話題の波に乗り遅れつつ、シン・ゴジラそのものより「シン・ゴジラ評」を読みたいがために映画に行ってきました。
集まったのは、怪獣映画にも特撮にもとくだん興味がなかった女性3名。
・リケジョ、3児の母
・数年間アメリカ暮らしをしていたフォトグラファー
・カウンセラー(子育て終わりかけ)
というメンバーで対話してみると……
以下ネタバレ含みます
また、好意的でない記述を含みますので、この映画大好き!という方は
敢えて読まないという選択もおすすめです。
書き終えて読み返してみたけど、お行儀の悪い書き散らしになってしまった。
でもUPするんだけど
と、保険をかけておいて。
まずは対話のスタートは、一次感想を一言ずつまわすところから。
「おじさんの顔のドアップもういいわ」
という失礼な発言から。そういう私もアップに堪えないおばさんなのですが
映画って逃げられないので、なんかすごくパワハラ感を感じてストレスでした。
いや~、おじさん臭い映画でしたね。
めんどくさい会議の手順、素朴な発言(おじさんにまだなりかけの若造)はひねりつぶされる。
あとなんか武装促進、防衛キャンペーンみたいなきな臭さも観ていて落ち着かなかった。
本当に恩知らずな発言をすればおじさんたちは個ではなく国を守っている。それが国家か。
会社員は個ではなく会社を守り
でもさ、家庭人は個でなく家を守っていたりするよね、という話題になり。
アメリカ暮らしをしていた彼女は、映画の中でゴジラ初上陸の翌日、みんなが登校出社している光景が異様にうつったそうだ。
私ともうひとりは「いやきっとああなるよ、実際」と口をそろえる。
自分が実際にゴジラ上陸した後すぐに遠くへ避難するかというと
やはり動けない気がする。
娘に「逃げよう」と言われたら動くと思う。
そうか、自分自身はもうここで命が絶えてもしょうがない、という気持ちもあるんだな。
でも次の命を守るためなら動いてもいいか、というモチベーションはある。
そうそう、私にとっては、ゴジラは(人工的)自然災害、みたいなものなので
あの、ゴジラを「敵」として迎え撃つ感じがどうもピンとこないまま終わったのだ。
この映画をひとことで言うと
「おじさんのナウシカ」
だった。
オームは悪いことしてない。腐海は水や森を再生している。
風が吹けばメーベに乗って移動手段にすればいい。
そういうナウシカが、シンゴジラのおじさん界にはいなかった。
おじさんたちは、技術を結集して、ゴジラを凍結しちゃったけど
またいつ凍結剤を解毒してゴジラが動き出すかわからない。
アメリカはそしたらすぐ攻撃することになっている。いいのか?
私の想像の世界では、ゴジラの進行方向を天気予報でハリケーンのように予報しながら
逃げたり踏みつぶされたりして共存する方向をみる。
ゴジラが第5形態になって飛ぶようになったら、それを乗りこなすナウシカが出てくるような気がする。
だって、そもそも、ゴジラはまき散らされた放射能を無毒化するんじゃないのか?
それ、地球の救いなんじゃないのかな?
いったん人類が滅亡の危機になったとしてもそれは人類が引き起こしたことだからましょうがないような気もするし。
となんとも気の抜けた感想を話す私に対して、この映画の魅力を語ってくれたのはリケジョ。
彼女いわくこの映画を一言でいうと
「歯車のロマン」。
おお、それはいかに。
彼女は代弁してくれた。
つまりこの物語は、日本のサラリーマンのロマンであると。
アメリカン・ヒーローみたいな、1人の破天荒な英雄ではなく
日本男児は、職分を超えずにそれぞれが目いっぱい持ち場を守ることで大きな敵に打ち勝つことができる。
この映画は、歯車礼賛の映画だ。歯車のひとつひとつがヒーローなんだ。
これを観て多くの真面目な歯車のみなさんが報われたはず、それがこの大ヒットにつながっている。
この映画を嫁と観たくない。嫁にはわからないであろう。。。
リケジョの彼女は、何かが乗り移ったように(歯車か)、熱弁してくれた。
さらにいうと
息子たちはDVDが出たら、あの電車のシーンだけをリピート再生して楽しむだろう。
新幹線や在来線をプラレールを走らせるだけでなく、
敵をやっつける!興奮する!!!……目に浮かぶ。
もう一人の参加者、帰国フォトグラファーさんの一言
「男のお仕事パニック映画」
パニック映画自体は嫌いじゃないんだけど、
今回文脈があまりにピンとこなさすぎた。
あと、女性が出てきてない……?
出てきてるんだけど、
3人で話題にしたのは、出てくる女性たちの類型。
バリキャリ・セクシーの石原さとみ
バリキャリ・鉄の女の防衛大臣
女を捨てた偏屈研究者の市原実日子
ひたすら母性をふりまく片桐はいり
これだけかい!!!
という反発。
正直だれにも共感できなかった~。
だれにもなりたくない。
エヴァンゲリオンの時は、葛城ミサトに感情移入できたんだけどな(爆)
というわけで
おじさんのみなさんごめんなさい。
byおばさん。
でもね、この映画に貫かれている「おじさん」文脈って、男女差とかじゃなくて
単に「古い体質」なんじゃないかなーと思うんです。
主人公の矢口蘭堂はそこに違和感を持ちつつ、今回は生き延びた。
でも「あれは、生物では?」と真っ先に気づいたのはまだおじさん化してない彼だったのだから
だんだん、全体がナウシカ化していかないかしら。
この映画好き!わくわくする!っていう感想もたくさん読んでたのでこれをどうオブラートに包んで書けばいいんだろう?と思ったけど
包めなかったわ。
ちなみに、私が最も読みたかったシン・ゴジラ評はこちら。
う~ん、さすが。
そして、衝動をただ凍結するのはやっぱりカウンセラーとしてはいただけない。
それ、そのうちまた暴発しますよ。
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