妖怪ひとくちもらい | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

うちには妖怪が住んでいるんだ。

 

その名は「妖怪ひとくちもらい」

 

その食べ物をストックしておく分には全然減らないんだけれど、いざ食卓に出すといつの間にか一口だけ減っている。

 

コーヒーや紅茶、日本茶も一口、ドーナツや煎餅も綺麗な歯型(でも一部八重歯っぽい)でまぁるく一口。

 

誰もいない筈なのに気がつくと一口なくなっている。

 

でも、なぜか食事の時だけは一口ではなく一人前ペロリと食べていく。

 

そう、その妖怪の別名は「つま」

 

自ら「コーヒー淹れて」とかリクエストするのに、飲むのは一口だけ。

 

そう言えばさ、バブル全盛期の頃にその頃の雰囲気に染まった女性とレストランに行ったことがあった。あまり親しい人ではなかった(友人の友人の知人程度)が、当時はそんな間柄でも「男性が女性と会ったら奢るのが当然」みたいに考えるセクトもあった訳だ。

そして、その女性もまぁそんな考えに至るに足る綺麗なプロポーション。まぁそれを維持するためにはそれなりに努力はしているんだろうなと思わせる。

そんな女性と二人でレストランに行った筈なのに、4人掛けのテーブルの上に乗り切らないくらいの料理が並んだ。

そしてそれらの皿から一口ずつ食べたら「美味しかった。おなかいっぱい」と満足そうな顔をしていた。

「ねぇ、これでおしまい?」と聞くと「当たり前じゃない。これ以上食べたら太っちゃうよ」って。当然ながら、それ以降その女性から連絡が来ても断って縁は切った。

当時は「贅沢の限りを尽くすことこそ流行の先端」みたいな感じ。そうちょうど今の中国みたいな雰囲気かもね。でも、そんな当時でさえ「米には7人の神様が」と教えられてきたじじいにはその贅沢が許せなかった。

妖怪ひとくちもらいの行動を見ていたら、ついそんな大昔のことを思い出した。

 

まぁ「つま」のはそんな贅沢の結果じゃないから腹も立たないんだけれどね。