連休初日、猛暑のなか、いつもなら電車で行く東中野へ、自転車で行ってきました。

どこのお店も冷房がきついので、ポレポレ坐の日陰になるテラス席がありがたかった。

なんで自転車かというと、映画『東京自転車節』を観に行く前に、ちょっと長距離(私にしては)を漕いでみたくなったから。

 

 

どんな映画かは
公式HP
をぜひ。

私は
日銭で生きてきた当事者として、いっしょに新宿を走っている気持ちで観ました。
見慣れた大ガードやユニカビジョン。

青柳監督はコロナ禍で運転代行の仕事を失います。夜の街に人がいなくなったから。
同様に、タクシードライバーの私の夫も、「稼げない」日々が長期化しています。
 

ケン・ローチ監督が、ウーバー的な雇用のしくみについて異議を述べる動画に、

「それもわかるけど、でもいまは、まだ、このしくみに乗ることでしか稼げないんだ」(ライチ意訳)

という実感を漏らす青柳監督。

私も20代~40代(!)、ダブルワーク、トリプルワークしながら保障のない中で、

でも日銭を組み合わせたから食いつないでこれた、ものすごくよくわかる。

 

そして、登場しなかったデリヘル嬢のことも思う。
セルフドキュメンタリーを撮ることが難しいであろう彼女たちは、
いまどんなクエストを課されているのか。
 

監督が稼がざるを得ない理由のひとつ・「奨学金の重圧」についても、
私は、現在返済中の上の娘、絶賛借り入れ中の下の娘のことを思う。

私自身は、大学進学せずに就職して、高校時代の奨学金を支払った。「貧困層」に属する。

 

 

登場する実在の(当たり前)人物のみなさんがまたリアルな存在感と、魅力がある。

私の「血縁ではない甥っ子」的な加納土氏はじめ、高校の同級生、先輩、映画大学の同期、
まちで出会う俳優さん、公園のおばあちゃん、そして同業者…

もしかしたら、身近に同種の属性の人ばかりの生活をしていると入ってきにくいかもしれないけど

でも、映像のいいところは、ひっかかっていると何度か再生されるだろうこと。
出会ったのと同じような、いや、リアルではそこにいるのにスルーしているかもしれない人と、

ちょっと深く関われるのだ。
ひとりひとりって、実は魅力的なんだよなあ。
すれ違う人の数が多すぎて、いちいちその魅力にアンテナを立てないように麻痺させてるし
その人なりの個別性(魅力・変わったところ)が外に出ないように、本人が制御して歩いている、ということもある。

 

カウンセラーとして興味深く観たポイント。

体力と気力の燃え尽き、
それを再燃させるプロセス、工夫が面白かった。

 

関わる人に感謝を伝えることを試みる。
「お気をつけて」という言葉をかけられ、元気づけられる。

 

そんなことを帰宅して夫に話すと、共感していた。

 

「俺もまったく同じようなことしてる。

日々凹んだり、思い直して丁寧に接客してみたり、同じだ。

そんな視点が撮られてるのは、それはいいな」

 

タクシードライバーというのも、歯車的な感覚を持ったり

あるいはさらに失礼な目にあったりのなかで、

モチベーションを保ち、どうやって働き続け、さらに売り上げを上げられるのか、

自分で調整を繰り返しているのだろうな。

 

それから、青柳監督が

地元のおばあちゃんに嘘をつく、

同業者に、一番いい数字を言う、

という現象も、印象に残った。

自尊心を守ることでもあり、もっと反射的な無意識の防衛でもあり、
その奥にある社会からのプレッシャーも感じる。

 
舞台挨拶で壇上に立つ、青柳監督。現在も、ウーバーイーツを続けているそうです。
昨年よりもコツをつかみ、住まいもご自身で契約され、
バックパックにこの映画の広告を貼って走っているそうです。
 
これ、ほかにも同業者がつけてくれたらもっと宣伝になりますね。

映画を観て、応援してくれる同業者が増えていったら面白いな。
 
 
行く途中も帰るときにも、同業の方たちを見かけました。
 

紫陽花が、緑化していくのを見るのも好きです。
立ち枯れていくのも好き。
枯れた頭を切り落とされた姿よりも。

肉体労働、時間や成果の対価を得るのは
なかなかきつい年齢になってきた50代の私は、
しばらく、この映画の感想を味わうことでしょう。
 
映画を観た人と語りたいなあ。
 
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こちらは入門はないのでご不明点お尋ねください。タイトルから関連ブログ記事にリンクしてます。

 

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