えむのすけの育児ブログ<脳症・発達遅滞・症候性てんかん> -6ページ目

えむのすけの育児ブログ<脳症・発達遅滞・症候性てんかん>

二人の子育てと
脳症、発達遅滞と症候性てんかん
その後の発達について

12月5日。
眠れないまま朝を迎え、キッチンでぼんやりと過ごしていると、いつもよりずいぶん早く夫が起きてきた。
わたしの様子を見て昨夜眠れなかったことを悟った夫は、午前中の仕事をキャンセルしてD医大病院まで車で送ると言う。
眠気もなく、疲れも感じていなかったので自分で行けると思ったが、強く制され甘えることにした。
暫くすると、シオちゃんの声が聞こえた。
寝室に様子を見に行くと、シオちゃんはニコニコしながら
「おかあさん、みてー、ぐるぐるまきなんだよー」
と両腕を示した。
シオちゃんの笑顔が見られて、心の底から安堵した。
しかし、その腕に巻かれた分厚いガーゼと包帯には大量の浸出液が全体的に薄黄色く滲み、傷の深さを痛感させられた。

マトちゃんを母に預け、夫の運転でD医大病院へ向かう。
自宅から一時間はかかる距離の上、通勤時間帯の渋滞もあり、ずいぶん早く出たつもりだったが受付を済ませたのは予約時間ギリギリだった。

昨夜診察をしてくれた医師が担当になるようだ。
医師がハサミで包帯を切り始めると、シオちゃんは「こわい!いたい!」と泣き始めた。
浸出液でビッショリの分厚いガーゼを外すと「いたい!いたいよーっ!いたいよーっ!」と大泣きだ。
「もうおうちにかえるよーッ!いたい!いやだよ!やめてよーッ!」
いやだいやだ、いたい、やめて、と泣きながらも受傷した右腕を引っ込めようとはせずに耐えている姿を見ることがとても辛かった。
手首周辺から肘まで腕の内側の皮膚が剥がれて、真っ赤な内部が浸出液で痛々しくぬめっているのを見ることよりも何倍も。

シオちゃんの右腕の内側を、受傷した瞬間には怖くて直視できなかったが、この時はじっくりと見た。
こんなにひどい火傷は見たことがなかった。
手首付近から肘まで大きく剥がれた皮膚の下は真紅と白のまだらで、ところどころに皮膚が黒く縮みながら張り付き、また数センチの水泡を形成している部分もそこここにあった。
ぐちゃぐちゃ、とかドロドロ、とかそんな風に形容するしかない。
受傷部分の周囲は皮膚が白くふやけながら立ち上がり、その部分もいずれ剥がれるのだろう。
もう二度と元の皮膚には戻らないと思った。

D医大病院での処置は、
⚫︎ベビーソープで洗う
⚫︎シャワーボトルで泡を流す
⚫︎フィブラストスプレー
⚫︎エキザルベ軟膏塗布
⚫︎非固着性シリコンガーゼ
⚫︎ガーゼ
⚫︎包帯
だった。

湿潤療法で治療したかったので、先生に「湿潤療法でお願いします」と伝えると、
「皆さんそうおっしゃるんですが、何でもかんでも湿潤療法が良いわけではない
「もちろん、乾燥させるのは一番良くないので、軟膏を大量に使い患部を保護することで内部は湿潤環境に保っています」
「ガーゼも患部に着かない、非固着性シリコンガーゼを使用しています」
「かなり深い傷です。抵抗力のないお子さんであることも考えると、ここから感染を起こすことを一番に避けなくてはなりません」

そう次々と説明をしながら、医師はシオちゃんの右腕の処置を進めていく。
剥き出しの部分にピジョンのベビーソープを付けて洗うのだが、本当に必要なのか疑問だった。
シャワーボトルで流すのも、そんな水量で良いのかと思った。
ベッタリと軟膏を塗ったシリコンガーゼを貼る間もシオちゃんは泣き叫び続けていて、やっと包帯を巻き終わると疲れ切って魂が抜けたようだった。
代わりに左腕は人差し指と親指の間の水かき部分が大きくえぐれている以外は、掌の下の方の皮が薄く剥けた程度で、
念のため、と昨日同様指先までぐるぐるに包帯で巻かれたが「こちらはすぐ良くなるでしょう」と言われた。

巷で言われるような消毒してガーゼで乾燥させる処置でなかったことに多少安心した。
そして、
「昨夜見たときは、深達性二度熱傷、部分的に三度だと思ったが、今朝見た感じでは浅いところまでで止まっていそうだ」
「浅達性二度熱傷なら、二週間程度で痕を残さず上皮化するでしょう」
とても安堵して、今夜は昨夜よりは眠れそう、と夫に囁いた。

12月6日も朝一で受診して同様の処置を行った。
シオちゃんはやっぱり悲痛な声で泣き叫びながらの処置だったが、湿潤環境も保持されているようだしガーゼも傷にくっ付いていないし、このまま順調に進んで思ったより早く良くなるのかもしれないと思っていた。
二週間で上皮化するならば、もしかしたら冬休み前に幼稚園に復帰できるかもしれないと…。







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入浴を控えるよう医師から言われていたのでこの日から足湯をしてやった。



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火傷の深さは大きく三段階に分けられているようだ。
皮膚が赤くなりヒリヒリする、一度。
水膨れができる、二度。
表皮真皮だけでとどまらず肉や骨まで焼けてしまう、三度。

水膨れができた瞬間に熱湯の勢いでそれが破れてしまったシオちゃんの火傷の深度は、二度以上なのは間違いない。
二度熱傷には、浅達性二度熱傷と深達性二度熱傷があるそうだ。
同じ二度でも、浅達性なら二週間ほどで上皮化し痕が残りにくい。
深達性なら上皮化まで四週間以上、更に瘢痕拘縮(引き攣れを伴う痕)が残ったりケロイドになる確率が高い。
三度熱傷となると、神経組織まで壊されるため痛みを感じないそうだ。皮膚移植の可能性もかなり高まる。
痛い痛いと訴えていたシオちゃん、おそらく三度ではなかろうと予想した。

二度熱傷でも、浅達性でありますように。
こんなに可愛い子の腕に瘢痕拘縮やケロイドが残りませんように。
祈ることしかできない。
こんなに思うなら、ケトルなんか使わなければよかった。
大切なこどもから一瞬でも手を離すんじゃなかった。

深夜11時を過ぎた頃、夫から連絡があった。
「今から帰る。シオちゃんは今寝ている。詳しくは帰ってから話す。」

夫が帰ってくるまで一時間と少しの間、インターネットで熱傷について調べながら待った。
帰ってきた夫の車にシオちゃんを迎えに行くと、彼女は上半身裸で毛布に包まって眠っていた。
汗か、涙か、冷たいシャワーの水か、毛布の中の身体は頭からびっしょりと濡れていた。
手をグーの状態で両手から肘まで包帯でぐるぐる巻きにされており、傷の様子はわからない。
夫に処置に関して聞くと、救急では処置なし、S総合病院では傷に直接ガーゼと包帯の処置、D医大病院では軟膏を塗りガーゼと包帯の処置だったようだ。
毛布に包まったままのシオちゃんを布団に運ぶとそのまま深い眠りについたようだった。

夫に話しを聞く。
夫は言いにくそうに
「どうやら、右腕の火傷が、かなり深そうなんだ」
と言った。
D医大病院で、痕が残る可能性が高い、皮膚移植をする可能性も考えて、と言われたそうだ。
植皮!
やはり相当酷いのだ、目の前が真っ暗になった。
しかし、深度については聞かされなかったらしい。
痕が残るかもということは深達性なのか…。
「明日の朝一でまた受診してと言われている。一緒に行きたいが、仕事があるので難しそうだ」
明日は朝一で母が自宅まで来てくれ、マトちゃんを見ていてくれる旨も聞いたので、一人でも大丈夫と伝える。
「明日も早いからもう寝よう」
横になりながら三十分ほど二人で話した後にそう言った夫から間も無く寝息が聞こえたが、わたしは朝まで全く眠れなかった。

辺りが明るくなり、キッチンに降りると昨日慌てて走ったせいでゴミ箱が倒れていた。
その小さなゴミ箱一つも戻す気になれない。
完全に無気力だった。
自己嫌悪、後悔、懺悔、不安、色々な気持ちに翻弄され何も手に付かない。

子どもに病気をさせてしまったり、怪我をさせてしまったり、本当にわたしは母親失格だ。

シオちゃんもマトちゃんも何も悪くないのに、すべて私のせいで辛い思いをさせてしまった。
たった二人の子供も守れない自分に、母親としての自信を失ってしまった。

夫を、幸せにしてあげたいと思っていた。
裕福ではなくても、幸せな家庭を作ってあげたいと思っていた。
それが、わたしのせいで辛い思いばかりさせている。
そんなつもりで家庭を作ったのじゃなかったのに。




コメントとメッセージの返信ができずにおります。
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シオちゃんを夫に任せ、とちぎのこども救急電話相談に電話をした。
「こちらは、こども救急電話相談です。お子さんの急な病気や怪我に関して、看護師が対応します。」
自動音声ののんびりした声にやきもきした。
看護師さんが電話に出ると、
「四歳の子供が電気ケトルのお湯をかぶって火傷をしました。掌から腕にかけて火傷をして皮が剥けて真っ赤な肉が見えている状態です」
と伝えた。
どこに住んでいるかを尋ねられ、宇都宮市内だと伝えると、夜間救急診療所が対応してくれるという。
「できるだけ冷やして。保冷剤などあれば、ガーゼなどに包んだ上で患部にあてて、気を付けていらしてくださいね。」
そう言われたので、保冷剤をシオちゃんに持たせてびしょびしょの身体を毛布で包み、
夫が抱いて車に乗せて連れて行った。

眠気が限界でグズグズしていたマトちゃんを寝かしつけ、いてもたってもいられずに部屋の中をウロウロと動き回る。
心配をかけるべきではないとは思ったが、どうしても一人でいるのが辛く、実母に電話をした。
つい数時間前までここで子どもたちと楽しく過ごしていた母。
なんと言うだろう。

「お母さん、シオちゃんが、ケトルを倒して火傷した…」
そこまで言うのが精一杯で、あとは急に涙が溢れて嗚咽で話せなかった。
三十代も半ばになってお母さん、お母さん、と泣きじゃくるわたしに母は
「しっかりしなさい。母親なんだから」
と優しく言った。
「起きてしまったことは仕方がないね。大丈夫、シオちゃんは強い子なんだから」
もっと取り乱すのではないかと思っていたのに、母はとても落ち着いていた。
いや、落ち着いているように振舞っていたのかもしれない。
母は強い。
わたしは母としてしっかりしなくてはいけない。
わたしもこの母のようになれるだろうか。

市の夜間救急診療所までは自宅から車で20分ほど。
手続きなどを含めても40~50分もすれば連絡があると思ったのに一時間経っても夫からの連絡はなかった。
その間に母から電話。
「わたしも救急に行った方が良いだろうかね?」
そういう母に、取り敢えず連絡を待とうと言い、夫からの連絡次第でまた電話すると伝えた。
夫が家を出てから一時間半を過ぎた頃、母からメールがあった。
「S総合病院にいます。まだ会えていません」
待とうと言ったのに、母はすでに現場にいた…。
でも救急に行ったはずなのにその隣のS総合病院?
不思議に思っていると夫からの電話があった。
「救急で診てもらえなくてS総合病院に来た。ここでも対応できないようだからD医大病院に行く」

D医大病院まではS総合病院から車で30分以上はかかるだろう隣町にある。
救急車で行くのかと思ったら自家用車で向かうようだ。
「相当遅くなるだろうから先に休んでいて」
そう言われ、シオちゃんの様子を聞くと、もう嫌だ、痛い、家に帰る、とギャン泣きしながら処置を受けたとのこと。
可哀想で可哀想で胸が痛んだ。
母とも合流したので、三人で車に乗りD医大病院へ向かうという。
先に休んでいろと言われても眠れるはずがない。
連絡を待っている旨を伝えて、帰りを待った。




たくさん心配のコメントをいただきありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ないことです。
順次返信したいと思っております。
みなさま、たいへん温かいコメントをくださって涙涙で拝読しました。
ありがたいです。
ブログを書ける心境になる程には、シオちゃんもわたしも回復してきていることはお伝えしておきます。
ありがとうございます。




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随分と更新が滞ってしまった。

12月4日の夜、シオちゃんに大変な火傷を負わせてしまった。


12月4日19時30分
20時には就寝にしようと、お風呂から上がった子供達を着替えさせて、寒いので湯たんぽを入れようと電気ケトルでお湯を沸かしていた。
電気ケトル二回分のお湯が必要なので、お風呂に入る前に一回分、上がってから二回目の分を沸かし始めた。

ダイニングキッチンの上にケトルを置いて、子どもたちの手の届かないところで沸かしていた。

リビングで着替えを終え、少しだけテレビを観せてそのうちに湯たんぽを作ろうと考えていた。
リビングでテレビを観せながら、グズグズしているマトちゃんを抱いていると、
シオちゃんが「マニキュア塗りたい」と言い出した。
マニキュアは、その日の朝にダイニングキッチンに持ってきていたので、そちらにあると思ったのだろう。
シオちゃんはダイニングキッチンに向かった。
確か、窓辺に並べておいたような…。

シオちゃんがダイニングキッチンに入っていって間も無く、
「ギャーーーー!!ギャーーーー!!!ギャーーーー!!」
と立て続けに激しい叫び声が聞こえた。

ケトルを倒した!
瞬間的にそう気付き走って見に行くと、
両腕を伸ばしたシオちゃんが「ギャーーーー!ギャーーーー!」と叫びながらこちらを見た。
前に上げている両腕を見ると、皮膚が分厚く剥がれ、真皮が大きく露出しているように見えた。
熱湯を浴びた勢いで上皮が捲れてしまったのだ。
これは水泡ができるより深い熱傷だ。
「シオちゃん!!シオちゃん!!」
叫びながら近寄ると
「おかあさん!!!」
シオちゃんは大きな声でそう言いながらわたしに駆け寄りしがみ付いた。
わたしはシオちゃんを抱き上げて浴室へ走って行き、シャワーを全開にして腕にかける。

「おかあさん!おかあさん!わたししにたくない!」
「おかあさん!だいすき!だいすき!!」

大丈夫だよ、死なないよ、そう声を掛けながら二人ともびしょ濡れになって冷水を浴びた。
びしょびしょのまま、夫に電話をかける。
身体がガタガタ震えて電話を落としそうだ。

「どうした?」
呑気な声が聞こえる。
「シオちゃんが!やけど!!熱湯を!ケトルで!!」
本当に気が動転していて、うまく喋れなかった。
「今帰宅したところだ!すぐ行く!!」
たまたま夫が自宅に着いたタイミングだったようで、玄関からドタバタと大きな音を立てて夫が浴室に駆けつけた。



これからしばらくやけどの記事が続きます。



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最近、マトちゃんはいつも人に纏わり付いている。
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膝の上によじ登ってきたり


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わたしの口に指を入れてみたり。

抱いてやると、鼻、口、頬などを容赦なく掴まれるのでとても痛いのだけれど、
抱かれるまでキャーキャー喚いていたのがおとなしくなったりする。

人に愛着を感じるようになったのだろうか。


キッチンで作業をしていると、キッチンに掴まり立ちをして近くに来るようになった。
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「この上に何があるんだ~」
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と手を伸ばしてきたりもするようになった


ここのところ、マトちゃんはよく立っている。
掴まり立ちから手を離して一人で立つことも急に多くなった。

発語なし人見知りなしのマトちゃんの認知面の発達は相変わらず生後半年前後のようだけれど、
以前は声を掛けても気付かなかったのが気付くようになった、とか、
抱き上げた時にキャーっと声を上げて喜ぶ頻度が多くなった、とか、
寝る時に添い寝してやらないと騒いで眠らない、とか、
一人で置いておくと抱いてやるまでぐずぐずと騒ぐ、とか

細やかな、細やかなことかもしれないけれど、発達はしていくのだと感じている。

一か月前とは変わらないように見えるかもしれないけれど、
三か月前とは確実に違う。

少しずつの発達だけれど、
しっかり見ていたいな。


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