「Mon cheri」 -44ページ目

悪党の落胆


いつも通ってるTSUTAYAに、ひとつだけいやなことがある。

とても仕方のないことだし、どっちが悪いかって言えばきっとわたしが悪い。

わたしが信頼して止まないもときも、おまえが悪いだろって言うから、やっぱりわたしの方が悪いみたい。

でも、腑に落ちないから、とりあえず聞いてほしいな。

そこのTSUTAYAは、ミステリーだとか、シリアスな作品のコーナーの横が、アダルトなコーナーの入口になっていて、シリアスコーナーのラックの裏側のラックにセクシーなDVDが配置される構図になってる。

つまり、ラックの隙間からアダルトコーナーが丸見え。

わたしはシリアスな映画が大好きだから、いつもそこのラックからDVDを選んでるんだけど・・・、意識してるわけじゃないけど、ついつい、ちらちら隙間をみてしまう。

気にしてるつもりもないし、気になってるつもりもなかったんだけど、結局は気になっちゃってるみたい。

見なきゃいいってわかってるのに、気にしない気にしないって思えば思うほど、目線はちゃっかり狙い撃ち。

DVD選ぶたびに、こりゃわたしのほうがスケベじゃんかって思わなきゃいけなくて、たまに隙間から目が合っちゃったりして、見てないふりしようとしてみるけど・・・やっぱり無理で。

完全にばっちり目が合ってしまう。

仕方なく意味もわからず会釈をするんだけど。

あ、どうもすみませんってなるだけなんだけど。

なにやってんだろうってすごく思う。

それがすごく嫌。

っていうだけの話(笑)

男性がたに逆に苦言を呈されそうだけど、もしも、目が合った人たちは、どうか許してださい。


トマピー


さっき、ふと思い出したお話。

過去が手を引いて呼んでるから綴るお話。

記憶の階段を少し降りて、幼いわたしを覗いてみる。

小学生の頃、校門の側の学級農園みたいなところで、“トマピー”っていう植物を育ててた。

トマトとピーマンがフュージョンした、興味深い斬新な植物なんだけど。

だれか、しらないかな。

今でも存在してるのかな?トマピーは。

行く末を知らないまま。

味も覚えていない。

というか、食べたかどうかもわからない。

気にすることなく今まで生きてきたけど、いきなり気になっちゃった。

急に頭に浮上してきて、脳ミソの真ん中であぐらかいて動かなくなったトマピー。

どこかで生きてますように。

あわよくば、この日記を見てくれた人の側でトマピーが大きく実ってますように。

それでトマピーの近状報告が、小鳥の悪戯とか風の噂に乗ってきたりなんかして、おうちまで届きますように。

いつかトマピーに会える日がくるといいな。




心のずーっと奥のほう


わたしの大切なもときくんは、朝、この世の終わりみたいな、なんとも絶望的な顔で、寝ぼけ眼のまま会社に行く。

そして、帰って来るときは、まるでついさっき天下一武道会にでも出場してきたかの様に、すごくすごく疲れた顔をしておうちの扉を開ける。

でも、お風呂からあがってビールを前にしたら、見違えるくらい、とってもにこにこ、すごく幸せそうな顔になる。

いつもだったら。

ところが、今日の彼は少し違った。

彼がおうちに帰ってきて、「おかえりー」って言うわたしの言葉は、全く聞こえてないみたいに上手にスルーして、開口一番こう口にした。

「この世で1番暗いとこってどこか知っとる?」





・・・え?

初めて聞かれたその質問に、戸惑い、沈黙。

質問の意味もよくわからない。

でも、気になってしまって、とりあえず、どこ?って聞き返したら、

「今、世界で1番暗いて思われとる場所より、俺の心の闇はもっと暗いけどね」と。

ん?

・・・。

なにそれ。

聞かなきゃよかった。

年齢聞いて、「いくつにみえる?」って聞き返された時より聞かなきゃよかったって思っちゃった。

「じゃあ、もときの心が世界で1番暗いんだ?」って聞くと、理由をぽつりぽつり口にする彼。

あらら。

「記憶もその闇に葬り去れたらいいのにね?」って言っても、返事は闇の中。

そっとしていてあげよう。

わたしはこんなことばを知ってるから。

“親切という名のおせっかい。そっとしておく思いやり”

だから、大切な車をぶつけたことには、なるべく思い出さないように、楽しい話をしよう。

きっと出来たばっかりの傷は触ると痛いから、心の傷にはそっと心で触れよう。

これからは"ヘコむ"とか"傷つく"だとか、そういう類いのことばも慎もう。

きっと、今の彼を笑顔にできるのは、わたしじゃなくって車屋さん。

早く車屋さんに治療してもらって、笑顔のもときくんになりますように。