ってるから、ちょっぴり虚しく文太さんを見届けた。
ギラギラ壮絶死の二本立て。
今回の特集で一番楽しみだったのがこの二本。
どちらも長いこと観たくてたまらなく、お初にお目にかかりました。

とはいえ、二週間近く前に観た映画を今思い出すのは到底ムリでありました。
いつかまた観るだろうから、その時に鮮明な印象の時に感想書くかも。。。

いちおう自分の覚書。

「安藤組外伝 人斬り舎弟」
1974年/東映/98分

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中島貞夫監督による実録もの。
元祖渋谷系・安藤組の結成から解散までを大幹部・花形敬のエピソードを軸に描く。

花形敬(劇中は日向謙)に扮する文太さんが、いろんなサングラス姿で大暴れ。
誰も手に負えないとにかく喧嘩強い凶暴なヤクザの破滅人生を演じ切ります。

実際に文太さんを東映に世話した安藤昇が、劇中で本人を演じ日向に目をかけるってのが味わいも二倍にしてくれます。

街の札付きをスカウトして組織拡大をしていくのだけど、文太さんの舎弟に渡瀬さん。
二人が安藤組に入るまでは青春ぽくてキラキラ観られます。
キラキラがギラッギラに変わるのはあっという間。

実際の花形敬はステゴロ番長で知られたそうだが、映画の中では、ドスにピストルなんでも使いの文太さんでした。
拳銃二発を打ち込まれながら犯人探しに凄みを見せる、文太さんのリミッター振り切れた怪物演技には衝撃受けました。
これが花形敬の名語録
「ハジキじゃおれは殺せないぜ!殺したかったら機関銃持ってこい!」
の事件でしょうか。。

力也と渡瀬の死闘、そして文太さんと力也の死闘が、狂犬番付け的ボルテージで凄まじかった。

ひとつ気になるのが、冒頭に文太さんが辰兄ィ達に「お前ら顔覚えたからな!2万円用意しとけよ!」の落とし前は結局どうなったんだろう?
安藤組に入った時、忘れてたっぽいけど~
まぁ別の形で対決となるんだけど。

文太さんのお相手は片桐夕子。
甲斐甲斐しく文太さんの服にアイロンをかける場面が、やがて文太さんのラストのアイロン…急に切ない伏線だった☆

この作品、安藤昇のナレーションがキモでもありますが、文太さんが4年の服役中に、
「その頃俺は、ある一流アイドルと付き合っていた」と言って、
デート中の安藤昇がチラと見せる笑顔がたいそうなキラースマイルでした。

安藤組のメンツがゴージャスで、辰兄い、郷鍈治、渡瀬さん、前田吟、今井健二、室田日出男~
安部譲二的なのは出てこなかったな。
この頃の最年少だった安部譲二が「そんなバカやってないで俺のところで男を上げてみないか」と安藤昇にスカウトされたときなんと14歳、安藤昇27歳。(たしか)
そんな安部譲二がのちに経営する青山のバーでピアノを弾いてたのがまだ高校生の矢野顕子。
この周辺のエピソードはどこを切り取っても映画になりそうです。
今はもう無理だろうけど。

安藤組の解散までを追ったこの作品、思うことは、
やっぱり暴力でのしてく世界はいつまでも続かないのである。

渋谷は土地勘があるので、戦後の混乱期から復興していく渋谷の歴史、そういった意味でも面白く観た。

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「山口組外伝 九州進攻作戦」
1974年/東映/106分

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山下将軍の実録もの。
「大阪電撃作戦」でもおなじみ明友会事件あたりの抗争劇を夜桜銀次側から描いた。この辺のお話は勉強し直さないとややこしくて~
一家に一枚、チャート図欲しい!

実在した凶暴ヤクザ、夜桜銀次に扮する、文太さん!
この、あまりにヤバカッコいい文太さんは、一つの到達点といえる凄みがあります。
暴れて暴れて暴れまくる、必要とあらば身内にも平然と銃を向ける。
殺人マシンのような硬質感。
こういうのって男惚れするってやつでしょうか。
夜桜満開の総身彫のヌード、ごちそうさまでした。

実際の夜桜銀次は、かなりのヤクネタであり、そんなに見た目もカッコいいわけではなく「夜桜銀次」という名前のかっこよさがひとり歩きしたという話もあるけど~

文太さんの細身のスーツ姿が素敵に立派過ぎて、パチンコ店勤務の渚まゆみが女房というのに一瞬戸惑い(女房にもっと言い服着せてあげろよなー)、でもそうか、所詮鉄砲玉要員なのだもんなと我に返りました。
こういう男に沿うのは並の苦労じゃないな。いつになくやつれ気味の渚さん。。。
生き急ぐように破滅へ真っ逆さまに突き進む銀次のあっけない最期。

仲間内の「ちゃんぎんはいい死に花だったな。」
志村喬の鶴の一声「たかが虫けら一匹」
鉄砲玉の存在価値がしみじみ虚しい。

津川雅彦のラストの言葉は、実録ものらしからぬ急に芝居がかったような感じではあるが、後味に残る叙情があった。将軍クオリティ!

山下将軍らしく真っ赤な薔薇に託したラスト。
アニキの遺志を受け取った渡瀬さんは、何処へ行くのだろう。
おしまい。

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***

この2作は、ちょうど「仁義なき戦い」を挟んだ作品だけど、
シリーズ前の「現代やくざ 人斬り与太」「人斬り与太 狂犬三兄弟」で鮮烈に演じた無軌道で凶暴なチンピラの発展形のような感じ。
この時期の出演作品の多さには驚きます。
まだ観ぬ作品がたくさんあるなぁ~

しかし、立て続けにこの路線を観てると、
まむしやトラック野郎の、死なないバイタリティの文太さんが無性に観たくなるんだけど、
人斬り与太2作とこの2作の文太さんは、やっぱり特別な文太さんだなぁ~!