トイレで泣いた日 | ココロのコトバ

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起立性調節障害という病気で、中学は2年半完全不登校だった息子。
単位制の通信制高校に進み、見違えるように生き生きと高校生活を楽しんでいます。

前向きに一歩ずつ…息子と娘とシングルマザーの私で歩んでいます。


親として

子どもの気持ちがわからない

ということがどれほど辛いのか…


不登校のお子さんをお持ちのお母さんは

皆、感じていることと思います


息子が不登校中

2週に1度くらいの割合で

放課後、息子は自分で学校にプリントを取りに行っていました


私は学校から帰ってくる息子に

『誰かに会わなかった?』と聞くのが癖になっていたようです

それは

息子が友達にバッタリ会うのが嫌だろうと思っていたし

そのためにみんなが帰ったあとの時間帯に

学校に来るように先生も配慮してくださっていたからでした


学校から帰るなり、いつもそう聞く私に

ある日息子は

『なんで、コソコソしなくちゃいけないの!?』

と、キレたことがありました


たしかにそうです

何も悪いことはしていない

ただ学校に行けてないだけなのに

先生の配慮につられるかのように

私まで息子をかくまうように放課後の学校に向かわせていたのです


息子のその言葉に

私は深く反省し、息子は友達に会っても平気なんだと思いなおしました

でもそれは、大きな勘違いでした


たしか、あの日は中3の1学期でした

その日は私も先生に呼ばれていたので一緒に学校に行きました

帰りに玄関で息子が所属していた野球部の仲間が練習終わりで集まっていました


先生は気を遣い、皆に会わないように

違う玄関から帰るようにと言ってくださいましたが

私は息子に以前言われた『なんでコソコソするの?』と言われたことが頭にあったので

『久しぶりに皆に会ったら?』と勧めました


息子は『ど、どうしよう…』とかなり動揺していましたが

私の押しが強かったのか恐る恐るみんなの前に行きました


皆に囲まれて

『お~!久しぶり~!またでかくなったな~』とか言われて照れくさそうに笑っていた息子…


私は久しぶりに仲間と会話している息子の姿に嬉しくなっていました

ところがその帰り道、とっても不機嫌な息子


夕食の時間

『今日はみんなと久しぶりに話せてよかったね』という私の言葉に

息子がキレました


『部活の仲間には会いたくなかった!だって俺は野球がやりたくてもできないんだよ!』


・・・


頭を何かで殴られたような、そんな衝撃でした


野球がやりたくてもできない

息子は自分の体が辛くて、もう野球はできないんだと悟っていたのでした


息子は野球部に入るのを楽しみに中学に入学し

部活に入ってからは、毎日泥だらけのユニフォームで帰宅していました


その後、部活内でのトラブルもあり

起立性調節障害の症状が悪化し学校に通えなくなるまでは

毎日、野球部で汗を流していたのです


正直、息子が不登校中、そこまで野球がやりたかったとは思っていませんでした

そして自分の体が野球ができる状態ではないということも悟っていたのです


でも本当は言葉に出せないくらい野球がやりたかったんですね…


私は、子どもの気持ちも理解できない、なんてノーテンキな母親なんだろう


情けなくて、情けなくて

夕食の最中でしたがトイレにこもって声を殺して泣きました

自分を叩きながら泣きました


息子に辛い思いをさせてしまった後悔

息子の気持ちをわかっていなかった自分へのいら立ち


どうしたら、息子の心を癒せるのか

泣きながら、考えていました


その時私が思いついたことは、今思えば本当にに子どもだましのようなことでしたが

あの時はそれしか思い浮かびませんでした



その日の夜、パソコンでアマゾンにあるものを注文しました


息子の誕生日に頼まれていたプレゼント

プレステの野球ゲーム


息子の誕生日はまだ2週間ほど先でしたが


サプライズで何でもない日にサラッとプレゼントしました


プレゼントが届くのをカレンダーで指折り数えて楽しみにしていた息子は

すご~くビックリして、すご~く喜んでくれました


息子の心を傷つけた、何のお詫びにもならないが

息子のとびっきりの嬉しそうな笑顔が見れて


母は立ち直ったのでした




子どもの心を理解するのは本当に難しい・・・

でも、こんな失敗を重ねながら寄り添っていけるのも

不登校を経験したからなのかな、と思っています