今回紹介する不当評価アルバムは、「 TRIUMPH 」(以下、同バンドと記載)の「 THE SPORT OF KINGS 」(1986年作品、以下本作と記載)です。ちなみに、この作品も紹介2回目です ( 一回目の紹介のリンクはこちら → http://ameblo.jp/m-katsubou/entry-11561956206.html )。
同バンドは、「カナダ出身」「三人組」って事で 「 RUSH 」 と比較された事が多かったみたいです。ですが、RUSHはプログレで、同バンドは純然たるハードロック。当時の評論家/ファンの皆さんは、一体何を比較したのでしょうか?
同バンドのメンバーは以下の通り。
リック・エメット(vo.&g.)
マイク・レヴィン(b.&key.)
ギル・ムーア(ds.&vo.)
メンバーの中心は、ヴォーカル兼ギターのリックでしょう。ですがドラムのギルも歌が上手く、ヒット曲のいくつかは、ギルがヴォーカルを取っています。ベースのマイクは職人肌って感じでした。
同バンドは80年代初め~中盤にかけて、名作と呼ばれるアルバムを立て続けに3つも(「ALLIED FORCES/1981」、「NEVER SURRENDER/1983」、「THUNDER SEVEN/1984」)作っちゃっています。期待に応え続けなければならない訳で、こちらもプレッシャーだったでしょうね
。
で、80年代中盤はMTVの時代。恐らくですが、レコード会社さんに「MTVで放送してくれそうな作品を作ってね?」と言われたのでしょう。この時代の作品はどのバンドのも少なからずそうですが、かなり「商業路線」になっちゃっています。上記の3作品よりもかなり「マイルド」な作りとなってしまっており、ファンに批判されてしまったのでしょう。一番批判していたのは、かつぼうさんが嫌いな某専門誌かもしれませんが。
ちなみにタイトルの「THE SPORT OF KINGS」の和訳は、「王様のスポーツ」ではありません。「王侯の嗜み」です。バンド名の「TRIUMPH」は「勝利」という意味の他に、昔の王侯に好まれたカードゲームにも同じ名のものがあるのです。実に深いアルバムタイトルです。
ところでお恥ずかしい話ですが、私が本作を購入したのは2005年です。ベストアルバム等で何曲かは聴いた事がありましたが、アルバムを通しては2005年まで聴いた事がありませんでした。本作リリース時は、購入前に試聴なんか出来ませんでしたからね。同バンドは大好きなのに、批判が頭の隅っこにあったのでしょう。知らず知らずのうちに敬遠していたのだと思います。本当に勿体ない事をしましたわ。
購入以降、コンスタントに聴いています。このアルバムを2005年まで聴かなかったというマイナスな出来事は、音楽については自分の耳しか信用できない事を再確認したと前向きに受け止めています。
では、全曲紹介行きましょう!
① TEARS IN THE RAIN ・・・ ベストアルバム「CLASSIC」でもオープニングを飾る、カッコいいギターイントロで始まるミドルテンポのロック曲です。段々盛り上がる曲は、メロディアスなギターソロで最高潮になります。同バンドの数多い名曲の中でもトップクラスの出来です。
http://www.youtube.com/watch?v=y11aknzG6UU
② SOMEBODY'S OUT THERE ・・・ 雰囲気一転、爽やかなイントロから始まるミドルテンポのロック曲。私が留学していた時にヒットしており、ラジオから何度も流れていたのを覚えています。
http://www.youtube.com/watch?v=LubMOHMbptI
PVに綺麗な女の子が大勢出ており、いかにも「ノーテンキ80年代」ですね(笑)。個人的に好きなところは、曲の終盤です。リックがサビをファルセット(裏声)気味に歌う部分があります(3:47あたり)。ヴォーカルで曲がよりメロディアスになっています。素晴らしいです。
③ WHAT RULES MY HEART ・・・ 印象的なイントロから、リックが静かに歌い出すスローテンポのロック曲。①をスローにした感じで、①ほどメロディアスではありませんがリックの語りかける様な歌が良いです。
④ IF ONLY ・・・ 人の声みたいに聞こえる独特のキーボードから始まる、ミドルテンポのロック曲。Bメロからサビにかけての辺りが好きです。
⑤ HOOKED ON YOU ・・・ スローテンポのロック曲。申し訳ないですが、この曲は同バンドにしては普通の曲です。
⑥ TAKE A STAND ・・・ 確かにサバイバーっぽいですね。でも、だから何でしょう?サバイバーだって良い曲を作る良いバンドですし、この曲だって良い曲です。
⑦ JUST ONE NIGHT ・・・ いかにも80年代って感じのパワーバラード曲。キーボードが良いです。
⑧ EMBRUJO ・・・ スペイン語で「魅惑的」という意味。⑨のイントロ代わりでもあります。
⑨ PLAY WITH THE FIRE ・・・ 本作のハイライトにして、ベストアルバムに収録されなかったのかをいまだに疑問に思う素晴らしい曲です。最大の聴きどころはテクニカルなギターソロ。本当に上手いです。
http://www.youtube.com/watch?v=M0-ZsLAa2mk
上のyoutubeリンクですが、1:30くらいのフラメンコ風の所までが⑧です。で、⑨のギターソロ、凄いでしょ?あれだけ上手くギターを弾けたら、さぞや気持ちいいでしょうね。同バンドのベストソングに選ぶ人がいても全然おかしくない、素晴らしい名曲です。
⑩ DON'T LOVE ANYBODY BUT ME ・・・ 激しい名曲の余韻を良い意味で冷ます、ミドルテンポのロック曲。これもとても良い曲です。
⑪ IN THE MIDDLE OF THE NIGHT ・・・ アルバムのラストを飾るのは、リックのエモーショナルなヴォーカルが良いスローテンポのロック曲。歌詞やブルージーな曲のエンディングも良いです。
このバンドの話題は、ロック慰安会ではネタにならないでしょうね..........。バンド自体がマイナー過ぎですわ(笑)。