神田つばき著「ゲスママ」を読んだ。

 

ゲスママゲスママ
1,296円
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父不在の女系家族に育ち、自身も結婚後姉妹をもうけたが、
病気で子宮全摘出となってから「このまま死にたくない」とばかり離婚。
愛と性の求道者として凄まじいまでの道のりを綴った1冊。
 
本の帯には「愛よりも、性」と書かれているが
私はつばきさんが激しく求め続けたのは「愛」であり、そのツールが「性」であっただけだと思う。「何よりも、愛」ということで、「何」の中には家族、道徳、などあらゆるものが入る。それだけ純粋に渇望した、愛。
 
父不在となった家庭で、
「お父さんが帰ってこなくなったのは、自分がみっともない子だからだ」
と解釈する少女。
ひいては
「私は男という生き物から求められない、男性にとって必要のない存在なんじゃないか?と、このとき悟ってしまった。」(P22)
と、強固なビリーフ(信念)を内に育ててしまった。
 
祖母の支配、のちには母の支配のもとで育ち、その支配から結婚で脱出したと思えば
婚家の母の支配下に自ら入るという図式に、私は戦慄する。
 
存在そのものを承認された実感のない少女は
努力を承認してほしい。
関心を向けてもらうこと、
特別な行為を共有すること、に中毒していく。
 
私は彼女のどの行動にも「ゲス」さは感じず
むしろ敬虔な宗教者のように、自らの命の声に従っていく尊さのようなものを感じた。
 
印象に残るフレーズがいくつもある。
「子供は言葉で自分を説明しようとしない。それは言葉を知っている知らないとは関係ない。他者に向かって自分の窮状を訴えるという客観性が、10歳ぐらいまでの子供には乏しいのだと思う。しんどい気持ち、孤独な気持ちは、幼ければ幼いほど自分の内部に向かい、そこを音も立てずに抉り続ける。おかしくなっても抉ることを止められない。」(P40 )
 
私が普段カウンセリングでしていることのひとつに、この「幼い頃に言語化されなかったしんどさや孤独を、大人になったクライアントさんに語ってもらうこと」がある。
そして平行して「子どもが気持ちを話せる環境を作ること」をなんとしてでも子どもに関わる人に伝えたい、と活動している。
だからこうして、本当に渦中にあった人の、子ども時代の気持ちが言語化された本、というのは貴重だ。
支援者は必読だと思う。
 
愛の求道者・つばきさんは、
ひとりの人との特別な親密な関係を求めて「ザクザクする・ザクザクされる」ことに没頭しようとするが
その自信のなさやコミュニケーションの癖によって失いたくない関係から逃げ、
「プレイ」を埋める複数の人を集めるが、
ふと気づいてそのメンバーを精算してまたひとりを求める、ということを繰り返す。
この彷徨がまた、愚かしくも崇高な道のりだと思う。
これを彩る相手はコードネームで呼ばれ、あらゆる日常の属性から切り離された愛の宇宙に浮かぶ、「個」として存在する。この世界観が美しい。
アレクセイ、親分、萬斎、、、
そして「間違った関係」の存在が、「真実」をより輝かせていく。
こんなのはザクザクじゃない。
ここには物語がない。
と、つばきさんの求道はきわまっていく。
 
「しかし、本当に言いたいこと、相手に伝えるべき大切な気持ちを言わないということは、嘘を吐くのと同じなのだ。少なくとも自分自身の心に対して大きく嘘を吐いている。そのことで自分の心が傷つくし、真意を言わないことがクセになっていく。」(P132)
自信のない自分
嘘つきな自分を批判しながら
壮大な呪いの謎解きの旅の果てに答えらしきものを手にする。
 
「私が求めていたのは、(中略)そのことがやっとわかった。」(P220)
 
この中略の部分はぜひ、本を読んでこの長い旅をともにしてから読んでほしい。
 
とくに、父を失って、その原因を自分に見出して納得してきた女性には
この本がひとつの救いになるのではないかと思う。
闇の中で言語化できなかったことが陽のもとへさらされる爽快感。
自分でも愚かだと思いながら恋愛や仕事を破たんさせてきた経験のある人は
その謎のヒントがここにある。
 
・・・・そう、私がまさにそういう人なのでまったく他人ごとでなくこの本を読んだ。
私自身の謎解きは、心理学やセラピーを学ぶことで大枠が解けていまここ、にいるけれど
ひとつの物語として、これを読めたことは大きい。
つばきさん、よくぞこの本をひとつの完結した美しい物語として生み出してくださいました。
ありがとうございます。
 
私は私の求道を続けて多くの人を傷つけ、
娘たちを過酷な状況にさらしてきた「ゲスママ」の1人なのだけど
この本を読み終えて
「それでも私はこの冒険をやめるわけにはいかなかった」
と胸を張って言える。
 
そして娘たちにも
「人生の中で、あなたの命が求める旅に呼ばれることがあったら
それは何をおいても出かけなさい」
と言ってあげたい。
 
 
※性描写、暴力描写が苦手な方には厳しいかもしれません。
私は、商業的に煽る表現の文章とは全然違ってこの本にはうんざりすることなく、最後まで純文学として読めました。
(あくまでも個人差があるので、選択は自己責任で)
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