今日の絵ハガキ。
ナデシコ。
フジバカマ。
永井荷風の日記、断腸亭日乗を朗読で聞いていた。
その中で
おうじぼうぼう
すべて夢のごとし
というのが聞こえた。
おうじぼうぼう?
おうじぼうぼうの、おうじは往時だろう。
ぼうぼう?
どういう漢字だろう。
調べてみた。
往事茫茫
意味
過去の事柄を思い出そうとしても、記憶が薄れていてはっきりとしない様子。
「往事」は過ぎ去った過去のこと。
「茫茫」はぼんやりとしていてはっきりしない様子。
出典 白居易。
なるほど。
私が昔の事を思い出す時、何度も、遠い記憶は夢の出来事と同じで、周りがボヤけていると書いた。
回りくどい書き方をしなくても、往事茫茫と書けばすむのだった。
文豪の語彙力だな。
これは何かの時、スピーチでも使ってみよう。
私はなるべく平易な文章で、ブログ記事を書くことにしている。
また難しい言葉を知らないし使えない。
しかし、何かを説明しようとして、どう言葉をつなげばいか分からなくなることがある。
例えば、丹沢から光る相模湾が見えた時、海が白く光っているのだが、海が白く光っていたでは何か伝えきれない。
芥川龍之介が使った言葉。的皪(てきれき)。
「ある日の大石内蔵之助」の中から。
「寒梅の老木が、古庭の苔と石の間に、的皪(てきれき)たる花をつけたのを眺めていた」
的皪 の意味は「白く鮮明なさま、光輝くさま」をいう言葉。
なるほど、午後の日を受けて海が、的皪と光っていると書けば、山頂に上がって見えた光景を上手く表現できる。
新しい言葉を覚えると、自分の中で新しい感じ方ができる。
言葉は、物事に後追いで名前をつけただけでなく、言葉があって新しい概念が生まれる場合がある。
往時茫々という言葉から連想したことをブログ記事にしたが、長くなるので、それはそのうちアップする。