このブログのテーマは、英語でも特許翻訳でもなく、敢えてブログにしました。

ここでは、翻訳とはどういう作業を言うのだろうか、と考えてみます。


(1)図書館へ行きます。

(2)私は図書館へ行きます。

(3)私が図書館へ行きます。


この3つの文章を眺めた時、僕には、同じ意味を表す日本語だとは思えません。

例えば、これらの文章が答えになる質問を考えてみるのです。

おそらく、

(1)どこへ行くのですか?

(2)(私は病院に行きますが、)あなたはどこへ行くのですか?

(3)誰が図書館に行くのですか?

というような質問が予想できると思います。

ということは、主語を書くだけで、この3つの文章の意味は変わってくるのです。


これは一例ですが、このように、主語を訳すかどうか、

というのは前後関係にも関わる問題です。

とすると、必ず主語を入れるような逐語訳をすることによって、

原文と違った意味になることも考えられます。

というより、ほとんどの場合、逐語訳すると

原文の意味を変えてしまうと思っています。

前回書いたように、現在では、特許庁でさえ、

逐語訳で無ければならないとはしていません。

言語構造の違う言葉同士ですから、当然のことでしょう。


では、意訳が良いのか、と聞かれそうですが、

「意訳」という言葉で、各人が想像する翻訳は異なると思いますので、

この質問には、答えられません。


理想の翻訳とは、例えば、日英言語の場合、

日本語を日本人が読んだときに理解することと、

対応する英語をnativeが読んだときに理解することが、一致すること。

これは、文芸の分野でも技術の分野でも同じだと考えています。

もちろん、現実的に、完全に一致することはありませんが、

少なくとも、その理想を目指していきたいと思います。