ひとつ前のかどはさよならサヨナラ -14ページ目
僕には、昔から

変わってるね

って、言われる癖がある

命名癖とでも言ったらいいのかな、なにかにつけてすぐに名前やあだ名をつけたくなる

全く無責任に命名しておいて
一人で

ふふふふっ

と面白がる、そういう悪い癖

ちなみにこの癖の事は
今後
ゴットファーザー症候群
としよう!

…あ!いけね
また命名してしまった!

いつからこんな癖がついてしまったのか
正確な事は分からないけど
生まれて初めて買ってもらった自転車に
ウルトラサンダー号と名前をつけて

くーッ、イカすなー!!

なんて悶絶した記憶があるからそんな時期からなんだろうと思う

でも僕の命名癖を
しのぐ命名好きが僕の身近に存在したんだ

父さんです…

聞けば
初めて住んだ下宿先の四畳半の部屋に
スペース・ファイブ・フォーと
名付けたり
母を結婚前まで
マイチェリー
と呼んでいたらしい…

母さんからその事を聞かされ、
僕は自分の事を棚に上げ
うわぁ…
うっとうしいヤツだなぁ…
なんて思い
開いた口がふさがらなった

そんな話の中で
母さんが父さんに内緒で数冊になるノートを見せてくれたんだ

そこには…

僕の名前の候補が意味と一緒にびっしりと
書き込まれていたんだ


最後のページには
しっかりした字で僕の【今】の名前が書かれ

大きく丸で囲まれていた

そんな人の息子だから
多少の命名癖があっても仕方がない事だよと
最近では開き直っているんだ
自分が片思いをしている
そんな
気持ちが大きかったな

恋って大きな
ストーリーがある時
片思いを意識する時がとても強烈なシーンになる気がするんだ

相思相愛よりも
片思いのシーンの時が
【恋愛】って言葉がそれぞれの体に
振り落ちてくる瞬間なのかな


必ずしも
相手がこちらを意識しなくてもいいんだ
こちらが相手と出会ったという気持ちがあれば

それが
出会いそのもので

自己発見なんじゃないかなんて想う


恋愛ってさ
惚れれば惚れるほど
喜びと同時に
心配や不安とか起きてくるね

不思議だな

すごく身も蓋も無いこと言ってしまえば
恋愛は
常にどちらかが片思いなのかもしれないな


花火は上がり続ける


お前さぁ
好きなやつとかいるの…?
やっと出た、僕の一言だった


長い…

長い…

短い時間

そのコは黙っていた


ゴメン今の質問無し

僕は沈黙に響く花火にたえられなり
深呼吸まじりに言う

そして
その深呼吸に合わせて
勢いづいて

言ったんだ


好きなんだ…



彼女はもう花火を見ていなかった


続く→



それは
ドキドキから変化し
自分の想いの中で葛藤する
ときめきのような
痛みの予兆だった


好きになるって
痛い事なのかって思った


銀の匙は
本当に、何度も何度も読み返した
大好きな本だった


よく借りてったでしょ
何度も借りてくから
そんなに面白いのーって思って
私も気になったんだ
読んだらハマったぁ

微笑みながら言う
そのコを見て

自分が借りていく本を覚えていてくれた
それだけでも嬉しかったのに
好きな本にも共感をしめしてくれた事に
胸が躍った


その後は
ずっと本の話で盛り上がった

僕は自分の読書量をひそかに自慢していたけど
読んでもない世界がいくらでもあるのだと


痛感させられた


偏りすぎた読書をしてきたのかな?
とも思った


でも、そんな事を感じながらも
顔は笑っていたんだ


話し途中で
そのコが言った


そんな風に笑うんだね


僕はとても恥ずかしくなって
また黙ってしまった

何かしゃべんなきゃ
って頭でわかっていてもね
黙ってしまった

今思い出しても
シッカリしろって
自分で自分の頭を殴りたくなってしまうよ


後方から声がする

焼きそば食べようよ

一緒にきた友達たちの声だった

うん
焼きそば食べよう

僕が返事して先に立ち上がる
土手の斜面で
横にいたそのコを見下ろす


その時
初めて、ちゃんとそのコの姿をしっかり見たのかもしれない


あぁ私服だ…って思った

私服を見た事が
また恥ずかしくなった

焼きそば食べよう


僕は言葉と一緒に
手を差し伸べて
彼女が僕の手をとり
引き上げ立ち上がらせる


体温が伝わる


そして土手を上がった

僕の気分も上がる



続く→