むかしばなし | lummoxの長い1日

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駄文、散文、写真、絵日記…何を書くかわかりませんが、その日の気分で…

唐突だけれど、過去に遭遇した「えっ」な話。

 

 

東京は池袋、西武池袋駅の朝の通勤ラッシュ時。

電車に乗ろうと階段を上がって更に大混雑するホームを下を見ながら突進する学生っぽい小僧と到着した列車から降りてホームを階段に向かおうとするじじい(当時はまだ30代)がぶつかった。


大混雑している通勤時間帯の駅ホームで下を向いて周りを見ず歩くなんて非常識も甚だしい…(そう思った)のでこちらが謝るのは違うと、謝る事なく相手を見た(睨むと言うより「なんじゃこのアホウは?こんな状況の中でも自分のことしか考えられない哀れな奴よのぉ」的視線)。

 

そして目が合った途端…

先手小僧「おいてめーこのやろー。どこ見て歩いてんだ!」

後手じじい。(哀れみを込めて)右手の人差し指で頭のあたりをクルクル(おめー、頭おかしいんじゃねーの?相手してらんねーわ)

小僧「(ムッキー)それで謝ってるつもりか!」

じじい「…」(←あまりにも予想外の台詞に声が出ず)

周辺の複数の人から「ぷっ」って吹き出す音が聞こえた。

じじいもつい吹き出して顔が緩んでしまった。

そこで坊主も自分が何を言ったか気付いた様で、赤面しつつ走り去って行った。

 

こんなんで謝ったと思ってくれるなら、何度でもクルクルしてやんよー。戻ってこいよー…願いは叶わなかった。残念

 

 

 

もう少し時代は今に近づいて…

ある友人女性「U」と、そのUと共通の男性友人「Y」と3人で飲んでいた時の会話。

YはUに好意を持っている様で、Uが親しみを示すじじいを勝手にライバル視。

そんな中で酒が結構入ってきた頃、Yが「俺はUクンとこんなに親しい」「俺はUクンのこんなことまで知ってんだぜ」的な親密さを誇示してきた。

確かに知り合いはUといる事が多い様だ。

でも、それは好意より仕事上の付き合いなんだよな。

 

と断言できるのも、実は以前からUより「Yに誕生日やクリスマスに高価なものを押し付けられて困っている」などと相談を受けていた。

Yの言うところの「プレゼント」、Uが思うところの「押しつけられる高価な品々」は、受け取ってしまうと同じ程度のお返しをしなければならないので、旅行に行くとか何かを買うなどの予算が削られ、計画が丸潰れになってしまうので甚だ迷惑な行為以外の何物でもないとの事。

 

そう「イベント毎に男が女に高価なプレゼントをあげて見返りは求めない」って風習が最近はあるみたい(?)だけれど、当時は…少なくとも一般庶民的にはそれは非常識だったんだ。時代は変わるんだな。

 

別に仕事のついでにどこかに食事に行くとか、健全に遊ぶ程度なら良いけど、それ以上は遠慮したい。「Yはあくまでも友人」と言い切っているのを聞いていたんだ。

 

なので、これまでにも…

そのプレゼントについて「相手の迷惑も考えれ!」とか言ってみたりもした。

でも、「俺が好きであげているんだから相手は関係ない」と言う自己中全開…いや、時代を先取りし過ぎの回答。

そんなもんで、Uの「迷惑」と言う思いは届かない。

 

仕方なく…

夏に友人で集まって海に行けば、そのYがUをそこはかとなく追い回す。それを嫌って、でも場の雰囲気を壊さない様Uがやんわり逃げてくるのがじじいの隣ってのが定番だった。

Yに諦めさせるために、ビーチパラソル下ではじじいがUにサンオイルを塗ってやったり、海の中では「あははあはは」と笑いながらUを抱き上げたりもした。

 

それくらい親しくしてるんだから、Yお前は諦めろと諭してるつもりなのに「ま、Uクンは気まぐれだからね」と自分の信じたいことだけを信じる体制を崩さない。

 

それ以外にも集まりがあれば、必ずYはUの尻を追いかけるので、Yが来るとなれば常にじじいはUに「最終逃げ込み場所」として呼び出された。

最初は別のところにいても、Yに追い回されたUがいつの間にかピューと飛んできてドーンと抱きついてくる。

 

Uがじじいにくっつくとそこがゴール。

それ以外の場所ではYはしつこくUにくっ付こうとするけれど、Uがじじいにくっ付いたらもう剥がれないことをYは経験則として知っちゃったんだろうな。

最初の頃はそれでもその横に来てちょっかいを出そうとしていたけれど、迫れば迫るほどUはじじいにくっつく。潜り込むようにくっ付いてくる。隣に座っているだけじゃなく、Yが押し込んでくれば最後はじじいの膝の上に乗る。背中に抱きつく。じじいの首に手を回してお姫様抱っこをせがむ。わざとらしい甘い声で「いやーん。じじいたすけてー」と笑いながら。

お姫様抱っこをするためには、首に巻き付いたUを落とさないよう、Uの体に手を回して抱き上げなければならない。細い腰に、可愛い尻に、状況によっては背中から胸にじじいの手が回るのはYには耐え難かろう。頬がくっつきそうな距離で話したり、「はい、あーん」なんてじじいにするUを見たくはなかろう。

 

そんなUとじじいを見たくないなら、その直前をゴールと見定めて、それ以上押し込まなければ良いと学習したのだろう。

羨ましい状況のじじいをものすごい形相で睨んでいたのを覚えている。いや、その視線が快感だったわ。

まあ、このYには後年きちんと嫁さんを紹介してあげたんだから、辻褄は合った事だろう。


そんなじじいとUの間に恋愛感情はない…Yを除く他の友人たちからは「早く結婚しなさいよ」と囃し立てられていたけれど(これもそんな時代の話だ)。

実はじじいがUを、Uがじじいを猛烈に好きになった時期はあった。けれど、時期がずれていたんだ。じじいが熱を上げていた時はUが冷めていて、じじいが冷えちゃった頃Uが熱を上げた。結果、すれ違ったまま「良い友達」で終わっちゃったんだよねぇ(遠い目)。

 

そんなあれこれを経ても、見せつけても尚Uを狙い続けるYのマイペースぶりは本当ある意味感動していた事も事実だけれど、当事者としてはいささか食傷していたのも事実。

もう諦めてくれよ…何度もそう願った。でも、何年にもわたって懲りる事なく繰り返される鬼ごっこ。そのうちUは頭にツノがあって虎縞のブラとパンツとブーツを履いていて、Yは本当はA樽って名前じゃないかって錯覚に陥ったよ。

 

そしてその日「俺の方がUのことを…」なんてことを言われたじじい。

 

Yよ。お前がいくらUに好意を持ったとしても、最近一緒にいる時間が多いとしても報われることはないぞ。

そして、YとUの親しさがじじいとUのそれを超える事も永遠にないぞ。

そこにはマリアナ海溝より深く太平洋より広い溝がある。決して飛び越えられないのだ。

例え地球が砕け散っても、UがYに楽しそうに抱きつく事も、嬉しそうに膝の上に乗る事も、寂しいからと真夜中に電話をしてきて、寝落ちするまで電話を繋げていてなんて言われる事も、「いつもの場所で待ち合わせね」なんて言う「いつもの場所」もUとYの間にはない。じじいとUの間にはあるけどな。

どうだもう決定的だろう。

だから、お前の親密さの誇示などミミズの爪垢程度の重さもないんだよ。

それをわからせてやるぜ(フンフンっ)

 

じじい「Uが困ったことがあった時、寂しいって思う時、電話してくるのはじじいだし、Uとじじいの間で秘密はないくらい何でも話しているな。そう、Uの尻の穴の数まで知っていると言っても過言じゃねえくらいだぜ(フフン)(過言だけど。数えた事ねーし)」

知り合い「尻の穴…大抵1個だよね」

じじい「うっ…(赤面)」

 

そうだよな。誇示するなら皺の数だよな。

酔ってたんだよ!

言い間違えたら恥ずかしいだけだな。

せっかく「決まったぜ」と思ったけれど、よくよく考えたら「尻の穴(皺)」の件はいらなかったな。全然格好良くならなかった。

Uにも大笑いされたよ。

 

最近、それに近い出来事があって、そんな昔話を思い出したので垂れ流しておく。

オチはない。