ひとつ前のかどはさよならサヨナラ -29ページ目


時計を右腕にする事に深い意味はないわよ

女の先輩は笑いながら答えた

今の会社に入った当初からよくアドバイスをもらう女の先輩と打ち合わせを兼ねて昼食を共にした時の事だった

この先輩バリバリ仕事をこなす姿は
男の僕が言うのもおかしいけど、清々しいくらいかっこよかった

ただ、女性的な柔らかさと言うかそう言った類いの隙がなくて
周りからは取っつきにくい事で有名な人だった

その日も
久しぶりに顔を合わせ
髪型が変わっていた事に僕が気づき

あれ髪型変えたんですね

なんて、挨拶に添えたんだ

そしたら、真顔で
最近の女性はそれくらいの言葉じゃ喜ばないわよ~なんて
言われてしまった

僕は苦笑いしながら先輩の横顔を眺め
打ち合わせに入った
話は進むにつれて、
あれっ?って
僕は別の事に気がついた

先輩は右利きなのに右腕に腕時計を巻いている

僕の目線に先輩は気付いたのか、
これ?なんて時計を見ながら微笑んだ

ただの昔からの癖なの
右利きだけどね
だから、理由を時々聞かれても上手く答えられないの
なんて話をしてくれた

ただ、この答えられない質問に先輩以外の人が答ええてくれた事があったんだという

【俺の真似してんだんよね】

と、当時先輩が付き合っていた左利きの彼氏さんが答えてくれたらしい

彼氏さんもそこに居合わせた人も
本当にそう思いこんでるみたいだったけど
先輩は否定しなかったらしい

その事がきっかけで
それからは右腕に時計をしている事を聞かれたら

【彼の真似】

と答えてきたと話し、説明する先輩は最後は凄く穏やかで
素敵な笑顔をみせてくれていた

普段の姿とは別にそんな一面が先輩にある事をしって
なんだか僕は凄く嬉しかったんだ

当時のその彼氏さんは、今は先輩の旦那さんになっている


LALALA -feat 若旦那 加藤ミリヤ

こう言ったら何だけど、僕は旅に関しては国内外だいぶ数はこなした

でもね
旅慣れた人にどうしてもなれないんです

旅だ!

と意識すると途端に気持ちがうわずってしまってハイになっちゃう

旅支度
だめね、慣れない…

まずパンツだな!
これはどうしてもなくてはならん!
パンツが無ければ戦が出来ん、…それから靴下か…、えーとシャツも必要だ
それからねガイドブック、海外なんて何があるか判らんからね、危ない危ない
なんて
一つ一つ吟味して荷作りしていくけど段々収拾がつかなくなる

やっぱ旅先ですごい風景に出会ったら
詩とか書きたくなっちゃうかもな
するとノートと鉛筆か!
言葉が重要になるな
辞書だな辞書
むッ、パンツもう一枚足しておこう

おぉ、カメラを忘れていたぜ!
あぁ、やっぱ飛行機ん中で読む詩集なんかいいな!!スチャッと取り出すとカッチョいいかもしれん
隣に美女が座るかも知れんし
あら素敵なんて思われたら
ふっふっふ
お嬢さん今夜は2人でナンイトフライト
いやーん逆噴射
てな展開になるやもしれん!
そうなるとやはりパンツがもう一枚必要になってくるな…

てな事考えながら荷作りするもんだから
ものすごい量の荷物になってしまう

鞄のチャックを無理やり閉めて、持ってみるとこれが想像を絶するほど重い

漬け物石でも入っとるのか?

そう思って改めて見てみると

一体全体誰がこんな大量のパンツを!?

と気色ばんだりもするが、何のことはない自分で入れたのです

旅立つ前に気づき荷作りし直せるならまだいい
そのまま担いで旅立ってしまった時になんか
現地に到着して蓋を開けたてみあ時のショックたるや筆舌しがたいものがあるよ本当に

なぁ~ぜこんなにパンツが入っとるんじゃ~!
ど…どうしてミニ広辞苑がこんなとこに!?
大量の鉛筆があるくせに鉛筆削りがないではないかー!
てな具合に大騒ぎです

数年前に海外に行った時
鞄の中から【TSUTAYA】で借りたDVDが出てきた時は仰天して逆立ちをキメそうになった

空港に向かう前にちょっとよって返却しようと思っていたものをそのままもって来ちゃったんです
しかも四本!

異国のホテルでDVDを両手に握りしめ

うぅ…延滞料がぁ…

と男泣きに泣いた夜は忘れられない

後はあれね
お土産

普段なら絶対買わないようなものも旅に出るとハイになっちゃてるから買ってしまう

勢いで買って
これ…劇的に重いな…
と空港で気づいても捨てるわけにも行かないから苦労して持ち帰る

後からそのお土産見たりすると

ぬぉ~どうして僕はこんなものを買ったのだ!
なんて叫びなら家出したくなる

例えばオーストラリアへ行った時に買った
アボリジニアートの置物
現地のアートショップで見た時は

こ。。。これは天才の仕事だ!
と興奮して舟だ舵だのトカゲだの様々な置物を
おりゃあ!と購入してしまった

家に帰り机に広げて見たとき

カッチョワリー!
という印象しか抱けない

というよりも
ゴミみたいだった…
2、3日熱を出して寝込みそうになるくらいがっかりした

友達にそんな話をすると
オメェー馬鹿じゃねぇのか

って一撃で袈裟斬りされました
うーん
旅の荷物を上手くこなせる
旅慣れた人を見ると

あやかりたい…

心からそう思うのです

あぁ旅って楽しいなぁ…
拝啓

高千穂の山に住む
幻様にお手紙を出そうとは思いも寄りませんでした

なんとお呼びしたらいいのかわかりませんので

幻様と呼ばて下さい

ありがとうございます

随分やぶからぼうだなと訝しむお顔が目に浮かぶものの
まずどうしても感謝の意を表したく思うのです

歩き方など分からずに
この地を訪れ
人間と自然との純粋な関係に目が眩みました

何かを受け取ったかの様な錯覚を抱き
一葉一葉の風に漂う温かい関係の保ち方を
味わいという柔らかな強さに【和】の存在を感じました

今の日本に忘れさられ
失われつつあるものばかりかも知れません

どこで間違えたのか
見当もつきませんが
幻様が居心地の悪い国と感じられているのかと、思いました

僕自身含め、
豊かである事と便利である事を履き違え
大急ぎで生きてる様な気がします

縁よりも円が尊ばれ
和よりも利が優先され
酷くギクシャクした人間関係を僕の周りでも感じます

それは、家族の間まで及んでいて
親は子を、子は親を扱いかねて
どのような親子関係を築けばよいのか、戸惑ってしまってる
そう感じるのです

幻様は驚かれるかも知れませんが、
今の日本は【息子】不在の時代かも知れません

変な言い方かも知れません

その逆に父親も不在かも知れません

男の子は沢山いても
息子はいない
男親は沢山いても
父親がなかなか見つからない
そんな気がしてしまいました

かくいう僕も
ひとりの子供なのですが自分が父にとって、どんな息子であればよいのか。どんな風に父を愛したらよいのか
考えあぐねる日が多々ありました

そんな僕にとって
幻様の存在は
例え遠く離れていても、こんな風に息子たりうる事が出来るのだ

こんな風に愛せば良いのだと語りかけていただくような
葉掌の温かみを伝えてくださった様に感じたのです
だからお礼を申し述べたくなったのです

ありがとうございます

敬具