坂のある風景。
坂で思い出す事。
長崎の夜景。
中学の修学旅行はバスでの九州一周。
一泊目は鹿児島、二泊目は熊本、三泊目は長崎、四泊目は福岡の旅館に泊まって、五日目は都城まで一気に戻った。
長崎市内の旅館に荷物を置くと、それから晩御飯の時間まで、グループ別の自由時間だった。
アーケードのある賑やかな商店街で、小遣いでの買い物を楽しんだ。
大勢でのデモ行進を、珍しく遠巻きに眺めた記憶がある。
沖縄の米軍基地反対と日本返還のプラカードを掲げていた。
旅館は坂道の途中にあり、帰る頃は暗くなりつつあった。
坂を上がりなら前方を見ると、街の灯りがずっと上の方まで続き、山のてっぺんまで届いている。
あんな山の方まで、人家があるんだ。
旅館から下の方を眺めた時驚いた。
宝石箱か星空のように輝いている。
これが港町の夜景かと思った。
港町の夜景で思い出すのは、新婚旅行で遊覧船でみたシドニーの夜景だが、長崎の夜景はなぜか物悲しく思えて、それは13歳の感受性だろう。