先日、職場で「PCT出願の際の日本の指定除外」が話題になり、

指定除外しかしたことが無い人がいると聞いて、ちょっと驚きでした。

そこで、指定除外するメリットと指定除外しないメリットを考えてみます。


指定除外するメリット


(1)国内移行時に日本への移行をしないで済む。

優先権主張する基礎出願の日から30または31ヵ月後が国内移行の期限ですが、

その際に、日本を指定していると、日本も国内移行する必要が出るので、

最初から指定除外することで日本への移行をうっかり忘れてしまうことがなくなります。

もっとも、こんなことをうっかりしているようでは、期限管理が問題ですが。


(2)日本への国内移行にかかる費用を節約できる。

国内移行手続きは簡単なものなので、いくら請求しているかは、

特許事務所によると思いますが、数万ー10万円は節約できるでしょう。


(3)優先権を保ったまま、PCT出願のみ出願人を変更できる。

国内出願を基礎出願として、PCT出願する際、

出願人の名義を変更して出願することはできません。

優先権の利益が得られなくなってしまうからです。

しかし、それは日本だけの問題であって、外国に出願する分には

問題ありませんので、日本を除外することで、出願人変更ができます。


指定除外しないメリット


(1)PCT出願時にデータなどの追加をした場合。

別途、国内出願にもデータを追加しないで済みます。


(2)実質上、特許期間が1年延びる。

本発明の出願日が、基礎出願の出願日でなくPCT出願の出願日になるので、

特許権が得られたら、実質的に、1年先まで権利が発生します。

特に医薬分野で、化合物の出願をする際、医薬になるのははるか先のことなので、

最後の1年は、もしかしたら、非常に重要な1年かもしれません。

そのことを考えると、データの追加をしなくても、指定除外しておくことも考えられます。