今日のスケッチ。
鳩ノ巣渓谷。
ナウル共和国。
太平洋州に浮かぶ、わずか21㎢しかない島国。
東京都港区と同じ面積だ。
人口1万1千人。
小さな国で軍隊もないが、国連加盟のちゃんとした独立国である。
イギリス連邦内の国として独立を果したのは1968年のこと。
独立できたのは、天然資源という宝を持っていたからだ。
19 世紀後半から、世界有数のリン鉱石の採掘場として知られ、これにより国は豊かな経済を保っていた。
リン鉱石とは、数千年、数万年にわたって積もった海鳥のフンが、珊瑚の石灰分と結びついてできたもので、肥料としてたいへん貴重なものらしい。
1980年代には太平洋地域で最も高い生活水準を享受し、公共料金や税金は無料という生活を謳歌していた。
このナウル共和国の独立記念日祝典に、日本の代議士山中貞則が特使として訪問している。
山中さんは歌人でもある。
「投網打つ夫婦とヤシの実割る人と
働きいるを見るは二組」
「軒下にヤシの葉影にただ座り
あるいは寝そべり一日を過ごす」
この歌のように、リン鉱石のおかげで、国民は働かずとも暮らしていけた。
そのことを中山は心配していた。
「国人はリン鉱石にすがるのみ
労働の意思もその要もなし」
国民の全世代に年金が支給されていた。
そして、実際の労働は外国人労働者にやらせてきた。
住民は男も女も100キロを超えている。
伝統的にナウルの人々はココヤシ、タコノキの栽培と漁労による生計経済を営んでいたが、リン鉱石が発見されて以降は経済が激変した。
ナウルの経済は長い間リン鉱石の採掘に支えられてきたが、その枯渇により1990年代後半から破綻状態となった。
ナウル、世界一の贅沢に溺れた国の結末などと経済紙にやゆされているが、国民には危機感が感じられないという。
枯渇した時に備えて、リン鉱石の利益を海外投資にまわしたが、それまで働いたことがないので投資はことごとく失敗。
悪質な国や業者に騙し取られて、莫大な赤字を抱えているそうだ。
今、ナウル政府は国民に働くこと、労働が美徳だということを教えている。
遊んで暮らせたら幸せだと思うが、暇を持て余すだろう。
私の場合は。小人閑居して不善を為すの典型で、ろくなことはしないだろうな。