元小学生の転勤 | 黒猫本舗のブログ

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5人の子供の事を中心に備忘録感覚で書いてます


このブログの初期の頃に小学生だった子が

仕事で転勤になると言うので

餞別を買いに百貨店に向かった。


「流行り廃りなく使い易く」て

「その子が気に入ってくれそう」で

「親御さんが見ても納得出来る」もの、

これがなかなか難しい。

過去に子育て中で使わなくなった

ヴィトンやVivienne Westwood辺りを

質屋に二束三文で売るくらいならさー

知った子にやった方がいいかなー

その程度の感覚で

「もう使わないから持って帰っていいよ、ホント可哀想だから使ってやって」

って次々あげていたら

何人かの親御さんが慌てて返しに来られて

説明を余儀なくされた過去もある。

要らないから捨てようにも

二十代の思い出故に捨てられないから

誰かに使って頂きたいんでお願い貰って!!

ってゴリゴリ押し返した。

因みに何も言ってこなかったお家でも

あげた子が後日に怒り心頭で来て

「猫さんに貰ったエルメス、親に勝手に売られた」

「マジか……あの状態のガーデンパーティなんざ売っても大してならんと思うけどな」

「めっちゃ大事に使おうと思っとったのに」グスッ

「じゃ別の好きなの持って帰り、リベンジお下がり」

「えっ?いいと?」

「気に入ったのあったら服も好きに持って帰って、お願いマジで見てるだけでモヤモヤするから」

と言う事例もあった。

まぁどうなんだろ、親御さんの気持ちとして

近所のオバサンのお下がりなんて

家に置いておきたくなかった説もあるよね。

反して私があげたポロシャツを

わざわざ痛まないように手洗いして

週3で着てくれてる子もいたりしたが

今や成長した長女や次女が

残りのPARCOや丸井ブランドを着てくれてる。

やっぱねー

若い子が着てこそ、なんだよねー

今の私には服なんてのは実用性を備えた

寝巻き兼戦闘服みたいなもんなので

ホムセンとワークマンで事足りる。

寝巻きにもなってその辺も出歩ける

ワンマイルウェア()と言い張れそうなのを

気に入ったら3着購入して

修繕不能まで着倒す感じなんだけど

朽ちゆくだけの自分に投資するくらいなら

未来ある子供達に回すわよ。

そうわよ。

因みに私みたいな主婦層が増えたら

街の服屋は軒並み倒産しちまうどころか

ファッション業界の根幹が覆されるので

資本主義経済の日本に於いては

多数派になってはいけない価値観

ってのは自覚してる。

買うなら10年使う覚悟でって感じ。


そんなファッションから遠ざかったワタクシ

昨今の若者への贈り物に絶賛悩んでいた。

誰が貰っても「あら嬉しい」となる

そんな物、あるんだろうか。

今って何か良く言えば賢く

セレクトショップを回る程の根性はないし

親御さんが辟易するような物は渡せない、  

日常使いにもってこいだけど

女子大生くらいの年齢層には

ちょっと高めに感じるかもしれない

くらいの価格帯がこちらとしては望ましい……

うーん……

まずはブランドで考えてみるか、

若い子が持っててもカジュアル過ぎず

パパ活感ない程度のクラスってどこがある。

そこから絞ったのが

ラルフローレン・サマンサ・agnes b.の3つ。

安からず高からずな価格帯で

二十歳そこらの子の日常使いでと考えたら

私にはこの辺しか思い浮かばなかった。

私はツモリチサトとagnes b.には

ちょっと思い入れがある。

ファッション興味なーい!!

服なんてジャージとジーパンあれば十分!!

10代になってもそんな孫娘の私に

「安いのに質も良くてどんな服装にも合う品のいいデザイン」

と言う理由で祖母が

ツモリチサトとagnes b.を買ってくれていた。

「変に主張しないから使い易いんじゃないかしら」

「いいね!!トカゲ!!」

agnes b.とLARKINSは目を引いたなぁ……

ロゴがトカゲとヤモリってだけだけど……


あ、でもさ?

若い子が本当に気負わず使えるなら

MARY QUANTとかでも良いのかも。

マリクワ。

我々の頃なら友人同士の返礼品や贈答品として

CLATHASとかANNA SUI辺りと合わせて

定番のブランドだったけど

ナウなガール的にはどうなんね。

MARY QUANT、ANNA SUI、agnes b.……

ダメだ、まとまらん。

私がモキモキ悩み歩く横で

ヌーさんは久々の百貨店にウキウキしていた。

私が迎えに行ったことにより

学校からスクールバスで帰れなかった長男は

「何でここに自分がいるのか分からない」

そんな面持ちでソファーで目を細めている。

解るぜ、私もこの雰囲気は好きじゃない。

百貨店よりドン・キホーテの方が心躍る。

でも私が小さい頃に週に何度も通ってた 

三越やそごうや西武や東武は

もっと煌びやかで輝いていた記憶がある、

悪く言えばお高く止まってたけど

良く言えば何かプライド持ってた感じ。

まぁ母のお出かけと祖母のお出かけ、

双方について行っていたから

あんなに頻繁に出向いていた訳だが

銀座有楽町よりアメ横をどこより愛して

ドンキとホムセン大好きな大人になったから

環境を資質が凌駕した感じはする 。

神が授けたもうたガラの悪さっつーか。

そもそも鶴屋百貨店で

ハイカットのスニーカー履いてるババアなんて

私くらいなんじゃないか、

とっとと決めて早く出ましょう。

確かこのフロアのはずなんだけど。


「まぁ可愛い~」

ファイルを持った事務服の女性が

ヌーさんに話しかけてくれたので

「ありがとうございます、良かったねヌーさん。あのですね、agnes b.はどちらになりますか」

意を決して聞いて場所を知る事が出来た。

広大な売り場面積を誇る鶴屋百貨店だが

案内図がないんだよね、わりと。

一応、事前に調べて行ったのに迷った。

やっと見つかったagnes b.で

店員さんに事情と予算を話し

私がチェックしてきたものは

「あ、それもWeb限定なんです……」

「あら……」

軒並みお店では買えない。

A 4サイズで絞り込んでみよう。

ふふ、流石。

出てくる鞄全て無難な中にも漂う品性。

ロゴは小さく実用性は高く、

さぁ最後に残るのはどいつだ。

「これ、ネオプレン製って確か見た気がします」

「そうですそうです、ウェットスーツに使われる素材ですね」

「じゃ雨にも強い訳ですね」

「そうですね 」

「黒はありますか」

「今出てるのだけですね、合わせてみます?」

個人的には青の方が良いけど

使うのは私じゃないんで

私が合わせても仕方ねぇと思いつつ

自分用にも買おうか迷うくらい良かった。

君に決めた。

15000円程度だったので予算はまだある。

これだけじゃ何か寂しいよなー

彼女がいなかったらって考えると

今までのお礼的な意味もあるんだしー

そう思ってた矢先に

「あ、ボディショップあるじゃん」

包んで貰うのに少し時間が掛かるらしく

我々はエレベーター脇のソファーで過ごす。

「あともう一軒付き合ってくれ、長男息してるか」

A 4サイズのショルダートートが

入っているとは思えないくらい

どデカいショッパーを肩にかけ

「あー何かこの感じ10数年ぶりだなぁ」

そんな気分になった。

良いか悪いかで言ったら、余り良くない。

体育館の床に体育座りみたいなのと同様

身体が覚えてる類の懐かしさを感じた。


ボディショップもやっぱり

祖母が愛用していたのがキッカケだった。

「色々あって面白いのよね、日本にはない香りとデザインで」

成長した私がLUSHにハマったのも

おばあちゃんのボディショップのお陰。

当時は今みたいに画一的じゃなくて

ローズマリーのシャンプーとか

バナナのコンディショナーとか

とにかく色々あったんだよ。

品質が上がった分、バリエーションが減った。

さて……あれ?

「何かお探しの物ありますか?」

「また変わったんですね、パッケージ」

「そうなんです、しかもヴィーガン仕様に」

「植物に厳しくなったんですね」

「んふっ、確かにそうですよねぇ」

俯いて笑い始めた店員さんだが

ヴィーガンってアレだろ?

地球と動物に優しいのに

植物に滅法厳しい人達の事よな?

余談なんだけど

抵抗物質ってのがあんだよね。

タマネギの硫化アリルみたいな感じで

虫とかに葉っぱを食われた時に出すらしくてさ、

草を育てている容器を中央から仕切りで隔て

片方にだけ青虫を数匹放して食わせると

青虫のいない方の半分の植物にも

抵抗物質が出る事で解る様に

植物には言語に似た伝達方法があるらしい。

植物に知能や意思がない訳ないよね、

こんだけ様々な多様性を持ち

戦略的に生きている生物、

ドングリの量を自己調整したり出来るのに。

屠殺される動物と同じく

食べられたくないみたいよ、植物も。

逆手にとって鳥媒花なんてのもあるけどね。

「すみません、ツボってしまって」

「いえ、すみません。我々の頃はピンクグレープフルーツ、イチゴが人気でしたが、今はどうなんでしょう」

「やはりピンクグレープフルーツとイチゴですねぇ」

「意外に変わってないのか、個人的にはモリンガとアモリトが好きなんですが」

「モリンガも人気です、アモリトってありましたっけ」

「何かほら、結構前にカラーセラピーみたいにフレグランス出されてた時期あったその時の」

「あーわかんないなぁ」

「私が大学生の頃だからお姉さん、生まれてなかったとか」

「いえいえいえそれはないです、多分そんな年齢変わらない気がします」

お店の人にも知られていないアモリト……

めちゃくちゃ人を選ぶイイ匂いだったのに……

因みに私はボディショップのボディバターを

ヘアワックス代わりに使っている。

別にニベアクリームでもいいんだけど

顔に付けられない物は頭にも付けたくない。

「じゃこのモリンガ詰め合わせにします」

「ラッピングはどうなさいます」

「紙袋で構わないのでここに入れて貰えますか、ギュッと」

「ギュッと!?」

更に膨らんだ荷物を片手に外に出ると

早くも日が陰り出していた。

帰宅ラッシュ間近、

主婦がソワソワする時間帯だ。

「ママ、オマンジュウ八?」

蜂楽饅頭も買わんとな、そうだな。

アンコが駄目な長男には

大好きなバニラシェイクでも買ってやるか。


そんなこんなでやっと家路に着き

何だかドッと疲れが出た。

ハンズマン行って材料揃えて

ガレージで電動ドリルだ何だやって

棚を作った時なんかはそんな疲れないのに

どうして百貨店はこんなにも疲れるのだろう。

場違いなんだろうな、

沼の生き物がカリブ海泳ぐみたいな感じかも。



夜、渡しに行った。

「こんな夜にごめんね」

「こちらこそわざわざ申し訳ない」

「もうホント、ビックリして。何か近所に住む長女みたいに思ってたから」

「私も猫さん達は親戚だと思ってるよー」

「うぅう立派になって」オイオイ

「何か実感ないんだよね、ここを離れるの……2年か3年で戻れるんだけど」

「えっ?」

「近県でいきなり2人辞めちゃって、そこの穴埋めに暫く行く事になったから」

「じっじゃあ帰ってくるんだね!?」

「うん、帰ってきたらご飯行こうよ。私もうお酒飲めるよ」

「私は飲めないんだけど行こう行こう!!」

「そっか飲まないんだよね、でもご飯行こう!!」

よかった、よかったよ。

因みにおばちゃんが半日掛けて悩んだ鞄は

「アニエスベー……ロゴは見た事ある。あ、めちゃ良い~」

「ガンガン使って」

「ありがとう、早速明日から使うね!!」

何とか気に入っていただけたようで良かった。


これが男子勢ならラッピングも何もなく

「ああこれ就職祝い、幾つあっても困らん物で選んだわ」

「えっ何?スマホのバッテリーじゃん!!ソーラーついてるし!!いいと!?」

「頑張れよー」バヨナラー

「猫さんありがとー!!」バイバーイ

ってアッサリ終わって来たんだけど

女の子相手のプレゼントは本当に悩む。


今も昔も、ずっとそうだ。

女の子へのプレゼントは気を抜けない。

そして毎回思う。

私は人にあげるプレゼントを

選ぶのが実はとても好きなのだ。